2025年度には中堅企業にもブロックチェーンが普及、市場は7000億円超へ―矢野経済研究所

矢野経済研究所は2022年2月22日、国内におけるブロックチェーン活用サービス市場を調査した。2019年度の市場規模(事業者売上高ベース)は171億8000万円だった。2021年度は大手企業を中心に普及期に突入し、市場規模は783億3000万円になる見込み。2025年度には中堅企業においても普及期を迎え、市場規模は7247億6000万円に達すると予測している。  矢野経済研究所は、国内におけるブロックチェーン活用サービス市場を調査した(図1)。2019年度の市場規模(事業者売上高ベース)は171億8000万円だった。2021年度は、大手企業を中心に普及期に突入し、市場規模は783億3000万円になる見込みである。2025年度は、中堅企業においても普及期を迎え、市場規模は7247億6000万円に達すると予測している。 図1:国内ブロックチェーン活用サービスにおける市場規模の推移予測(出典:矢野経済研究所)拡大画像表示 2019年度までは、大手企業を中心にブロックチェーンの特性などを学んでいた最初期のフェーズだった。実証実験の多くが「お試し」の状況であり、試行錯誤しながらブロックチェーンの知見を吸収していた。このため、2019年度の市場規模は、171億8000万円に留まった。 現在は、実証実験の質がお試しから効果検証へと変化してきた。より本番環境での運用を想定した検証へと進む大手事業者が出てきた。導入領域別では、特に商流管理やデジタルIDをはじめとした認証を筆頭に、非金融領域の存在感が高まった。特に2021年度からは、トレーサビリティ(流通経路の追跡確認)や認証、NFTを中心に、ブロックチェーンの活用が広がっている。 矢野経済研究所では、ブロックチェーンの活用に際して、(1)トレーサビリティ、(2)認証、(3)NFTの3つが牽引役になるとしている。 (1)のトレーサビリティは複数のプレイヤが関わるため、ブロックチェーンの強みを活かせる領域である。事例も、化粧品の商流管理や物流管理をはじめ多くの領域で、流通経路における透明性の確保や最終ユーザーの特定など、応用範囲が広がってきた。また、地方において農作物の商流管理にブロックチェーンを活用した事例が複数出てきているほか、農林水産省によるスマートフードチェーンの取組みなど環境整備の動きもある。 (2)の認証領域においても、マイナンバーカードとデジタルIDを紐づけた自治体の取組みが徐々に始まってきている。今後、他の自治体への広がりが期待できる。また、大学の学位証明書などの電子化での活用も広がっていく。特に、ペーパーレス化への移行やコロナ禍も相まって、感染防止に向けた非接触・非対面への取組みは今後も導入を後押しする。 (3)NFTは、2021年度からの急速な普及にともない、特にゲーム業界において大手ゲームソフト会社を筆頭に、既存コンテンツを活用したNFTの提供などに取組んでいる。スポーツの領域でも、選手のデジタルトレーディングカードの発行を中心に事例が出てきた。現状のNFTは法的な枠組みが明確になっておらず、今後、一定金額以上の取引における本人確認の必要性などを含めた規制が入るものとみている。 Original Post>

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自然災害やサイバー攻撃–新たなリスクに「データ」で挑む東京海上のデジタル戦略

