セコム、AI活用の「バーチャル警備システム」を発売–キャラクターが警戒・受付業務を担当

 セコムは1月13日、世界初となるAIを活用して警戒監視や受付業務などを行う「バーチャル警備システム」の販売を開始すると発表した。

労働力人口が減少していく日本社会において、さまざまな業務をより効率的に少人数で行うことが求められている。同社によると、警備業もその例外ではなく、特に有人施設などにおける常駐警備では、セキュリティニーズに応えるための人材確保、人件費高騰によるサービス価格への影響を回避するための新たな解決策が求められているという。

今回販売を開始する「バーチャル警備システム」は、革新的・独創的なサービス創造に向けた同社とパートナーとの戦略的な協働プロジェクトのブランド「SECOM DESIGN FACTORY」から誕生。同社とAGC、ディー・エヌ・エー、NTTドコモの4社が協働し、2019年4月に初期プロトタイプを発表。2020年6月の発熱者対応の実証実験など、試験運用と開発を繰り返しながら実用化を図っていた。

このサービスは、現実空間を映しこむディスプレイ一体型ミラー上にバーチャルキャラクター「バーチャル警備員」を表示し、常駐警備サービスを提供するセキュリティシステム。AIを活用した警戒監視や受付業務などをバーチャル警備員が担当。対処や緊急対応などの業務については熟練した常駐警備員が担当する。また、クラウド制御により、どこからでもモニタリングや設定操作が可能だという。

具体的には「バーチャル警備システム」の監視卓から最大3台の「バーチャル警備員」が管理でき、常駐警備員と連携した効率的で高度な施設警備を提供する。なお、「バーチャル警備員」は、男性「衛(まもる)」・女性「愛(あい)」の2キャラクターがあり、使い分けが可能。

加えて、「バーチャル警備員」は目配せなどにより存在感を発揮しつつ周囲の警戒・監視を行い、犯罪抑止効果を発揮するという。内部にカメラやモーションセンサーなど各種センサーを搭載し、AI解析により近づいた人への声掛けを行うほか、映像・音声で急病人の発生といった緊急事態を認識した場合は自動でモニタリングダッシュボード(監視用アプリ)に通報する仕組みを備える。

来訪者から話しかけられると、AIが音声認識してあらかじめ設定した対話シナリオに沿って、自律的に受付業務を行う。来訪者の背丈に合わせて腰をかがめたり、対話内容に応じた自然な表情をしたりすることも可能。災害発生時にはミラーディスプレイに避難経路など、案内に必要な画像表示にも対応する。

自律応答が難しい場合やきめ細やかな対応が必要な時には、モニタリングダッシュボード(監視アプリ)より常駐警備員が遠隔で通話して応対することもできる。オプションにより、顔認証システムと連携させた来訪者の案内や、サーマルカメラを設置して来訪者に検温にも対応するという。

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