新生水産、食品の温度データをLoRaWANで自動収集

マグロなどの水産物の加工・販売会社、新生水産(千葉県船橋市)は、食品の温度データをIoTセンサーで自動収集するシステムを2021年11月に稼働開始した。温度確認のための巡回作業が不要にしている。「IIJ LoRaWANソリューション for HACCP温度管理」を採用し、導入から運用まで1カ月の短期間での稼働を実現した。システムを提供したインターネットイニシアティブ(IIJ)が2022年4月4日に発表した。

 マグロなどの水産物の加工・販売会社である新生水産は、食品の温度データをIoTセンサーで自動収集するシステムを2021年11月に稼働開始した。これにより、温度確認のための巡回作業が不要になった。システム要素として、インターネットイニシアティブ(IIJ)の「IIJ LoRaWANソリューション for HACCP温度管理」を採用し、導入から運用まで1カ月という短期間での稼働を実現した(図1)。

図1:新生水産が稼働させた、食品の温度データをLoRaWANで自動収集するシステムの概要(出典:インターネットイニシアティブ)
図1:新生水産が稼働させた、食品の温度データをLoRaWANで自動収集するシステムの概要(出典:インターネットイニシアティブ)
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新生水産は、船橋市地方卸売市場内に7カ所の冷凍庫と冷蔵庫、加工場を持つ。生マグロから、ネギトロや切り落としなどの加工品の製造までを行っている。水産物の保管は、一般に摂氏マイナス18度以下で行い、特にマグロはマイナス25度以下の超低温保管という厳しい条件があるため、厳密な温度管理が求められるという。

従来、同社では、水産物を保管する冷凍庫・冷蔵庫や加工場の温度管理を、人が巡回して確認していた。点在する測定箇所の巡回に30分ほどを要し、温度測定は1日あたり2回しか行えなかった。また、測定したデータの記録は、紙による手作業で、温度管理にかかる業務をデジタル化して効率化することが課題だったとという。

今回導入した「IIJ LoRaWANソリューション for HACCP温度管理」は、温度センサー、温度データをクラウドに送るゲートウェイ、データを保存して可視化するクラウドアプリケーションをパッケージ化したもの。温度センサーとゲートウェイはLoRaWANで通信する。ゲートウェイとクラウドはモバイル通信で通信する。温度センサーは電池駆動で電源工事が不要なため、導入から運用まで約1カ月の短期間で済んだ。

導入効果として、各測定箇所から温度データを自動で収集できるようになった。温度確認のための巡回作業が不要になり、業務負担が減った。また、1時間ごとにデータを自動で測定、記録、可視化するため、温度の異常によって品質が落ちるリスクへの対応力も高まった。今後は、温度管理以外の業務でも効率化も進めるとしている。

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