 東京海上グループがデジタル戦略を加速させている。データを駆使して「価値提供の変革」と「社内体制の変革」を推進し、その回転エンジンとして「グローバルデジタルシナジー」を発揮していくという。 このデジタル戦略を率いるのが、東京海上ホールディングス 常務執行役員グループCDOの生田目雅史氏だ。ドイツ証券やモルガン・スタンレー証券、ビザ・ワールドワイド・ジャパン、ブラックロック・ジャパンなどを渡り歩いてきた同氏は、「(自身の)キャリアを通じてさまざまな“データ”を活用してきた」と振り返る。 東京海上ホールディングス 常務執行役員グループCDOの生田目雅史氏 「金融市場では企業価値評価やリスクの所在をデータに基づき数字で表現する大切さを学び、決済市場では金融データや個人購買データを、マーケティング、行動分析、消費分析に役立ててきた。いま東京海上は、データの利活用による保険という業態の変革に挑戦しており、私のこれまで35年間のキャリアとも完全にオーバーラップしている。今後は保険の領域で、新たな価値創造を実現したい」(生田目氏) 時代の進化と「2つの使命」 ではなぜ、いま保険の領域において、データを活用した変革が重要なのか。生田目氏は「世界中の不確実性がますます高まっている点が背景」と指摘する。新型コロナやトンガ火山噴火、近年大型化する台風や水災など、これまでの常識が全く通用しない「新たなリスクへの対応」が世界中で求められているためだ。 新たなリスクとは、自然災害や病気だけではない。AIの実用化、コンピューティング能力の向上、データの大容量化、自動運転などモビリティの進化、ブロックチェーン技術による金融ビジネスの変革、新たに事業化が進むNFTなども含めて、「デジタル技術そのものがもたらすリスク」まで見据え、注力領域を拡大する方針だ。 生田目氏は、「時代が進化するほど、その進化を支えるため保険企業が直面し、貢献するべき使命は、どんどん大きくなる」と話す。さらに、「将来に向け発展する人類の社会に対して、付加価値を出し続けていきたい」と、デジタル戦略への意欲を示した。 これまでも、自動車事故やクレジットカードの不正利用といった、リスクに備えた保険の提供で、その産業の飛躍的な成長と社会の進化に貢献してきたが、今後はさらに進め、事故を起こさせないためのインフラ整備や、不正利用がない世界の実現などにも、保険企業独自の知見や解析力をもって貢献していきたいという。 「保険企業が果たすべき責任と使命は、2つあると考えている。1つは、新たなリスクを広く深く見つめたうえで、リスクマネジメントの観点からサービスを提供すること。もう1つは、われわれが得ているデータを活用して付加価値を創出し、発展する社会を加速させる役割を果たすこと。さらに付け加えるならば、メタバースのような仮想ライフ、ワーケーションなど、個人の人生と社会との関わり方の多様化にも、しっかりと向き合いたい。サービス提供のあり方も、変えていく必要があるだろう」(生田目氏) 東京海上グループの「デジタル戦略」の全体像 東京海上グループのデジタル戦略の全体像はこうだ。テクノロジーとデータを徹底的に活用して、「価値提供の変革」と「社内体制の変革」を2軸で目指す。そして、2軸に共通する横軸の取り組みとして、「グローバルデジタルシナジー」を発揮していく。 1つめの軸である「価値提供の変革」おいては、従来の保険業に留まらない新しいビジネスモデルの創出を目指す。新たなリスクや社会課題を解決できるソリューションを提供するべく、デジタルの利活用を推進するという。 2つめの軸である「社内体制の変革」においては、効率性の高い経営体制、業務プロセスやオペレーションのDXを目指す。業務のデジタル化、自動化を進め、被害の算定や商品の提案といった、個々人の能力に頼るところが非常に大きい業務についても、AIやテクノロジーを活用することで人が提供する価値を最大化する“人の力とデジタルのベストミックス”を推進するという。 そして、この2軸をさらにスケールする可能性を追求するのが「グローバルデジタルシナジー」だ。同社が事業を展開する国は、すでに約50カ国。日本ではまだ難しいデジタルの取り組みも、実は海外のグループ企業でPoCや実装がどんどん進んでおり、毎週のように各拠点からレポートが届いているという。「海外で実装された技術を、日本や他国に横展開することで、デジタル戦略を加速できる。グローバルなプレゼンスを最大限に活用して、価値提供と社内体制の変革につなげていきたい」(生田目氏) 国内の「データ中核会社」とグローバル戦略 そのために、国内外の組織体制も強化してきたという。まず国内では、グループのデータ中核機能を担う東京海上ディーアールを2021年7月に始動。「新たなビジネスモデルを創出するための基礎になるのは、データ収集力と高度なデータ解析力だ」と生田目氏は話し、東京海上ディーアールがデジタル技術のノウハウを結集したデータ戦略の中核になることを強調した。 従来、保険商品やサービスの開発は、グループの各事業部門が担ってきたが、今後は、東京海上ディーアールと各事業部門が連携する体制へと変更。常に最先端の解析技術を導入実装できるようにした。 社内の人材育成に加え、外部からの採用も強化している。データサイエンティスト、エンジニア、プログラマ、事業企画責任者、マーケター、デザイナーなど、さまざまなデジタルプロフェッショナルを、外部からも結集している。また、データ解析力を高めるためマザーズ上場のパークシャーテクノロジーとジョイントベンチャーを設立して、たとえば人工知能やディープラーニングなどの技術も必要に応じて即時導入できる体制を構築した。 次に、グローバル戦略だ。デジタル戦略に特化した情報収集と情報連携を目的に、現在はグローバルで7拠点が稼働中。シリコンバレー、東京、台北、シンガポールに加えて、コロナ禍の2020年から2021年にかけては、ニューヨーク、ロンドン、サンパウロに新拠点が立ち上がったという。全世界の最先端の情報が、リアルタイムに双方向連携されている。 各エリアの個性は豊かだ。たとえば、ロンドンの責任者はサイバー領域に強く、ロンドンからはサイバー領域のグローバルな知見が共有されている。サンパウロがあるブラジルは、金融テクノロジー導入の積極性が高い国で、同社ブラジル拠点でも他国に先駆けてデジタル実装が旺盛に進められており、サンパウロからの情報発信は高い価値があるという。 「コロナがもたらした変化とは一体何か。そのような探索をする、マーケットインテリジェンス機能が、いま極めて重要になっている。これを抜本的に強化するため、強い専門チームが必要だと考えて、2020年以降に急いで体制を強化した」(生田目氏) 「当社の強みは、新たに生まれるデジタル技術をいち早く実装し、その成否を見極める実証フィールドが非常に広いこと。もちろん、国によって規制や市場慣行が異なる部分もあるが、新たに活用したデジタル技術のコアとなるエッセンスを共有しつつ、各地で応用していく。また、このプラットフォームを、世界中のインシュアテック企業やベンチャー企業に活用いただき、われわれもともに付加価値を創出していきたい」(生田目氏)

