I-PEX、グローバル21社の基幹システムを2022年にSAP ERPからS/4HANA Cloudに移行

[ 事例ニュース ] I-PEX、グローバル21社の基幹システムを2022年にSAP ERPからS/4HANA Cloudに移行 MESもSAP Digital Manufacturing Cloudに刷新 2021年3月9日(火) 日川 佳三(IT Leaders編集部)
I-PEX(旧社名:第一精工)が、現行のSAP ERPをSAP S/4HANA Cloudに移行する。これに合わせ、MES(製造実行システム)も、現行システムからSAP Digital Manufacturing Cloudに刷新する。いずれも2022年初めの稼働開始を目指す。SAPジャパンが2021年3月9日に開催した発表会に登壇して発表した。  

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I-PEXは2010年4月から、国内外拠点と連結子会社を含む21社の基幹システムとして、SAP ERPを運用している。グローバルで1つのインスタンスを使い、ビジネスプロセスを統一した。

 2022年初めの稼働開始を目指し、現行システムであるSAP ERPを、SAP S/4HANA Cloudに移行する。2027年のSAP ERPの保守期限を待たずに移行する理由は、いくつかある(図1)。理由の1つは、データモデルを、よりシンプル化できることである。図1:I-PEXがSAP ERPをSAP S/4HANA Cloudに移行する主な理由(出典:I-PEX)
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 知識や技術の伝承も、移行理由の1つである。現行システムであるSAP ERPの導入プロジェクトから10年以上が経過していることから、新たなERP移行プロジェクト経験を通じて、知識や技術の伝承を図る必要がある。

 インフラをクラウドとすることで、トラブル発生時のベンダーとのやり取りも減る。従来は、SAPジャパン、インフラベンダー、アプリケーション運用保守ベンダーの3者が分離していたため、トラブル発生時に各ベンダーと個別に連絡・相談しなければならなかった。

 今回の移行ではまず、移行先であるSAP S/4HANA Cloudのインフラとして、プライベートクラウドを利用する。SAP S/4HANA Cloud PCE(プライベートクラウドエディション)を使う。その後、いずれはパブリッククラウドに移行する予定である。写真1:I-PEXで常務取締役技術開発統括部長を務める緒方健治氏
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 I-PEXで常務取締役技術開発統括部長を務める緒方健治氏(写真1)は、パブリッククラウドに移行する理由について、「プライベートクラウドでもSAP HANA部分はSAPジャパンに保守してもらえるが、パブリックだとバージョンなどを意識せずに使えるようになると期待している」と説明する。

 SAP S/4HANAへの移行と同時に、MESをSAP Digital Manufacturing Cloudに刷新するプロジェクトを進めている。これにより、ERPが担うサプライチェーンと、製品の企画・設計・生産準備・製造・品質記録といったエンジニアリングチェーンをグローバルで同期し、品質・コスト・納期の管理を共通化する。

 MESについては、2018年からスクラッチ開発を前提に概念実証を進めていた。今回、パッケージ機能前提で進めることでMESの標準化をコンパクトに実施できると判断し、SAP Digital Manufacturing Cloudの導入を決めた。