変化はチャンス–開発者がAIを恐れるべきではない理由

 人工知能(AI)利用の広がりによって雇用の淘汰(とうた)が進むのではないかという懸念が取り沙汰されているが、IT技術者もその例外ではない。だが、United AirlinesのDevOps担当シニアマネージャーを務めるRajeswari Koppala氏は、自動化は、同氏のスタッフも含めて、万人に新しいチャンスをもたらすものだと述べている。

「私は自動化を熱心に促している」とKoppala氏は言う。「自動化を適切に使えば、素晴らしいことができる。AIツールや機械学習を使うことで最適化できる仕事の範囲は非常に広い」

United Airlinesの場合、AIを使ってDevOpsの業務プロセスを簡略化し、継続的インテグレーション・継続的デリバリー(CI/CD)を支えるソフトウェア開発プラットフォームである「Harness」を通じて自動化技術を導入している。

Koppala氏によれば、この技術によってソフトウェアのデプロイメントサイクルが75%加速し、22分かかっていたビルドプロセスがわずか5分に短縮したため、ITプロフェッショナルが、ビジネスの要求に応える新しいサービスの構築といった、より価値の高い作業に従事できるようになったという。

United AirlinesのITスタッフは、インフラのプロビジョニングや、同じ運用リクエストに何度も繰り返し対応するのに長い時間を費やす必要がなくなり、アプリケーションの開発やデプロイメントといった本来得意とする仕事に専念できるようになった。

他の企業も同様のアプローチを採用している。Stonebranchの調査では、さまざまなITの仕事で、AIや自動化の利用が増えていることが明らかになった。この調査では、回答企業の5分の4以上(81%)が、2023年に自動化計画を拡大する予定だと答えており、86%が自動化プラットフォームのリプレースや追加を計画していた。

外貨両替企業のTravelexが、まさにこれに当てはまるケースだ。同社のアシスタントバイスプレジデントであるMayank Goswami氏の部署では、CircleCIが提供する、複数の環境をまたいだソフトウェアのデプロイメントプロセスを自動化するCI/CDプラットフォームを利用している。

Travelexは、このプラットフォームを利用することで、標準化された開発のテンプレートを短期間でロールアウトすることができるようになり、世界中のあらゆる拠点で、いちいち個別に新しいインフラを設定する事態を避けることができた。

Goswami氏は、CircleCIのプラットフォームの導入は、ビジネス全体で進んでいるアジャイルやDevOpsへの移行の一環であり、ITスタッフは、開発プロセスの中で自動化技術の利用が増え続けていることを心配する必要はないと述べている。

「変化が起きることは避けられない」とGoswami氏は言う。「技術は2、3年おきに変化するものであり、もっとペースが速い場合もある。今自分が知っていることに固執すべきではない。技術者は常に学んでいかなければならない。変化をチャンスだと捉えれば、それがIT業界の中で生き残るための術になる」

同氏は、自動化が進めば効率が高まり、誰にとっても働きやすくなると語った。

「人々が協力して働き、より大きな事業目標を第一に考え、それを達成するために、自動化技術や、DevOpsの手法やツールを使って少しずつできることをやっていけば、そこに本物のメリットが生まれてくる」

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