独SAP CTO ユルゲン・ミューラー氏 2022年1月19日(水)末岡 洋子(ITジャーナリスト) システム内製化の機運でローコード/ノーコード開発を取り入れる企業が急増している。伴って、ツールやプラットフォームの充実ぶりも著しい。独SAPもこのホットな市場に参入した1社で、2021年11月、ノーコード開発ツール「SAP AppGyver」を発表している。同社でCTO(最高技術責任者)を務めるユルゲン・ミューラー(Juergen Mueller)氏に、この市場への参入意義やAppGyverの特徴、そして最近の開発者向け製品・サービスの戦略について聞いた。 SAPにおけるローコード/ノーコード開発の位置づけ ──「SAP AppGyver(アプガイバー)」を投入した。SAPにとってのローコード/ノーコード開発市場の位置づけや戦略について教えてほしい。 企業にとってのシステムやアプリケーションの開発のあり方から話そう。我々は、今後、すべての企業がテクノロジー企業になると考えている。そのためには、従業員全員がエンドツーエンドのビジネスプロセスの重要性を理解する必要があり、当社はしかるべきツールを提供する。 SAPの開発者向けポートフォリオには、プロ開発者向けのほかに、プロ開発者ではなくとも、当社製品のカスタマイズなどを行うための「Advanced Business Application Programming(ABAP)」がある。ローコード開発については既存の「SAP Business Application Studio」。そして今回、ノーコード開発のSAP AppGyverが加わった。それぞれターゲットが異なる。 写真1:独SAP CTOのユルゲン・ミューラー氏 SAP AppGyverは、2021年2月に買収したフィンランドのソフトウェアベンダー、AppGyverの製品がベースとなっている。AppGyverはノーコードの市場ではリーダーのポジションで、独DHLなど多数の顧客を擁し、4万人のユーザーコミュニティがある。 当社の製品になったSAP
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ログ分析ツール新版「Logstorage for AWS Ver.3.0」、Amazon S3に記録した任意のログを収集可能に
インフォサイエンスは2022年1月19日、AWS向けログ分析ソフトウェア「Logstorage for AWS」の新版「同 Ver.3.0」を発表した。同年1月14日にリリースした。新版では、AWSの各サービスが出力するログだけでなく、Amazon S3ストレージ上にある任意のログを取り込めるようにした。これにより例えば、オンプレミス環境のログをAmazon S3に出力している場合でもLogstorage for AWSでログを収集・管理できるようになった。 Logstorageは、情報システムの稼働ログを収集して分析するための、汎用のログ分析ソフトウェアである(関連記事:インフォサイエンス、ログ管理ソフト新版「Logstorage 8」、人事データなど外部マスターとログをひも付け可能に)。代表的なOSやアプリケーションのログに加え、テキスト形式であれば任意のログを扱える。ログは、Syslog、専用エージェント、FTP、共有フォルダなどを介して収集する。 Logstorage for AWSは、AWS上のログ管理に特化したエディション(図1)。AWS上で利用可能なログ管理サービス(AWS CloudTrail、AWS Config、Amazon CloudWatch Logsなど)が記録する各種のログデータを統合的に管理する。管理者は、ログデータに対して、AWS上のアクティビティを横断的に検索可能である。例えば、「EC2インスタンスの起動、停止、削除」、「Network ACL/Security Groupの変更」、「IAMロールの変更」、「Management Consoleへのアクセス履歴」などを調べられる。 図1:Logstorage for AWSの概要(出典:インフォサイエンス)拡大画像表示 今回の新版(Ver.3.0)では、オブジェクトストレージであるAmazon S3に出力したログファイルを収集する機能を追加した。これにより、オンプレミス環境のサーバーログや、AWSの各サービスのログをAmazon
日本のDX推進で必要なのは「アナログを許容したデジタル化」
Sansanは、紙の契約書や電子契約書など、あらゆる形式の契約業務をオンライン上で完結し、一元管理を可能とする新しいクラウド契約業務サービス「Contract One」(コントラクトワン)を、1月13日付けで発表。同日より正式サービスを開始した。 Contract Oneは、Sansanが培ってきたアナログ媒体を正確にデータ化する技術をもとに、紙の契約書をクラウドで受領・電子保存し、一元管理を可能とするサービス。契約書の製本から押印・郵送業務の代行まで行い、契約業務をクラウド上で完結させる。さらに主要電子契約サービス提供企業7社と機能連携することで、契約業務の包括的なDXを推進するという。2021年7月にプレローンチを行い、すでに既に45社が先行導入している。 Contract Oneでできること Contract Oneは、主に「スマート台帳」と「スマート判子」という、2つの機能で構成。スマート台帳は、どのようなフォーマットの契約書でもSansanが培ったデータ化技術により、正確にデータ化するというもの。