ビジネスリーダーに聞く、良い人脈を築くための5つのヒント

 デジタル領域を担当する企業幹部の多くが人間関係の構築や人脈について語っているのには、それだけの理由がある。現代の職場は人とのつながりが重要な意味を持つ空間であり、高い地位に就くためには、何を知っているかと同じくらい、誰を知っているかが重要になる。

成功しているビジネスリーダーは、強力なブランドを持ち、人と協力して仕事をすることを得意にしている。彼ら彼女らは人脈を築いており、業界でパイオニアだと見なされている。では、その人脈を作るにはどうすればいいのだろうか。この記事では、5人のビジネスリーダーに、人との結びつきを作るためのコツを聞いた。

1.自分の仕事で認めてもらう

APL Logisticsの最高情報責任者(CIO)であるHakan Yaren氏は、良い人脈作りは身近なところから始まるものであり、賢明なプロフェッショナルは自分の仕事がよくできることの重要性を理解していると語った。

「ときどき、注目はされたいが仕事はしたくないという人がいる」と同氏は言う。

「だから私はいつも、『仕事は重要であり、自分の分野のエキスパートになるべきだ』と言っている」

Yaren氏は、適切な態度や、適性や、空気を読む力などの一定のスキルは人脈作りに役に立つと述べている。

さらに同氏は、自分のブランドを磨きたいプロフェッショナルに対して、複数の活動に関わることを勧めた。

「機会があれば自分から手を挙げること。人間がたどる道は人それぞれだ。私の最初の専門分野はITではなく、エンジニアの教育を受けていた。働き始めてから最初の数年間は、エンジニアとして働いていた」とYaren氏は言う。

「そうしたチャンスを最大限に生かせるかどうかは自分次第だ。自分の価値を高めて、それぞれの仕事を少しずつうまくこなせるようにし、そのプロセスから学ぶことだ」

2.他の人に情報を提供する

英国の医療ソリューションプロバイダーであるSimplyhealthの顧客サービス担当ディレクターであるDan Eddie氏は、情報を隠さずに公開することを勧めている。

同氏は、「最近、私は『LinkedIn』で、苦情の84%を3日以内に解決しているという投稿をした。すると、顧客体験コミュニティーから多くの関心が寄せられた」と実例を挙げた。

「『どうやってそれを実現したのか? どういうことをやっているのか?』といった問い合わせを受けて、私は喜んでそうした情報の一部を提供した。特別に難しいことをやっているわけではないが、この数字を達成するのが難しいことはよく知っている」

Eddie氏は、「Salesforce Einsitein for Service」や、GPTを利用した対応などのさまざまなテクニックを駆使して、高い苦情解決率を実現していると説明してくれた。同社の苦情解決率は、業界平均である46%を大きく上回っている。

「私は長年カスタマーサービス業務の世界で働いてきたが、その間に失敗もしたし、成功もした」とEddie氏は言う。

「しかし、その学びがあったからこそ、Simplyhealthでこうした結果を出す方法を身に付けることができた。そして私は、自分たちがどんなことをやっており、どのように現場を支えているかを喜んで共有している」

Eddie氏は、ブランドを磨きたいと思っている人に対して、自分が持っている情報を共有することを勧めている。

「私はメディアのインタビューを受けるのも好きだし、ステージに上がるのも好きだし、フォーラムに参加して他の人たちが何をしているのかを知るのも好きだ」と同氏は言う。

「そうすることで自分が得られるものは必ずある。人脈作りを成功させるためには、人間関係を築き、人と話すことだ」

3.自分の関心に集中する

英国海域の石油ガス開発規制を担当する政府企業であるNorth Sea Transition Authority(NSTA)でコーポレートディレクター 兼 最高財務責任者(CFO)を務めるNic Granger氏は、他の人とのつながりを作る最善の方法は、選択することだと述べている。

「人脈作りをするなら興味のある分野でやるべきだ」とGranger氏は言う。「あらゆるイベントに参加しようとすると燃え尽きてしまい、結局は、そんなことはすべきではないと自分に言い聞かせることになる」

Granger氏は、NSTAに入社する前に、2016年後半までフォークランド諸島政府で9年間勤務し、戦略担当エグゼクティブディレクター 兼 副最高責任者を務めていた。同氏の職務には、財務やその他の一般管理業務が含まれていた。

同氏は今でもフォークランド諸島に関心を持っている。「私は自然保護団体の非常勤評議員も務めている」と同氏は述べ、自分が参加している団体であるFalklands Conservationでの仕事について説明してくれた。同団体は英国の慈善団体だが、主にフォークランドで活動しているという。

Falklands Conservationは、将来の世代のために野生生物の保護に取り組む非政府組織だ。

Granger氏は、自分のスキルは同団体の非執行役員を務めることで高まっていると述べ、他のプロフェッショナルに対しても同様の機会を探してみるよう勧めた。

「私にとっての人脈作りとは、興味のあるトピックを見つけて、そのトピックに関心がある人たちと出会うことだ」と同氏は述べている。

4.人の目を気にするのを止める

コンサルティング会社であるCarruthers and JacksonのCEOを務めるCaroline Carruthers氏は、自分のブランドを磨こうとしている人にシンプルなアドバイスを贈った。それは、「人の目を気にするのは止めた方がいい」ということだ。

現実でも、オンラインの世界でも、強い存在感がなければ自分の存在を知ってもらうのは難しい。

「だから、いろんな人に話しかけ、ステージに立ち、イベントに参加し、LinkedInで人々に接触すべきだ」と同氏は言う。

「驚いたことに、私は、これまでのキャリアで人にアプローチして拒まれたことがほとんどない。ほとんどの人は、人と話をすることに関心がある」

Carruthers氏は、自分がつながりを持とうとする人の多くは、その人たち自身もブランドを築こうとしている場合が多いと述べた。

そのため、つながり作りはお互いにメリットがある行為だという。

同氏はさらに、「もう1つやってみてほしいのは、誰かと一緒に働いてみたいなら、その人自身にその人のことを聞いてみることだ」と付け加えた。「ほとんどの人は自分のことを話すのが好きだ」

5.社内の人脈作りを怠らない

イングランドサッカー協会のCIOを務めるCraig Donald氏は、社外に対してのプレゼンスも重要だが、ブランドを築いている人は、社内でどう見られているかについても気を配っていると語った。

「事業部門の人たちとのつながりを作るためには、折に触れて会話を持つ時間を取る必要がある」と同氏は言う。

Donald氏は、ZDNETの取材に対して、意識して人間関係を築こうとしなければ、他の上級幹部と会話する機会を持つのは難しいと指摘した。

「普段から人と話していないと、人間関係が深められないため、協力することになった時の困難が増す」と同氏は言う。

「そのため私は、人脈作りで重要なのは、人間関係を常に温め直すことだと考えている。一緒にコーヒーを飲む時間や、『Microsoft Teams』『Slack』で最近の様子について簡単に話す時間を確保しておくべきだ」

人脈作りが上手な人は、共同作業もずっと楽にできる。そして他の人たちも、自分が何を得意としているかを覚えていてくれる。

「既に人間関係ができていれば、何かを強いられているように感じにくくなる」とDonald氏は言う。「私はそれが組織内での正しい在り方だと思っている。必要な時だけでなく、普段から接触を持っておいた方がいい」

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