ユビキタスAI、学習データを各種条件で生成してAIモデルの精度を高める「ZETANE Protector」

ユビキタスAIは2023年3月8日、AI開発支援ツール「ZETANE Protector」(開発元:カナダZETANE Systems)を販売開始した。AIのロバスト性(信頼性)を向上させるためのAI開発支援ツールである。AIモデルと学習データをZETANE Protectorにアップロードし、各種の条件(天気、照明、角度、背景、ノイズ、ブレなど)を学習データ上で再現する。再現した条件下でAIの精度劣化が起こっているデータを特定し、学習データセットに追加して再学習させることで、AIのロバスト性を高められる。

 ユビキタスAIが販売を開始した「ZETANE Protector」(開発元:カナダZETANE Systems)は、AIのロバスト性(信頼性)向上のためのAI開発支援ツールである(図1)。AIモデルの開発時に予想していなかった入力データに対してもうまく推論できるようにする。

図1:ZETANE Protectorにて再現可能な条件の例(出典:ユビキタスAI)
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AIは、学習時に与えられたデータに対しては高い精度を出す。一方、学習データに含まれていないデータが入力された場合は、期待通りの推論を示すのは苦手である。ロバスト性とは、学習データ内に存在しない未知のデータに対して適切に推論を行うことを意味する。

AI開発の段階で、各種の条件をカバーしたデータ(天気、照明、角度、背景、ノイズ、ブレなど)を学習させることで、ロバスト性が高いAIを開発可能である。しかし、人の手ですべてのデータを手配すると、準備すべきデータに漏れが生じ、結果としてロバスト性が低いAIとなってしまったり、そもそも検討できていなかったり、といった課題がある。

ZETANE Protectorは、AIモデルと学習データをセットして使う。検証したい条件(雨、雪、霧、ブレ、水滴など)を学習データに付与し、AIの精度劣化が起こる条件を特定する。こうして特定した精度劣化の発生条件を学習データに付与し、新たな学習データを生成する。このデータを用いて再学習させることで、ロバスト性が高いAIモデルを実現する。

検証したい条件は、ユーザーが任意に設定可能である。2023年3月時点で80種類以上の条件を再現できる。例えば、屋外の写真画像であれば、日中から夜間へのシフト、照度、霧、ぼけ、レンズに付着した水滴、ノイズ、雨などを再現する。個別ユースケースに沿った条件もカスタマイズで対応可能である。

ソフトウェアの提供形態は、クラウドサービス(SaaS)またはオンプレミス。課金方法は、月額制または年額制。利用料金は、使用人数などに応じて設定する。

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