契約書の情報をデータ化する際にネックになるのが、フォーマットや送付方法が各社で異なること。契約書は紙やPDF、電子契約を使って作成され、送付方法も郵送やメール送付など多岐にわたる。さらに電子契約を使用している場合でも、当事者間で使用するサービスが異なると、台帳化する際に手入力などの追加作業が発生することもあるという。 データ化された契約書はスマート台帳で一元管理が可能。また索引機能が備わっており、過去の契約書を探す必要がある場合は、契約内容や日付、契約企業名などから該当契約書や類似契約書などをすぐに見つける事ができる。 スマート台帳 スマート判子は、ユーザー企業の印鑑(印章)をContract Oneに預けることで、契約書作成に関わる製本から押印、郵送まで全てオンライン上で指示・実行することが可能となるもの。契約締結時には、契約書を取引先に送付する作業が発生するが、紙の契約書を取り交わす際には製本や押印、郵送といったアナログな作業が発生し、担当者の負担になるとともに、テレワークなどの新しい働き方を阻害していることが課題という。 スマート判子では契約書を発行する場合、Contract One上で指示をするとContract Oneが印刷・製本・押印を代行。取引先に郵送する。取引先から契約書を受領する場合は、ユーザー企業はオンラインで契約書の受領を確認し押印指示をすると、Contract Oneが押印を代行。取引先に返送する。 スマート判子 あわせて、前述のように主要な電子契約サービスと機能連携を行う。「クラウドサイン」(弁護士ドットコム)、「電子印鑑GMOサイン」(GMOグローバルサイン・ホールディングス)、「Adobe Sign」(アドビ)、「jinger」(jinger)、「マネーフォワードクラウド契約」(マネーフォワード)、「NINJA SIGN」(サイトビジット)の7つとなっており、順次実装していく。取引企業間で異なる電子契約が利用されるケースもあることから、企業が契約書を一元管理するためにはPDF化やインポート作業など、煩わしい工数が追加で発生することもあった。Contract Oneにより、各電子契約で受領した契約書についても一元管理が可能となるという。 Contract Oneの料金体系は月額10万円からとなっており、契約書のデータ化件数に応じて価格が変動するとしている。 契約書の一元管理 電子契約サービス主要7社と連携
東急電鉄と阪急電鉄、東京工業大学と協働で「列車内の混雑状況の可視化」に関する実証実験
東急電鉄と阪急電鉄は1月11日、東京工業大学と協働し、列車内の混雑状況の可視化に関する実証実験を実施すると発表した。 1月から、乗車前にリアルタイムで混雑情報を提供する。混雑度が低い車両への乗車を促し、混雑を避けたいというニーズに応えることを目指す。 具体的には、列車に乗車した利用者の持つスマートフォンの「Bluetooth」信号(電波信号強度:RSSIのみを測定・記録)を、駅に設置した「混雑解析装置」で取得。クラウド上のAIにて混雑状況を解析する。 また、AIの解析精度を高めるため、駅のホーム上から「高速度カメラ」で撮影、測定した混雑状況なども組み合わせ、AIのチューニングを行うという。 東急電鉄では、1月17日から2月28日の期間、田園都市線駒沢大学駅(東京都世田谷区)上り(渋谷方面)ホームで実施。 阪急電鉄では、1月12日から3月31日の期間、神戸本線の中津駅(大阪市北区)下り(神戸三宮方面行き)ホームと、神戸本線の十三駅(大阪市淀川区)下り(神戸三宮方面行き)ホームで実施する。 なお現在、スマートフォン向けアプリ「東急線アプリ」の「列車走行位置」画面において、リアルタイム情報として混雑状況を配信している。しかし、応荷重データがリアルタイムで取得可能な一部路線の東急電鉄所属の一部車両のみであるほか、その他の画面および、ホームページでは、過去データを分析したものが傾向値として配信されている。 同実験によって技術が確立した場合は、これまで対応できていなかった路線や相互直通運転を実施している他社所属車両の混雑状況もリアルタイム情報として配信できるようになる。また、データを蓄積することで傾向値を定期的に更新することも可能になるという。 同実験は、東京工業大学環境・社会理工学院の辻本研究室が開発した「列車内の混雑度解析技術」の精度を検証するもの。科学技術振興機構(JST)が実施する支援事業「SCORE」大学推進型(拠点都市環境整備型)に採択された、東京工業大学を主幹とするイノベーションデザイン・プラットフォーム(IdP)内のGAPファンドの支援により実施する。支援終了後は、東京工業大学発のベンチャーによる事業化を目指す。 Original Post>
レッドハットが「OpenShift Commons Gathering Japan 2021」を開催、キーパーソンが語るハイブリッドクラウドを実現するための3つのポイントとは