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企業のESGデータをシムシティのようなプラットフォームでビジュアルに表現する「Actual」

企業がどのように「ネットゼロ」経済に移行していくかについての膨大なデータを処理しようとするのは、骨の折れる作業だ。数字のみのインターフェイスは、どんなにギークなCEOであっても辟易するだろう。それを視覚的に、しかも正確に表現できたらどうだろう? それがアイデアの芽となって生まれたActual(アクチュアル)は、膨大なデータを扱いやすいインターフェースで、しかも正確に表示するよう設計された、シムシティのようなプラットフォームだ。 Actualはこのたび、Buckley Ventures、Hyper、Wndrco、Sequoia Scout、Signalfire Scout、Craft Scoutから500万ドル(約5億7000万円)のシード資金を調達したことを発表した。環境に配慮した素材で知られる靴・アパレルのAllbirds(オールバーズ)、Giga(ギガ)、VF Corp(世界的なアパレル・フットウェア企業)、New Zealand Merino、ZQRXなどの企業が、ESGマンデートを把握するためにActualを利用しているという。 LinkedIn(リンクトイン)やAirbus(エアバス)の元社員によって設立され、サンフランシスコを拠点とするこのプラットフォームは、都市計画、ゲームデザイン、データビジュアライゼーション、科学的計画を組み合わせて、環境、社会、ガバナンス計画のモデル化と実行を行うとしている。 Actualの共同設立者であり社長のKarthik Balakrishnan(カーティック・バラクリシュナン)氏は、声明の中でこう述べている。「我々は、企業や社会的責任に関する誓約を実行しない企業が後れをとる段階に来ています。投資家はすでに、ESGスコアの高い企業を好んでおり、企業が『クリーンでない』場合、資本へのアクセスが制限されます。Actualは、企業が規制を満たすために既存のオペレーションを適合させアップデートする様々なESGシナリオを迅速にモデル化し、遅滞なく実装できるように設計されています」。 Actualは、Heighten(Microsoft / LinkedInが買収)の元CEOであるRajesh Chandran(ラジェッシュ・チャンドラン)氏、Coin(Fitbitが買収)とAltiscope(現在はAirbus UTMとして知られる)の元共同設立者であるKarthik Balakrishnan(カーティック・バラクリシュナン)博士、LinkedInの元ソフトウェアエンジニアでローズ奨学生のDerek Lyon(デレク・ライオンズ)博士が共同で設立した。 デレク・ライオンズCTOは、電話で次のように語ってくれた。「現在存在するESGツールを見ると、その多くはいわゆる『データファースト』です。つまり、多くのデータを収集することに重点を置き、カーボンAPIのようなものに入力し、それらの情報をすべて使用して、企業のESGフットプリントの現状を非常に正確に把握しようとしているのです」。 「当社のアプローチは『モデルファースト』と呼ばれるものです。顧客企業がが現在持っているデータを、たとえそれが不鮮明なものであっても、または単なる推定値であっても、それらを実際のモデルにプラグインし、ビジネスロジックや、多くの変革に重要な基礎的なサイエンスやエンジニアリングと結びつけることを可能にするモデルを構築することに注力しています。そしてそのモデルを使って、将来的に変化するであろうシナリオをモデル化することができるのです」。 画像クレジット:Actual HQ [原文へ]

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【コラム】DAOに未来を任せられるか?今のところは無理だ

