日本航空、RPAを全社の業務自動化基盤として活用、予備搭載燃油量の分析も自動化

日本航空(JAL)は、2019年にRPA(ロボットによる業務自動化)を導入した。大きく3つの用途、(1)予備搭載する燃油量の分析、(2)販売レポートの作成、(3)各国のコロナ対応を搭乗予定客に案内、に利用している。燃油量の分析では、これまでは3カ月に1回の頻度で分析していたが、これを2週間に1回の頻度で分析できるようになり、データ分析の精度が上がった。2021年3月11日、RPAベンダーのBlue Prismが開催した会見に登壇し、取り組みを説明した。

日本航空(JAL)は、2019年にRPA(ロボットによる業務自動化)を導入した。現在、大きく3つの用途でRPAソフトウェアのBlue Prismを運用している。(1)予備搭載する燃油量の分析、(2)販売レポートの作成、(3)各国のコロナ対応を搭乗予定客に案内、――である(図1)。図1:日本航空のRPA導入プロジェクトの概要(出典:日本航空)
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 RPAを導入した効果は大きい。

(1)の燃油量の分析では、データ分析の頻度が上がった。これまでは手動で大量データを分析していたため、頻度は3カ月に1回だった。これをRPAで自動化し、2週間に1回の頻度で分析するようにした。データ分析の頻度が向上したことで、データ分析の精度が上がった。

 (2)の販売レポートの作成については、レポートの作成に要する時間を削減できた。これまでは、それぞれの部門が独自の方法で、5分から10分といった時間をかけて販売レポートを作成していた。このやり方を見直し、全部署に共通する標準の方法で販売レポートを作成できるようにした。これにより、レポートの作成に要する時間を削減できた。

 (3)の、各国のコロナ対応を搭乗客に案内する使い方については、そもそもこれまでは、こうした対応がとれていなかった。システム上には、どの便にどの客が乗っているのかを管理しているが、各国のコロナ対応について搭乗客に早い段階で案内することができていなかった。これを可能にした。

エンタープライズアーキテクチャとしてRPAを導入

 

JALがRPAの導入を計画したのは、2017年のことである。RPAによる業務の自動化によって人材を付加価値領域業務へとシフトすることを狙い、各部門個別にトライアル的にRPAソフトウェアを導入した。その後、2018年にIT本部が主管となって、全社共通のIT基盤としてRPAソフトウェアのBlue Prismを導入した。

 

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 なお、Blue Prismは、開発したロボットをサーバー上で一元管理するサーバー型のRPAソフトである。ガバナンスを要求する大企業に向けて、複数ロボットの統制管理機能に注力している。ライセンス面での特徴は、本番環境の最大同時実行ロボット数だけで課金することである。