レッドハット株式会社は、クラウドネイティブなシステムを実装するためのコンテナ基盤、OpenShiftに関するコミュニティイベントを2021年12月2日にオンラインで開催した。 本稿では、「OpenShift Commons Gathering Japan 2021」と題された本イベントから、米Red Hatのハイブリッドプラットフォーム担当VPであるJoe Fernandes氏による「Road to Hybrid Cloud 」と、レッドハット株式会社の岡下浩明氏と北山晋吾氏による対談セッションを紹介する。岡下氏と北山氏の対談の中では、日本アイ・ビー・エム株式会社、三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社のプレゼンテーションを紹介している。 3つの柱から理解するハイブリッドクラウドへの道 Fernandes氏のセッションはハイブリッドクラウドを実現するためのポイントを3つの柱に絞って解説している。 セッションを行うJoe Fernandes氏 ハイブリッドクラウドの全体像としては、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)を最下層のインフラストラクチャーとし、その上にKubernetesのディストリビューションであるRed Hat OpenShiftを位置付けている。稼働させるアプリケーションについてはレガシーアプリケーションからマイクロサービス、機械学習やデータ分析のアプリケーション、そしてISVによって提供されるサードパーティのアプリケーションもRed Hat OpenShiftによって運用できることを示した。 ハイブリッドクラウドの全体像
セコム、AI活用の「バーチャル警備システム」を発売–キャラクターが警戒・受付業務を担当
セコムは1月13日、世界初となるAIを活用して警戒監視や受付業務などを行う「バーチャル警備システム」の販売を開始すると発表した。 労働力人口が減少していく日本社会において、さまざまな業務をより効率的に少人数で行うことが求められている。同社によると、警備業もその例外ではなく、特に有人施設などにおける常駐警備では、セキュリティニーズに応えるための人材確保、人件費高騰によるサービス価格への影響を回避するための新たな解決策が求められているという。 今回販売を開始する「バーチャル警備システム」は、革新的・独創的なサービス創造に向けた同社とパートナーとの戦略的な協働プロジェクトのブランド「SECOM DESIGN FACTORY」から誕生。同社とAGC、ディー・エヌ・エー、NTTドコモの4社が協働し、2019年4月に初期プロトタイプを発表。2020年6月の発熱者対応の実証実験など、試験運用と開発を繰り返しながら実用化を図っていた。 このサービスは、現実空間を映しこむディスプレイ一体型ミラー上にバーチャルキャラクター「バーチャル警備員」を表示し、常駐警備サービスを提供するセキュリティシステム。AIを活用した警戒監視や受付業務などをバーチャル警備員が担当。対処や緊急対応などの業務については熟練した常駐警備員が担当する。また、クラウド制御により、どこからでもモニタリングや設定操作が可能だという。 具体的には「バーチャル警備システム」の監視卓から最大3台の「バーチャル警備員」が管理でき、常駐警備員と連携した効率的で高度な施設警備を提供する。なお、「バーチャル警備員」は、男性「衛(まもる)」・女性「愛(あい)」の2キャラクターがあり、使い分けが可能。 加えて、「バーチャル警備員」は目配せなどにより存在感を発揮しつつ周囲の警戒・監視を行い、犯罪抑止効果を発揮するという。内部にカメラやモーションセンサーなど各種センサーを搭載し、AI解析により近づいた人への声掛けを行うほか、映像・音声で急病人の発生といった緊急事態を認識した場合は自動でモニタリングダッシュボード(監視用アプリ)に通報する仕組みを備える。 来訪者から話しかけられると、AIが音声認識してあらかじめ設定した対話シナリオに沿って、自律的に受付業務を行う。来訪者の背丈に合わせて腰をかがめたり、対話内容に応じた自然な表情をしたりすることも可能。災害発生時にはミラーディスプレイに避難経路など、案内に必要な画像表示にも対応する。 自律応答が難しい場合やきめ細やかな対応が必要な時には、モニタリングダッシュボード(監視アプリ)より常駐警備員が遠隔で通話して応対することもできる。オプションにより、顔認証システムと連携させた来訪者の案内や、サーマルカメラを設置して来訪者に検温にも対応するという。 Original Post>
データ分析企業Databricksが同社初の業界特化型レイクハウスを発表
クラウドインフラストラクチャのプロジェクトがどんどん複雑になっている中で、特定の業界に向けてあらかじめパッケージ化したソリューションを提供することが業界のトレンドとなっている。米国時間1月13日、潤沢な資金を持つデータ分析企業のDatabricksが、同社初の業界特化ソリューション「Lakehouse for Retail」を発表してこのトレンドに参戦した。同社は小売業者に対し、これまでの分析ツールやDatabricksのAIツールによって生成される膨大な量のデータから価値を抽出するのに役立つ、完全に統合されたプラットフォームを提供するとしている。 Databricksの共同創業者でCEOのAli Ghodsi(アリ・ゴディシ)氏は「これは我々のジャーニーにおける重要なマイルストーンで、企業がリアルタイムで事業を運営し、より正確に分析し、顧客のすべてのデータを活用して有意義なインサイトを明らかにするものです。Lakehouse for Retailは小売業における企業やパートナー間でのデータドリブンのコラボレーションと共有を推進します」と述べている。 このプラットフォームを早期に利用している企業には、Walgreens、Columbia、H&Mグループなどがある。これらのユーザー企業はDatabricksのプラットフォーム全般を利用できるが、特に重要なものとしてLakehouse for RetailのSolution Acceleratorsがある。