Coinbaseといった暗号資産取引所が、伝統的経済体制の支持者の目を暗号資産が提供する利益に目を向けさせるようになったのは、つい昨日のことのようである。 暗号資産などの分散型テクノロジーは、信頼を確立するための自動化された方法を提供することにより本当の社会的価値を生み出すことを約束するアプリケーションを生み出してきた。しかも、このアプリケーションは信頼を独占してきた従来の介在者(銀行や政府)によるサービスよりずっとコストがかからない。 前向きな思考の持ち主たちは、分散型テクノロジー革命に基づき、次なる大きなブレイクスルー、自律分散型組織について議論している。これは組織レベルでの信頼を保証できる可能性のあるテクノロジーである。しかし、DAOによる問題解決が現実的なものである一方、DAOの支持者はこれらの問題の性質を誤解し、利益よりも害をもたらすツールを提供しているのではないか。 分散型アプリケーションは、スマートコントラクトと呼ばれる、あらかじめ定められた条件が満たされた時に実行されるアルゴリズムで成り立っており、そのようにすることで一般的な意思決定を自動化する。スマートコントラクトは予測性を保証することで信頼を確立しており、あらかじめ定められた一連の動きが発生すると、トークンで支払いが行われる。 こうしたやり方を熱心に支持する人々は、DAOを信頼構築プロセスの次なるステップとみなしている。彼らは、一連のスマートコントラクトを統合して、彼らがスマートな「組織」と呼ぶものを作り出そうとしている。そこでは在庫管理、現金管理、価格設定といった事業上の決定や雇用さえも、あらかじめ定められたインプットを元に行われる。 極端な例として、Amazonのサードパーティセラーについて考えてみよう。このセラーは、さまざまな商品に対する関心のレベル、さまざまな施設での原料や生産コスト、配送コストといった一連のシンプルなインプットに基づいて事業を運営している。これらのあらかじめ定められたインプットをベースにすると、投資家にとって価値は、非常にシンプルに判断できるものであり、DAOはマネージャーが間違った、または自分の利益に基づく判断をする可能性を排除する。 事業者は、投資家の視点から見ると最適ではない意思決定をさまざまな理由(これはよくいっても不透明なもので、自己利益のためであることが非常に多い)でするものだ。例えば、よりコストの高いメーカーに切り替えるといった決定は、品質が低いことで製品が返品されることへの対策であるかもしれないし、あるいは、その新しいメーカーの経営者が自分のいとこだから、という理由によるかもしれない。 DAOを用いると、事業は一切人間の手を経ず運営され、すべての判断はスマートコントラクトによって行われる可能性がある。ある製品シリーズが売れなければ、生産量は自動的に削減され、価格も在庫が減るまで引き下げられるだろう。販売量が増えれば、生産量も増加する。生産コストが上がれば、それにあわせて価格も引き上げられる、といった具合である。そして、事前に定められた(そして事前に承認された)スマートコントラクトに基づき投資を決定したDAO投資家が利益を受け取ることになる。 しかし、小さな問題を解決するためにスマートコントラクトへ大きく依存すると、エッジケースと呼ばれるものの影響を受けることになる。仮に、メーカーでストライキや火災が発生したらどうなるだろう?注文を再開しても安全かどうかマネージャーが判断するよりも優れた判断をスマートコントラクトができるとは想像し難い。 これこそが、事業者がスマートコントラクトに加え従来のコントラクトを用いる理由である。現実には、ビジネスにおける関係性とういうのは、一連のスマートコントラクトで予測可能な範囲をはるかに超えて混沌として複雑な要素で成り立っている。もちろん、DAOはこうしたエッジケースの解決に社員やコンサルタントの形で人の手をかりることができるが、私が疑問に思うのは、人がスマートコントラクトが引き起こした問題を解決するのに招集されるのを快く受け入れるかどうか、ということである。 分散型ファイナンスは、定量化可能な経済的決定をより効果的に検証することで価値を生み出している。これが成功を収めてきたのは、単純な(または複雑なものでも)取り引きのための自動化信用メカニズムには、決定の利益を測定する単純な指標(経済的価値)しかいらないためである。 しかし、組織やコミュニティではいうまでもないが、取り引きにおける信用を解決するのと、関係性の中に信頼を確立するのとでは、大きな違いがある。人は取り引きから経済的価値を得るが、関係性や組織の一部であることから、また別の価値を得ている。私たちは、組織の一部であることからここが居場所であるという感覚を得、この場所の感覚から、最終的には自己感覚を得るのである。 この場所の感覚は、お互いにそしてグループ内で常に再交渉が行われている、相互関係の網から得られるものだ。そして組織的な関係においては、私たちは常に意思決定において競合する価値を常に比較検討する必要がある。「経済的な意味はないが、将来だれかが私を助けてくれることが期待できるような意思決定をすべきだろうか?」といった具合に。 Pierre Bourdieu(ピエール・ブルデュー)氏は、こうした価値の総体をフィールドと説明し、各人のフィールドはそれぞれが積み上げてきた歴史的環境や文化的環境に基づき異なるものからでき上がっていることを強調している。ブルデュー氏によると、これらの関係性をマスターするには、人はすべてに適用できるアルゴリズムではなく、彼が「ゲーム感覚」と呼ぶ直感が必要である。 このゲーム感覚は、夢想家と優れたビジネスマンを区別するものである。そして、もっと重要なことは、それが単なる良い人間と優れたマネージャーを分けるものであることだ。私にとって、DAOが欠陥のある既存のビジネス組織に取って代わることができるかを最終的に証明するには、スマートコントラクトがいつ従業員に休日を与えるのが最適がを判断できるようになることが必要だ。あなたがDeFi支持者なら、それを実現できるか努力してみて欲しい。 [原文へ] (文:Bob Greenlee、翻訳:Dragonfly) Original Post>

