賃貸契約と水道使用契約の手続きを一体化、積水ハウスと日立がブロックチェーンを活用した実証実験

日立製作所、積水ハウス、企業間情報連携推進コンソーシアム(NEXCHAIN)は2021年5月19日、積水ハウスが提供する大阪市内の賃貸物件について、賃貸契約と水道使用開始手続きをワンストップで実施する実証実験を同年5月20日に開始すると発表した。

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日立製作所と積水ハウスは、大阪市内の賃貸物件について、賃貸契約と水道使用開始手続きをワンストップ化する実証実験を2021年5月20日から同年6月30日にかけて実施する。

 日立が実証の企画・推進を取りまとめ、積水ハウスに登録された物件入居者の情報を、企業間情報連携推進コンソーシアム(NEXCHAIN)の「NEXCHAINプラットフォーム」を通じて大阪市水道局に連携させる。これにより、物件への入居申込・賃貸契約と水道の使用開始手続きをワンストップで実施するという一連のプロセスを検証する(図1)。図1:賃貸契約と水道使用開始手続きをブロックチェーンでワンストップ化する(出典:日立製作所、積水ハウス、一般社団法人企業間情報連携推進コンソーシアム)
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 不動産賃貸管理会社が入居申込・契約時に得た本人確認情報を、ブロックチェーンを利用したプラットフォームを介して、インフラ会社・事業者とセキュアに連携させる仕組みである。これにより、賃貸入居後に必要となる電気やガス、水道などの契約手続きを効率化する。

 両社は利用のイメージを紹介している。積水ハウスが提供する大阪市内の賃貸物件に対し、入居希望者は、物件の賃貸借契約時に賃貸入居申込サイト「ShaMaison room Web」から必要な情報を登録する。ここで水道使用開始手続きも一括して行える。

 その際、入居者に対して、氏名・住所などの情報を大阪市に連携させてもよいか同意を得る。同意の後、入居者の情報を、NEXCHAINプラットフォームを経由して大阪市水道局に連携させる。大阪市水道局は、日立が実証実験用に開発した連携機能を通じて入居者の情報を取得し、水道の使用開始手続きを実施する。

 日立と積水ハウスはこれまで、官民データ連携の促進・活用などに取り組むNEXCHAINの活動に参加してきた。企業間で安全なデータ連携を行うための基盤であるNEXCHAINプラットフォームを用いて本人確認情報を連携させることで、引っ越し時に発生する複数のサービスとの契約手続きを効率化する仕組みについて検証を重ねてきた。情報の安全な取り扱いを確保するのが、同プラットフォームで採用したブロックチェーン技術である

 両社は、実証実験を行う背景を次のように説明している。「2019年12月にデジタル手続法が施行され、行政手続きのオンライン化が原則化された。デジタル化の基本原則に『コネクテッド・ワンストップ』が位置づけられており、自治体においても、民間サービスを含めて複数の手続き・サービスをワンストップで行えることが期待されている」