Solution Acceleratorsは、Databricksが「データ分析と機械学習のユースケースとベストプラクティスに関するブループリント」と呼んでいるもので、うまくいけば新規ユーザーが開発にかかる時間を何カ月も節約できる。これには、リアルタイムストリーミングのデータインジェストのテンプレート、需要予測、レコメンデーションのエンジン、顧客のライフタイムバリューを測定するツールが含まれる。なおDatabricksには以前にも同様のブループリントがあったが、Databricksが統合ソリューションとして提供していたわけではなく、利用者が自分たちで構成しなくてはならなかった。 Walgreensの医薬・ヘルスケアプラットフォームテクノロジー担当バイスプレジデントであるLuigi Guadagno(ルイージ・グアダーニョ)氏は次のように述べている。「Walgreensでは毎年、膨大な数の処方箋を処理しています。DatabricksのLakehouse for Retailを利用することで、このすべてのデータを一元化し、1カ所で保管して分析や機械学習のワークロードをフル活用できます。複雑さやコストのかかる旧式のデータサイロを廃することにより、インテリジェントで一元化されたデータプラットフォームでクロスドメインのコラボレーションが可能となり、柔軟に適応し、スケールし、お客様や患者様により良いサービスを提供できるようになりました」。 ここ数年、Databricksは「レイクハウス」の概念を普及させようとしてきた。その概念とは、分析のためのデータウェアハウスと、まだ活用されていない膨大な生データを保管するデータレイクの利点を組み合わせるということだ。 画像クレジット:Boy_Anupong / Getty Images [原文へ] (文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)
小池酸素工業、グローバルサプライチェーンをOracle Cloud ERP/SCMで刷新
金属切断機メーカーの小池酸素工業は、グローバルサプライチェーンの最適化に取り組んだ。「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning(ERP)」および「Oracle Fusion Cloud Supply Chain & Manufacturing(SCM)」製品群の「調達、受注、サプライチェーン計画」を採用した。迅速な受注管理による顧客満足度向上や業務標準化による生産性向上を図る。日本オラクルが2022年1月13日に発表した。 小池酸素工業(本社:東京都墨田区)は、ガス・プラズマ・レーザーの金属切断機を製造するメーカーである。同社は、グローバルサプライチェーンの最適化を目的に、Oracle Cloud ERP/SCMの「調達、受注、サプライチェーン計画」を採用。迅速な受注管理による顧客満足度向上や、業務標準化による生産性向上を図るとしている。 同社はこれまで、顧客、従業員、経営の3つでそれぞれ課題を抱えていた。顧客視点では、紙ベースの受注簿管理によって処理に工数がかかり、顧客のニーズをリアルタイムに把握できず迅速な受注管理が困難だった。従業員視点では、複数のシステムを介した煩雑な業務の増大に加え、シニア人材の退職に伴う業務の継承に対する懸念があった。経営視点では、分散したデータとその収集のため、正確な損益把握に時間がかかり、迅速な意思決定に課題があったという。 今回、これらの課題を解決し、グローバルサプライチェーンの最適化に取り組んだ。Oracle Cloud ERP/SCMの採用により、部門間にまたがるプロセスを標準化し、フロントとバックオフィスのデータの一貫性を保持しながら最適な需給計画を立案できるようにした。また。、受注生産・出荷先データの可視化で、受注から出荷のリードタイムを短縮し、顧客への迅速かつ的確な対応につなげるとしている。 手作業でやり取りしていた部門間情報を一元化し、処理を自動化することで業務効率を促進する。経営層は、サプライチェーンから会計までのオペレーションの可視化によって、集中購買でコストを抑制しながら過剰在庫の解消や多様な分析による迅速な意思決定を行う。 導入プロジェクトは、Oracle Cloud ERP/SCMの導入実績を持つイー・ビー・ソリューションズが担当した。なお、小池酸素工業が今回採用した製品群は、日本オラクルの調達管理「Oracle Fusion Cloud
日本総研ら、IoTを活用し食品ロス削減の実証実験–経済産業省委託事業で
経済産業省は1月11日、フードチェーン3領域における食品ロス削減に関する取り組みとして、IoT技術を活用した食品ロス削減に関する実証実験を実施すると発表した。 同実験は、経済産業省委託事業「令和3年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用した食品ロス削減の事例創出)」(委託事業者:日本総合研究所)を一部活用。産地および、スーパーマーケット、消費者の家庭における電子タグを活用した食品ロス削減に関する実験を1月12日から2月28日までの期間、東京都内で実施するものとなる。 なお、日本総合研究所、イトーヨーカ堂、今村商事、サトー、シルタス、凸版印刷、日立ソリューションズ西日本の7社が参画するSFC構想研究会の活動として行われる。フードチェーン全域を産地から小売店舗、小売店舗、小売店舗から消費者までの3つの領域に分け、それぞれ食品ロス削減に関する実証実験を実施するという。 