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【コラム】AI時代の「データの産業革命」:創始者たちが間違っていたこと

2010年2月、The Economist(エコノミスト)は「Data, data everywhere」というレポートを公開した。当時は、そのデータのランドスケープが実際にはどれだけ単純なものであったか、ほとんどわかっていなかった。つまり、相対的に見て、2022年に目を向けるときに直面するデータの現実を考えた場合である。 このEconomistのレポートの中で筆者は、ビッグデータをめぐる興奮から始まり、現在のデータ駆動型AIの時代に続いている「データの産業革命」に社会が突入しつつあることについて語った。この分野の多くの向きが、この革命によってより多くのシグナルを持つノイズを抑えた標準化がもたらされると期待していた。だがその代わりに、ノイズは増え、一方でシグナルはより強力になっている。つまり私たちは、ビジネス上の成果が大きくなるポテンシャルを有しながら、より困難なデータの問題を抱えているのである。 また、人工知能にも大きな進歩が見られている。それは現在のデータ世界にとって何を意味するのだろうか。私たちがいた場所を振り返ってみよう。 Economistの記事が掲載された当時、筆者はカリフォルニア大学バークレー校を離れ、同大学と共同でIntel Research(インテル・リサーチ)の研究所を運営していた。私たちは当時、今でいう「モノのインターネット(IoT)」に全面的にフォーカスしていた。 当時私たちが話していたのは、建物や自然、壁の塗料など、あらゆるものに埋め込まれた、相互に接続された小さなセンサーのネットワークについてであった。物理的な世界を計測しその現実をデータとして捉えることができるというビジョンがあり、そのビジョンに向けて理論を探求し、装置やシステムを構築していた。 私たちは将来に目を向けていた。しかし当時、データに関する一般的な熱狂のほとんどは、ウェブと検索エンジンの台頭を中心に展開していた。誰もが「ドキュメント」という形で大量のデジタル情報にアクセスできることを話題にしていた。ドキュメントとは、人間が生成し、人間が消費するコンテンツのことを意味する。 水平線の向こうに見えたのは、さらに大きな機械生成データの波だった。これは、筆者が「データの産業化」と呼んだものの1つの側面であり、データは機械駆動でスタンプアウト(型に合わせて生成)されるため、ボリュームが大幅に増加していくだろうと考えていた。そして、それは確かに起こった。 筆者が想定していた「データの産業革命」の第2の側面は、標準化の出現である。簡単に言えば、機械が生成しているものは毎回同じ形式で生成されるため、無数のソースからのデータを理解して結合することで、よりゆるやかな増幅過程を実現でるはずだ。 標準化の先例は古典的な産業革命であり、すべての関係者が交通機関や船舶のような共有リソースやプロダクト仕様を標準化するインセンティブが存在した。それはこの新しいデータ産業革命にも当てはまるように思われ、経済やその他の影響力がデータの標準化を推進するだろうと考えられた。 そのようなことはまったく起こらなかった。 実際、逆のことが起こった。「データの浪費」が大幅に増加した。これはログファイルの形式で計算量が指数関数的に増大した結果であり、標準化されたデータはわずかな増加に留まった。 そのため、統一された機械指向のデータではなく、さまざまなデータやデータ型が膨大な量となり、データガバナンスが低下した。 データの浪費や機械生成データに加えて、データを敵対的に利用するようになり始めた。これはデータに関与する人々が、その利用に対して多くの異なるインセンティブを持っていたためである。 ソーシャルメディアのデータと「フェイクニュース」に関する最近の話題を考えてみよう。21世紀初頭においては、個人だけでなく、大衆にリーチしようとしているブランドや政治的利益のために、デジタル情報をバイラルにすることの巨大な実験がなされた。 今日では、そのコンテンツの多くは実際には機械で生成されているものの、人間の消費と行動パターンに合わせたものだ。何年も前の純真な「人による、人のための」情報通信ネットワークとは対照的である。 要するに、今日のデータ生産産業は途方もなく大規模であるが、標準的なデータ表現に合わせて調整されておらず、10年余り前に筆者がこうした予測を立てたときに期待していたものではない。 イノベーションの状況:AI対人間のインプット この10年ほどで明らかに大きく進歩したのが人工知能だ。私たちがアクセスし、処理し、モデルに取り込むことができるこの莫大なデータは、数年のうちにAIをSFから現実に変えた。 しかしAIは、ビジネスデータ処理の領域では期待していたほど有用ではない。少なくとも今のところはそうだ。自然言語処理のようなAI技術と構造化データの間には、驚くほどのずれが依然として存在する。いくらかの進展があったとしても、ほとんどの場合、データと通信して多くの成果が返ってくることは期待できない。Google(グーグル)で定量的な質問をして、テーブルやチャートが返ってくることもあるが、それは適切な質問をする場合に限られる。 AIの進歩は、スプレッドシートやログファイルなどの定量的で構造化されたデータ(IoTデータを含めて)とは、まだ大きく分離されている。結局のところ、私たちが普段データベースに入れているような従来型のデータは、画像検索や単純な自然言語による質問応答のような消費者向けアプリケーションよりも、AIで解読するのがはるかに困難であるということだ。 例えば、Alexa(アレクサ)やSiri(シリ)にデータのクリーニングを頼んでみよう。おもしろいが、あまり役に立たない。

