TwitterのドーシーCEO、未来のビジョンを語る–分散化や一部有料化など

Twitterの最高経営責任者(CEO)のJack Dorsey氏は米国時間2月10日、同サービスがゆくゆくは分散していくと考えている、と語った。そのように進化することで、ソーシャルメディアユーザーは自分のデータや表示されるコンテンツの種類をより細かく制御できるようになるという。

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この発言は、ソーシャルメディアの未来に関するDorsey氏の過去の発言を肉付けしたものと言えるかもしれない。Twitterは2019年、「bluesky」というプロジェクトに取り組んでいることを明らかにした。blueskyは「ソーシャルメディア向けのオープンで分散型の標準」の開発を目指すプロジェクトであり、これによって、オンラインでの嫌がらせや誤情報に、より効果的に対処できるようになる可能性がある。Twitterは、「Birdwatch」と呼ばれるフォーラムのテストも開始済みだ。このフォーラムでは、ユーザーが誤解を招くツイートを見つけて、その情報が間違っていると思う理由などの背景情報を追加することができる。

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 Dorsey氏は 10日、オンラインで開催されたGoldman Sachsの「Technology and Internet Conference」で、「市場や人々の動きの一歩先を常に行きたいと考えている」と語った。「このトレンドはきっと実現すると確信している」(同氏)

 40分間のインタビューで、Dorsey氏は、規制についてや、広告以外の収益源を模索するTwitterの計画など、さまざまな話題について語った。

 注目すべき発言の一部を以下で紹介しよう。

 ツイートを越えた進化:Twitterは、「インターネット上で公な会話を行うところ」という同プラットフォームの現状を発展させるために、「280文字のツイート」を越えて進化する必要がある、とDorsey氏。同社は、24時間で消滅するコンテンツを共有できるツールの「フリート」をテストしている。さらに、「Spaces」と呼ばれる音声チャットルーム機能も試しているほか、ニュースレター配信プラットフォームを手がけるRevueも買収した。Twitterはトピックや興味のある事柄をもっと簡単にフォローできるようにすることを目指している。

 Dorsey氏は、Twitterが人材採用の場になる可能性もあると述べ、一緒に仕事をしたい人を見つけたり、関心のある事柄を共有したりするのに同サイトが使われている、と指摘した。「Twitterは今起きていることを表示するだけのものだと思ってほしくない」(同氏)

 規制:米連邦議会は、ユーザーによって投稿されたコンテンツに対するソーシャルメディア企業の法的責任を免除する通信品位法230条の改正を検討している。Dorsey氏は、議論が白熱しているこの問題に言及し、コンテンツのモデレーションに関する透明性を高める必要があると言及。しかし、230条を改正すると、インターネット上のオンラインレビューや掲示板などのコンテンツに影響が及ぶ可能性があるとも指摘している。同氏は、Twitterが「規制当局と現在も協議中」であることを明かしたが、競争や「オープンなインターネットの精神」を阻害しそうな提案もあると警告した。

 コンテンツのモデレーション:誤情報にラベルを付けるTwitterの取り組みやDonald Trump前大統領のアカウントの永久停止を受けて、一部の保守的なユーザーが反発し、同プラットフォームを離れて「Parler」や「Gab」などの代替プラットフォームを模索するようになった。とはいえ、Dorsey氏はデイリーユーザー数の減少をそれほど気にしていないようだ。同氏によると、Twitterユーザーの80%は米国外におり、同サービスには、2500万人以上のフォロワーを持つアカウントが50以上あるという。

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 ソーシャルメディアの分散化:Dorsey氏によると、Twitterは、同サイト上の体験をユーザーがより細かく制御できるようにするために、さまざまな方法を検討しているという。例えば、ユーザーに表示されるコンテンツを選ぶためにソーシャルネットワークで使用されるさまざまなアルゴリズムを、Twitterユーザーが選択して、自分のサイト上の体験をキュレートできるようになるかもしれない。サードパーティーの開発者も、ユーザーが選択するアルゴリズムを独自に開発できるようになるかもしれない。「競争の場をさらに公平にしようとしているだけだ。単にコンテンツを提供したり保有したりするのではなく、世界の動きに沿った、真の価値をめぐって競争することになる」(同氏)

 サブスクリプション:Twitterは広告以外の収益を創出する新しい方法を模索している。これには、「TweetDeck」(ツイートのスケジュール設定や複数アカウントの管理などの機能を備えたダッシュボード)などのサービスでサブスクリプション料金を請求する、といったアイデアが含まれる。Bloombergの8日の報道によると、Twitterは独占コンテンツや広告なしのフィードへの課金も検討しているという。「Twitterに貢献している人々への経済的なインセンティブ」に焦点を合わせたいと考えている、とDorsey氏。Twitterは現在、こうしたアイデアを精査しているところだ。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。