産地から小売店舗における実証実験では、「青果物の持つ多様な情報による販促」と「リアルタイムの流通状況に応じた販促」をテーマに、青果物が持つさまざまな情報のうち、これまであまり利用されてこなかった情報を活用した新たな価値を消費者に提供する販促を店頭で実施。食品ロス削減への効果を検証する。 実施場所は、イトーヨーカドー曳舟店。実施期間は、1月12日から1月31日まで。対象商品は、アイコトマト、なめこ、ほうれん草。 具体的には、産地で生産者が入力した青果物の情報を販促用に加工し、店頭のデジタルサイネージや電子チラシアプリ(Shufoo!)を通じて発信。その情報を受け取った消費者が、店頭で商品を確認して購入できるようになる。青果物の流通状況は、生産出荷時にコンテナに取り付ける電子タグ(ZETag)を通じて、卸売業者、小売店舗での入出荷時に把握可能。電子タグを通じて、青果物の流通状況をリアルタイムで追跡しながら、消費者への販促を適切なタイミングで実施するという。 小売店舗における実証実験では、「店舗業務の効率化」と「効果的・効率的な売り切り促進」をテーマに、賞味・消費期限別に在庫を可視化し、電子棚札を活用したダイナミックプライシングを導入することによる、店舗における業務効率化と食品ロス削減への効果を検証する。 実施場所は、イトーヨーカドー曳舟店。実施期間は、1月12日から1月31日までと、2月9日から2月28日までの計40日間。対象商品は、デイリー・日配品から10SKU(同じ棚に陳列される同一SKU内で、賞味・消費期限のバラツキが発生することが多いものを選択)。 具体的には、商品の入荷時に、賞味・消費期限別のコードが印字されたラベルを発行して貼り付けるという。ラベルの発行データ(SKU×賞味・消費期限)を専用ツール「サトー・ダイナミック・プライシング・ソリューション(SDPS)」に取り込むことで、可視化された賞味・消費期限別の在庫状況を踏まえたダイナミックプライシングを実施する。 消費者は、電子棚札と商品に貼り付けられたラベルを確認し、商品を通常通りPOSレジで購入できる。 小売店舗から消費者における実証実験では、「購買データを活用した購買支援」「消費・廃棄データの取得による在庫管理」「データを活用した調理支援」「ゲーミフィケーションを活用した購買促進」「消費・廃棄データによるデマンド型の需給予測」という5つをテーマに行われる。 購買データや消費・廃棄データを「健康」という切り口で活用しながら、食品の購入・調理・保管を支援する消費者サービスとして提供し、家庭内での食品ロス削減への効果を検証するという。 実施場所は、イトーヨーカドー曳舟店および、参加者自宅。実施期間は、1月12日から1月31日までと、2月9日から2月28日までの計40日間。参加者は、20〜60代の男女(約100名)。 具体的には、参加者に食事管理アプリ(SIRU+)で買い物リストを作成してもらい、セルフスキャンアプリを利用しながら店頭で買い物を行ってもらう。なお、セルフスキャンアプリは、購入中のカート内の商品データや購買完了後の購買データを食事管理アプリと連携する。 また、食事管理アプリでは、セルフスキャンアプリによってスキャンされたカート内の商品データを基に、家庭の在庫状況および、栄養バランスを考慮した商品の購入を促すレコメンドも実施する。 加えて、購入した商品に対し、自宅でBluetoothタグを貼り付けてもらい、調理の際に残った商品を重量センサーで計測することで消費データを取得。イエナカデータクラウドを通じて、食事管理アプリ上の在庫情報を更新する(参加者自身で消費量・廃棄量を手入力することも可能)。 消費・廃棄データを取得・入力した際には、買い物に利用できるポイントが食事管理アプリ内で付与されるほか、健康的な食生活を楽しみながら行えるように、ゲーミフィケーションを取り入れ、購入した商品の栄養バランスに応じて見た目が変わるキャラクターを表示する。 さらに、栄養バランスや食品のおおよその賞味・消費期限との組み合わせによるレシピの表示にも在庫情報を活用し、家庭内の食品の使い切りを促すという。 Original Post>
【コラム】高まるアクセシビリティへの意識、それは行動につながっているのだろうか?
ほぼ2年にわたり、世界中の人々が世界との関わり方を大きく変えてきた。それは多くの人々に日々の行動を変えさせた。残念なことに、これらの変化の一部によって、多くの人が当たり前に思っている日常業務が、アクセシビリティやアコモデーションを必要とする人にとって気が遠くなるような困難なものになってしまうことがある。 ハリス世論調査では、米国の成人の半数以上がパンデミックのためにオンライン活動を増やしていることが明らかになっている。障がいのある人の場合、その数字は60%になる。 オンライン活動が増えたからといって、誰もが目標を達成できるわけではない。では、この危機はアクセシビリティにどのようなインパクトを与えているのだろうか。アクセシビリティの重要性について、組織は最終的にメッセージを受け取っているのだろうか? 増加傾向にあるアクセシビリティへの意識 近年、どこを見てもアクセシビリティや障がいのある人についての何かがあるように感じられるのではないだろうか。大手テック企業のテレビ広告の多くは、障がいのある人々やアクセスしやすいテクノロジーを取り上げている。 Apple(アップル)ではネットワークテレビの最初のプライムタイム広告の始まりを告げ、Microsoft(マイクロソフト)は米国最大の試合中に広告を出している。