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デジタルリスクマネジメントの着実な実行体制の構築を目指して:第7回

業種を問わない至上命題であるデジタルトランスフォーメーション(DX)。その機運と共に、テレワークやペーパーレスなどの導入・刷新が急速に進む中で、これまであまり顕在化しなかったリスクへの対処=デジタルリスクマネジメントが大きな課題となっている。最終回となる今回は、各回で取り上げてきたトピックや課題を踏まえて、デジタルリスクマネジメントへの取り組みを実効性をもって推進するうえでの組織的な対応の考え方、ポイントを示していく。 リスク管理の視点から取り組みの全体像を確立する デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するにあたり、どうしても個別の要素技術の取り込みや、データの高度な利用などに目が行きがちである。ただし、デジタルリスクマネジメントを網羅的かつ体系的に行うためには、全体の戦略から個別の施策適合まで、全体的な取り組み方針の確立が必要となる。 図1は、リモートワークの導入プロジェクトを例に取った、取り組みの全体像である。リモートワークの方針を定めたうえで、その遂行にふさわしい組織モデルの検討を行い、対象業務の選定と業務プロセスの明確化、適用するテクノロジーの選定などを進めていく。そして、生産性確保のためのパフォーマンス管理を検討すると共に、テクノロジーを適切に利用するためのスキルの育成、教育も考慮することになる。 図1:リモートワーク時の取り組みの全体像 拡大画像表示 ここでポイントとなるのは、方針の策定からパフォーマンス管理、スキル育成などを、リスク管理の視点をもって進めることである。急場しのぎで定めたリモートワーク方針の下で、テクノロジー選定・導入を突貫で進めて利用にこぎつけたものの、十分なパフォーマンス管理や教育ができていない──そうしたケースはまさに全体像の不十分から起こり、その後の運用で発生するリスクを見逃しかねないだろう。 デジタルリスクマネジメントを実現する組織体制とは 上述のリモートワークの導入を例に説明を続けよう。急場しのぎの方針策定や取り組みの全体像の不十分がもたらすリスクの典型として、テクノロジーの選定・活用の不備によるネットワーク接続環境の不安定、データ管理ルールの整備不十分による不適切な持ち出しの横行などが挙げられる。 この取り組みでは少なくとも次のような施策がなされることが望ましい。 ●全社共通で全体方針を検討 ●人事部門が労務管理上の制度を整備 ●IT部門がリモート端末、Web会議環境、ネットワーク接続環境、セキュリティ対策等を整備 ●情報管理部門が書類とデータの持ち出し管理とルールを再整備 ●業務部門がコミュニケーション、承認ルールなどを見直し ●ファシリティ管理部門がサテライトオフィス、出社比率を考慮したオフィス設計を再考 ●経営層がリモートでメッセージを発信して、社内の意識変革、文化浸透を醸成 上記のような個別の施策に対して各部門が対応を進めつつ、全体最適の観点で、生産性向上やセキュリティの維持を図っていく必要がある。 リモートワークの例を挙げたが、DX推進の一環で取り組まれるさまざまなプロジェクトにおいても、全体像を見渡すと同時にリスクも考慮する必要があるのは言うまでもない。 3ラインズ・オブ・ディフェンスで確固たる体制を では、全体像を見渡しながらリスクを考慮して種々のプロジェクトを進めていくにあたって、具体的にどのような体制が必要になるか。それには、リスクを多段階層でモニタリングする「3ラインズ・オブ・ディフェンス(Three Lines of Defense:3つの防衛戦)」の考え方を用いて整理するのが有効と考える(図2)。 図2:3ラインズ・オブ・ディフェンスの考え方

