Tableauの現CEOが古巣AWSに次期CEOへ 期待される手腕は

AWSはアンディ・ ジャシー氏の後任として、Tableau Softwareの現CEO、アダム・セリプスキー氏を迎え入れる。同氏のリーダーシップの下で、AWSが目指す成長戦略とは。

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ビジネスインテリジェンス(BI)ツールベンダーTableau Softwareの現CEOであるアダム・セリプスキーが、2021年5月にAmazon Web Services(AWS)に復帰し、2021年後半に同社CEOに就任する見込みだ。

 セリプスキー氏は過去に、AWSで販売・マーケティング・サポート分野のバイスプレジデントを11年間にわたって務めた経歴がある。その後2016年にTableau SoftwareのCEOに就任し、4年半以上にわたって経営の指揮を執ってきた。

Tableau SoftwareはセリプスキーCEOの指揮の下、永久ライセンスの販売から月額のサブスクリプションライセンスの販売に切り替えるなどビジネスモデルを転換し、売り上げを大幅に伸ばした。2019年には、クラウド型顧客関係管理(CRM)システム大手のSalesforce.comによる大規模な買収が成立した。セリプスキー氏はこの買収後もTableau SoftwareのCEOを務めつつ、Salesforce.comの経営幹部を兼務してきた。

 AWSの現CEO、アンディ・ジャシー氏は公式ブログで従業員向けのメッセージを公開した。後任のセリプスキー氏について次のように述べている。「AWSを率いる幹部チームは非常に強力だ。今後、アダム(セリプスキー氏)の優れた判断能力や顧客を第一に考えるマインド、チームビルディングの経験、市場開拓のノウハウなどによってさらに強固なものになると確信している」

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 ブログに投稿されたジャシー氏のメッセージによると、セリプスキー氏は2021年5月17日にAWSに復帰し、ジャシー氏とともに数週間をかけて業務移管に取り組む。その後、2021年第3四半期中に正式にCEOに就任する計画だ。ジャシー氏はAWSのCEOを退いた後、ジェフ・ベゾス氏の後任としてAmazon.comのCEOに就任することが既に発表されている。

 ビジネスアプリケーションの事業拡大に注力してきたセリプスキー氏の経験は、AWSが描く成長戦略に貢献する可能性が高いとみられる。同氏はAWSで、Googleのマルチクラウド(複数のクラウドサービスの併用)構築サービス群「Anthos」のようなサービスの開発を推し進めるとも考えられる。Anthosはコンテナをベースにして、ユーザー企業が「Google Cloud Platform」(GCP)以外のクラウドサービスも併用できるようにするサービスだ。

 AWSは、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」のマネージドサービス「Amazon Elastic Kubernetes Service」(Amazon EKS)などのコンテナ関連サービスを提供している。ただしAnthosのようにマルチクラウドに焦点を当てた取り組みはまだ明らかになっていない。