Google(グーグル)の広告では、耳の不自由な男性が、自分のPixel(ピクセル)スマートフォンでLive Caption(ライブキャプション)を使って初めて息子に電話をかける様子が描かれている。またAmazon(アマゾン)の広告には、聴覚に障がいのある従業員Brendan(ブレンダン)氏の職場や家での姿が映し出されている。 アクセシビリティへの意識が高まっているのは明らかだ。2021年5月の「Global Accessibility Awareness Day(グローバル・アクセシビリティ・アウェアネス・デー)」に敬意を表し、Apple、Google、Microsoftは自社プロダクトのアクセシビリティに関する多数のアップデートとリソースを発表した。DAGERSystem(デーガーシステム)は、近くリリース予定のAccessible Games Database(アクセシブルゲーム・データベース)を公開した。これによりゲーマーは、プラットフォームごとにアクセシブルゲームを検索し、聴覚、視覚、色、微細運動のカテゴリー別にアクセシビリティをフィルターできるようになる。 テック企業がアクセシビリティについて語り、それをプロモーションし、マーケティング予算の一部にしているのはすばらしいことだ。しかし、それについて語ることと行動を起こすことの間には違いがある。語ることでウェブサイトのアクセス性が向上するわけではない。それには行動が必要である。 最近のForrester(フォレスター)サーベイでは、10社中8社がデジタルアクセシビリティに取り組んでいることが示された。では、実際に何か変化は起こっているのだろうか。人々は障壁なしにウェブサイトを利用することができているだろうか? インターネット利用率の上昇はアクセシビリティを向上させたか これは、2021年のState of Accessibility Report(SOAR、アクセシビリティの状況レポート)で明らかにされた疑問である。SOARの目的は、企業や業界全体のアクセシビリティの現状を評価することにある。アクセシビリティが改善された点や、作業が必要な部分を見つけるためのツールとなっている。 同レポートはこれまで、Alexa(アレクサ)のトップ100ウェブサイトのアクセシビリティの状態を分析することで、アクセシビリティの指標を得てきた。このレポートでは、販売数ではなく、最も人気のあるデジタルプロダクトに焦点を当てている。ほとんどの場合、変化は上位から始まる。上位で状況が改善すれば、残りは後に続く。 80/20ルールとしても知られるパレートの法則がここで適用される。デジタルプロダクトの上位20%でトラフィックの約80%に到達する。 興味深いのは、Alexaのトップ100は2021年に31の新しいウェブサイトをリストしているが、それらは2019年や2020年にはトップ100に入っていなかったことだ。2019年にAlexa 100のリストに掲載されたウェブサイトの中で、2021年のリストに掲載されたのはわずか60%であった。 こうした変化や現在のAlexaトップ100ウェブサイトをレビューすることで、パンデミックによってオンライン行動がどのように変化したかが容易に見て取れる。上位のウェブサイトには、ファイル転送やコラボレーションツール、配送サービス、Zoom(ズーム)やSlack(スラック)などのコミュニケーションツールなど、多くの生産性アプリが含まれていた。
NEC、データを暗号化したまま計算する秘密計算のソフトウェアをクラウド型で提供開始
NECは2022年1月12日、データを暗号化したまま計算できる“秘密計算”のソフトウェアをクラウド型で提供開始した。システム開発サービスの一環として提供する。秘密計算の方式のうち、ハードウェア方式(TEE方式)同日付で提供開始。2022年4月には秘密分散方式(MPC方式)も提供する。販売目標は、今後3年間で40システム。 秘密分散方式(MPC方式)では、データを乱数で符号化し、3つのサーバーに分散して計算する。Pythonライクで開発可能な独自の開発ツールによって、秘密計算アプリケーションを容易に開発できるとしている(関連記事:NEC、データを暗号化したまま分析する“秘密計算”の開発支援ツール、Pythonライクで記述)。 一方のハードウェア方式(TEE方式)は、Intel CPUの拡張機能で、メモリーを暗号化するIntel SGXと呼ぶハードウェア機構を利用する。安全なメモリー空間で計算する。秘密計算アプリケーションは、Pythonで容易に記述できる。データ分析時には、ユーザーが運用しているAIモデルを、修正することなくそのまま組み込める。 NECは、ユーザーの用途に応じて、MPC方式とTEE方式から適した方式を提案する。例えば、金融や医療ヘルスケア領域など、複数の企業がデータを持ち寄って分析するシーンにはMPC方式を提案し、既存の分析アプリケーションや学習モデルの利用など、分析者が様々な分析手法を試行錯誤したいシーンではTEE方式を提案する。
寺岡精工、POSと連携した「AI需要予測型自動発注システム」、小売店の発注作業を省力化