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技術系スタートアップが在宅勤務のソフトウェア開発者を大切に扱うための5つのヒント

先に迎えた世界メンタルヘルスデーを目前に控え、私はテック業界がいかに精神的に良好な状態を保つのが難しい場所であるかを考えていた。特に、前例のない状況でのリモートワークは、困難な状況をさらに悪化させる可能性がある。10年以上にわたってテクノロジー業界でリモートワークをしてきた者として、今回はペースの速い技術系スタートアップ企業がソフトウェア開発の人材を大切に扱うためのヒントを紹介したい。 最高の状態でのソフトウェア開発は、創造的な試みとなる。開発者が質の高い仕事をするためには、ある程度の快適さが必要だ。退屈な作業、騒がしいオフィス、あまりに多い会議などは、生産性が最高の状態であっても影響を及ぼす。 しかし、健康はもっと基本的なものであり、ニーズの階層の中でもほぼ最下層に位置するもので、これには精神的な健康も含まれる。ソフトウェア開発者が仕事をするためには、脳の状態が良好でなければならない。物事がうまくいかないとき、本当の問題を知らなくても、同僚のコードを見ればわかることもある。 リモートで働くスタートアップチームの分散により、健康維持はより困難になっている。リモートで働いていると、チームのウェルビーイングをサポートするためのオフィスの機能が欠落してしまう。無料のフルーツやコーヒー、ビーズソファだけでなく、同僚がつらい思いをしていても気づきにくいこともある。同僚と同じ場所にいないと、誰が遅刻や早退するのか、あるいはやや活力がない感じがするのかを見分けるのが難しくなる。 また、井戸端会議がない場合、同僚がうまくやっているかどうかを確認するのが難しくなる。しかし、もし誰かのことが気になっていて、その人に聞くべきかどうか悩んでいるのであれば、私は常に連絡を取るようにアドバイスする。リモートチームにおいては、コミュニケーションを増やす必要がある。メンタルヘルスに関しては、誰かが1人で限界に達してしまうよりも、言葉を発して、その人が元気であること、何も心配する必要はなかったと知るほうがいい。 自主性を重んじる 私は10年以上にわたり、大企業から中小企業でも、さらには自分のフリーランスのコンサルタントでも、自分の意思でリモートワークを行ってきた。私が在宅勤務で最も重視しているのは、柔軟性だ。特に、ソフトウェア開発者としてメーカーのスケジュールに合わせて仕事をする場合には、柔軟性が重要になる。 私は、最高の仕事をより多く実現するために、一連のライフハックを発見した。例えば、早い時間にオフィスで仕事を始めた後、午前11時にジムでトレーニングをしたり、その日の最後のミーティングの前に夕食をオーブンに入れたりするのだ。このように、仕事と並行して「生活」を送ることができるのは、特に苦しいとき、自分自身の幸福感を高めるのに有効だ。 ダニエル・ピンクの著書『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』では、自律、成長、目的がモチベーションの主な原動力であることを取り上げている。ソフトウェア開発の仕事を成功させるには、モチベーション、承認、自信が重要だ。自分のスキルを使ってより大きな目標に向かって貢献する権限を与えられることは、非常にやりがいのあることであり、通常仕事の選択や優先順位の決定において自由度が高いスタートアップ企業の開発者にとっては、非常に満足のいくことだろう。 しかし、Haystackの調査によると、開発者の83%に燃え尽き症候群が報告されている。そのため、ソフトウェア開発者には現実的な期待を設定するよう注意して欲しい。物理的なオフィスがない場合、適切な時間に帰宅させるのは難しいので、そのような期待は慎重に設定する必要がある。特に、勤務時間がフレキシブルで、大きなプロジェクトを任されやすい場合には慎重になるべきだ。 教育は社員を大切にしているということ 開発者は生涯学習者だ。業界の変化が非常に速いため、開発者はそうならざるを得ない。彼らは常に自分自身、知識、スキルに投資している。 雇用者は、開発者を個人としても投資することができる。企業によっては手厚いトレーニング予算や休暇を提供するところもある。私はかつて小さなソフトウェア会社で働いていた。そこでは学習のための予算は提供されていなかったが、月に1日、学習のための日を予約することができ、そこで教科書を読んだり、新しいテーマについて誰かに1時間のチュートリアルを頼んだりすることができた。会社にとっては大したコストではなかったが、私の成功を願ってくれているように感じた。 働く自由 開発者に金銭的な報酬を与えても、モチベーションの向上にはつながらない。しかし時間を与え、開発者を信じて時間を直接的なプロダクトエンジニアリングの仕事以外に使ってもらうことは、大きな効果が得られる可能性がある。 Googleは、社員の時間の20%を「おもしろいと思ったことに使っていい」というアプローチをとったことで有名だ。それによって便利な製品も生まれたが、重要なのは開発者が仕事に関わっていると感じ、信頼されているということだ。Atlassianも同様のことを行っていることで有名だ。全社員が24時間、自分の好きなプロジェクトに取り組み、他の方法では決して出てこなかったかもしれない驚くべき革新や改善を生み出している。 多くの開発者は、自分の時間の多くをオープンソースプロジェクトに費やしている。このことを他の職業の人に説明しようと何度か試みたことがあるが、ハッカー文化は不可解だということが分かった。 しかし、開発者はこの世界に強く共感し、91%の開発者がオープンソースが自分の将来の道だと答えている。開発者にオープンソースへの貢献を許可することで、彼らはより自分たちが大事にされていると感じることができる。このようなオープンソースコミュニティは、開発者の社会的ネットワークやサポートネットワーク、さらにはアイデンティティの重要な一部となり、開発者のより広い意味での幸福のために欠かせないものとなる。 オープンソースの教訓 現代の職場では、他人がプロジェクトに参加できるという点でオープンソースから学ぶことがたくさんある。オープンソースのプロジェクトは真のリモートワークフローが機能している合理的なモデルとなっている。 ソフトウェアの世界の基礎的な構成要素のいくつかは、メーリングリストやIRCチャンネルでしかお互いを知ることができなかった人々によって作られたものだ。ソフトウェアは作られたが、おそらくそれ以上に重要なのは、強力なコネクションが作られたことだ。 今日のリモートソフトウェアチームは、自らの選択によるものであれ、状況によるものであれ、より優れたツールを利用することができる。ソース管理ツールやコラボレーションツールは、今やメーリングリスト以上のものであり、テキストチャット、オーディオコール、ビデオコールで常に連絡を取り合うことができる。画面共有やVSCode Live Shareのようなツールを使って、遠隔地でプログラムを組み合わせることも可能だ。

