若い世代は対面よりデジタル体験を重視

 アドビは、デジタル社会における企業の信頼性に関するグローバル調査「Adobe Trust Report 2022」の結果を発表した。

この調査は、企業に対する信頼性の実態や信頼獲得の要件を明らかにすることを目的に、日本を含む世界15カ国の1万2000人以上の消費者と従業員50人以上の企業のシニアビジネスリーダー2000人を対象に実施した。

主な調査結果として、本の消費者がデジタルにおける顧客接点を対面と同様に重要と捉えていることが判明した。世代別の回答を見てみると、ミレニアル世代やジェネレーションXでは、対面よりデジタル体験を重要視する傾向が明らかとなっており、約2年にわたるコロナ禍を通じて、顧客体験が大きくデジタル化した様子がうかがえる結果となっている。

経営層の49%は、コロナ禍以降に、「顧客との信頼関係構築・維持が難しくなった」と感じており、最も多く直面した課題として「顧客からのデータ共有」(34%)を挙げた。

また、日本の経営層の9割以上が、「自社の顧客体験や個人情報の管理については顧客の信頼を得ている」と回答。日本の消費者の64%は、特定ブランドの顧客になってから10年以上が経過している。

一方で、72%の消費者が、不適切なパーソナライゼーション体験が企業への信頼を低下させると回答している。個人情報の管理で顧客の信頼が損なわれると、影響はさらに大きくなり、81%の消費者が購買を取りやめることが判明した。

日本の消費者の75%は、「自身のデータを企業がどう利用するのか」を懸念しており、83%が「自身のデータが企業に盗まれる」ことを危惧している。これはグローバルのどの地域よりも高く、個人情報の管理に自信を持っている経営層が多い一方、顧客が企業へのデータ提供にためらう様子が分かった。

今回の調査結果で、消費者は自分のデータに対する選択肢を求めていることが分かった。消費者側でデータ共有に対する選択肢を維持しつつ、消費者の気持ちに寄り添った、きめ細やかなデジタル体験が企業の信頼、さらには業績の向上につながることが明らかとなっている。

また、日本の消費者の71%が「優れたクリエイティブコンテンツは企業が顧客体験の向上に取り組んでいることが感じられる」ことから「企業の信頼を高める」と回答している。これはグローバルで2番目に高い数値だった。

一方で、ウェブサイトの写真が加工されていないか、事実に基づいた情報が掲載されているかといった懸念から、信頼できるコンテンツを求めていることも分かった。さらに消費者が求めていることとして、企業が消費者の視点に立ち、消費者の抱える不満や求めている要望に共感すること(66%)や、個人データの取り扱いに関する選択肢を得ること(74%)が挙げられている。

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