寺岡精工は2022年1月12日、「AI需要予測型自動発注システム」を販売開始した。スーパーマーケットなど小売店の発注作業をAIを用いた需要予測により自動化する。同社のPOSや店舗基幹システムと連携し、店舗を取り巻く環境要因からAIが需要予測を行い、適正な発注数を算出する。人による発注作業の軽減と発注ミスによる欠品・在庫過多を防止する。 寺岡精工の「AI需要予測型自動発注システム」は、スーパーマーケットなど小売店の発注作業をAIを用いた需要予測により自動化するシステムである。天候、自店舗/近隣他店舗の販促イベント、過去の客数実績など店舗を取り巻くさまざまな環境要因から、独自開発のAIが予想来店客数を計算する(図1)。 図1:AIを活用した客数予測のイメージ(出典:寺岡精工)拡大画像表示 POSから基幹システムまでを統合した同社の店舗システム「T@Web」のアプリケーションとして動作する。店舗POSの売上状況・在庫状況を用いて予測する。運用を重ねるほどAIが運用結果を学習する。特に、曜日や天候、イベントなどで販売数が変わりやすい商品群や、賞味期限が短く在庫リスクが高い日配品(牛乳・豆腐など)に適する。 「従来は、商品担当者が経験や勘を基に必要な発注数を考えていた。人手不足や高齢化によってノウハウを持つ従業員が少なくなると、変動する販売実績に合わない画一的な発注をせざるを得なくなる。また、人手による作業は、誤発注や発注忘れによる欠品、2重発注による在庫過多など、ヒューマンエラーのリスクが高い。欠品によるチャンスロスや過多となった在庫の値引き販売が起こりやすい」(寺岡精工)。 小売業において同システムで店内商品の半数以上を自動発注することで、発注の適正化に加え、作業時間削減・人件費抑制を図る。同社による導入シミュレーションでは、毎日650件の発注作業を商品部門別に6人で行うケースで70%を自動発注とした場合、1日あたり5.25時間の作業時間を削減可能という。 「国連環境計画(UNEP)の報告によると、2019年の世界全体の食料廃棄量は約9億3000万トン。このうち13%は小売業が排出しているとの推計がある(「Food Waste Index Report 2021」) 。消費者のエコ意識が高まる中、AI需要予測型自動発注システムは、小売店の食品ロス削減を支援する」(同社)。 Original Post>
【コラム】AI時代の「データの産業革命」:創始者たちが間違っていたこと
2010年2月、The Economist(エコノミスト)は「Data, data everywhere」というレポートを公開した。当時は、そのデータのランドスケープが実際にはどれだけ単純なものであったか、ほとんどわかっていなかった。つまり、相対的に見て、2022年に目を向けるときに直面するデータの現実を考えた場合である。 このEconomistのレポートの中で筆者は、ビッグデータをめぐる興奮から始まり、現在のデータ駆動型AIの時代に続いている「データの産業革命」に社会が突入しつつあることについて語った。この分野の多くの向きが、この革命によってより多くのシグナルを持つノイズを抑えた標準化がもたらされると期待していた。だがその代わりに、ノイズは増え、一方でシグナルはより強力になっている。つまり私たちは、ビジネス上の成果が大きくなるポテンシャルを有しながら、より困難なデータの問題を抱えているのである。 また、人工知能にも大きな進歩が見られている。それは現在のデータ世界にとって何を意味するのだろうか。私たちがいた場所を振り返ってみよう。 Economistの記事が掲載された当時、筆者はカリフォルニア大学バークレー校を離れ、同大学と共同でIntel Research(インテル・リサーチ)の研究所を運営していた。私たちは当時、今でいう「モノのインターネット(IoT)」に全面的にフォーカスしていた。 当時私たちが話していたのは、建物や自然、壁の塗料など、あらゆるものに埋め込まれた、相互に接続された小さなセンサーのネットワークについてであった。物理的な世界を計測しその現実をデータとして捉えることができるというビジョンがあり、そのビジョンに向けて理論を探求し、装置やシステムを構築していた。 私たちは将来に目を向けていた。しかし当時、データに関する一般的な熱狂のほとんどは、ウェブと検索エンジンの台頭を中心に展開していた。誰もが「ドキュメント」という形で大量のデジタル情報にアクセスできることを話題にしていた。ドキュメントとは、人間が生成し、人間が消費するコンテンツのことを意味する。 水平線の向こうに見えたのは、さらに大きな機械生成データの波だった。これは、筆者が「データの産業化」と呼んだものの1つの側面であり、データは機械駆動でスタンプアウト(型に合わせて生成)されるため、ボリュームが大幅に増加していくだろうと考えていた。そして、それは確かに起こった。 筆者が想定していた「データの産業革命」の第2の側面は、標準化の出現である。簡単に言えば、機械が生成しているものは毎回同じ形式で生成されるため、無数のソースからのデータを理解して結合することで、よりゆるやかな増幅過程を実現でるはずだ。 標準化の先例は古典的な産業革命であり、すべての関係者が交通機関や船舶のような共有リソースやプロダクト仕様を標準化するインセンティブが存在した。それはこの新しいデータ産業革命にも当てはまるように思われ、経済やその他の影響力がデータの標準化を推進するだろうと考えられた。 そのようなことはまったく起こらなかった。 実際、逆のことが起こった。「データの浪費」が大幅に増加した。これはログファイルの形式で計算量が指数関数的に増大した結果であり、標準化されたデータはわずかな増加に留まった。 そのため、統一された機械指向のデータではなく、さまざまなデータやデータ型が膨大な量となり、データガバナンスが低下した。 データの浪費や機械生成データに加えて、データを敵対的に利用するようになり始めた。これはデータに関与する人々が、その利用に対して多くの異なるインセンティブを持っていたためである。 