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AI/機械学習とデータ分析の関係を知る(4) 学習済み開発における留意点

前回 は、学習済みモデルを利用したシステム/サービスの特徴と、学習済みモデルを利用する際の注意点の1つである「ユーザーのデータリテラシ(分析結果を理解し、それを説明できる能力)」について解説しました。今回は、学習済みモデルを利用する際のもう1つの注意点である「学習済みモデル開発における従来とは異なるソフトウェア開発方式や契約形態」について解説します

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AIOpsがもたらす具体的なメリットと、検証に伴う「リスク」の有無

AIOps」はIT運用(Ops)向けAIを表すためにGartnerが生み出した造語であり、機械学習とデータサイエンスによるIT運用とパフォーマンスの問題点の特定、トラブルシューティング、解決に寄与する。AIOpsにはある程度の自動化と手作業の削減も含まれる。

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従量課金制ストレージサービスプロバイダーに問うべき5つの質問

一企業が必要とするストレージ容量を正確に予測するのは難しく、オーバープロビジョニングのリスクが伴う。そのため貴重な設備を活用し切れなかったり、逆に容量不足で新規アプリケーションの展開が困難になったりすることがある。 Forrester Researchのナビーン・チャブラ氏(データストレージ担当アナリスト)は言う。「現時点で必要な容量と2〜3年後に必要になる容量の絶妙なバランスを見つけなければならない」 その結果、従量制課金モデルのストレージが台頭している。

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クラウド利用で高まる情報セキュリティリスク、その原因は? IT担当者が身に付けるべき運用の心構え

昨今、「うちの会社はクラウドを使っていない」と断言できる企業はほとんどないだろう。知名度の高いMicrosoft 365やGoogle Workspaceをはじめ、営業支援や名刺管理、請求書発行など、業務のあらゆる場面でSaaS(Software as a Service)を利用している企業は確実に増加した。これまで自社データセンターなどオンプレミス環境で運用してきた業務アプリケーションについても、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft AzureなどのIaaSに移行する動きが広がっている。

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