ソーシャルメディアのデータと「フェイクニュース」に関する最近の話題を考えてみよう。21世紀初頭においては、個人だけでなく、大衆にリーチしようとしているブランドや政治的利益のために、デジタル情報をバイラルにすることの巨大な実験がなされた。 今日では、そのコンテンツの多くは実際には機械で生成されているものの、人間の消費と行動パターンに合わせたものだ。何年も前の純真な「人による、人のための」情報通信ネットワークとは対照的である。 要するに、今日のデータ生産産業は途方もなく大規模であるが、標準的なデータ表現に合わせて調整されておらず、10年余り前に筆者がこうした予測を立てたときに期待していたものではない。 イノベーションの状況:AI対人間のインプット この10年ほどで明らかに大きく進歩したのが人工知能だ。私たちがアクセスし、処理し、モデルに取り込むことができるこの莫大なデータは、数年のうちにAIをSFから現実に変えた。 しかしAIは、ビジネスデータ処理の領域では期待していたほど有用ではない。少なくとも今のところはそうだ。自然言語処理のようなAI技術と構造化データの間には、驚くほどのずれが依然として存在する。いくらかの進展があったとしても、ほとんどの場合、データと通信して多くの成果が返ってくることは期待できない。Google(グーグル)で定量的な質問をして、テーブルやチャートが返ってくることもあるが、それは適切な質問をする場合に限られる。 AIの進歩は、スプレッドシートやログファイルなどの定量的で構造化されたデータ(IoTデータを含めて)とは、まだ大きく分離されている。結局のところ、私たちが普段データベースに入れているような従来型のデータは、画像検索や単純な自然言語による質問応答のような消費者向けアプリケーションよりも、AIで解読するのがはるかに困難であるということだ。 例えば、Alexa(アレクサ)やSiri(シリ)にデータのクリーニングを頼んでみよう。おもしろいが、あまり役に立たない。
トーマツが会社・勘定科目単位で不正を検知するAIモデルを開発、今後2年間で監査先100社以上のリスク評価手続に活用
デロイト トーマツ グループの有限責任監査法人トーマツは1月7日、過去の不適切な財務データをAIに学習させることで、会社、勘定科目単位で不正を検知する不正検知モデルを開発し、2022年1月から本格導入を開始すると発表した。また、これまで活用してきた仕訳分析モデルや異常検知モデル(2017年8月特許取得済)と組み合わせて、不正リスク評価から、対応手続の立案まで網羅的にAI・アナリティクスを活用するアプローチを確立した。不正検知モデルの開発などAIの活用を通じて、AI・データドリブンによる監査の高度化を目指す。 2015年以降、不適切会計が明らかになった企業の数は増加しており、コロナ禍による業績不振も勘案すると、今後もこの傾向は続くと考えられるという。不正の発生は、企業に大きな損失をもたらすものであり、いかに不正リスクを抑えるかが急務の課題と指摘している。 従来監査人は、監査先の財務データに対し、異常とみなす基準値や予算との比較、前期からの趨勢把握などによって、監査で重点的にフォローするグループ会社や勘定科目を選別していた。一方、今回同社が開発した不正検知モデルでは、上場企業の過去の不正の傾向をAI・機械学習モデルに学習させているため、監査人は監査先から財務データを入手し、不正検知モデルにデータを投入することで、予測モデルによる不正スコアの計算のもと、不正リスクが高い会社、勘定科目および財務指標を識別する。これにより、監査人は不正リスクの分析を効率的に行うとともに、従来識別しえなかった不正パターンの識別が行えるという。不正検知モデルで検知された不正の兆候に基づいて監査人が監査先企業との議論をより深化させることで、企業のガバナンス向上に貢献するとしている。 トーマツでは、不正検知モデルを一部活用した監査に着手しており、すでに10社超の上場会社の監査において、主に子会社のリスク評価手続に活用している。さらに、今後2年間で100社以上の監査先のリスク評価手続に活用することを目指しているという。また、不正検知モデルの更なる性能向上に向けて、監査先の同意を得た場合には当該監査先の財務情報をモデルの学習に用いることでモデルの精度を向上させることや、市況データのバリエーションを増やすことで、特に海外子会社に対するリスク評価の精度向上を予定している。 今回開発した不正検知モデルでは、予測性能に優れる勾配ブースティング技術を採用し、2005年以降に公表された有価証券報告書および訂正報告書に含まれる財務諸表と為替レート、物価指数などの市況データをAIに学習させて、複数の財務指標から不正企業と正常企業との相違性を見出し、その結果を不正企業との近似度として0~1の間でスコアリングする。 また、どの指標がスコアに影響しているのか、会社別の各指標の時系列推移や、指標値の算定に使用した勘定科目の実数値を詳細に確認できるため、AIが算出したスコアがなぜ高いのかを説明することが可能という。あわせて、不正リスクが高いと評価された企業と類似した不正シナリオを持つ過去の不正企業を参照できる仕組みも構築している。 これにより、これまで活用してきた仕訳分析モデルや異常検知モデルと組み合わせて、より広範な観点から不正の兆候を把握するリスク評価から、不正リスクの高い仕訳や取引に対して個別・詳細に分析を行い、リスク対応手続の立案まで網羅的にAI・アナリティクスを活用するアプローチを確立した。 Original Post>
