DXのためのデータ活用を成功させるには「データ活用」だけ考えていてはいけない

データは企業運営に不可欠な資源だ。企業が生成するデータ量が増えるほど、企業の内外に散財するデータの中から適切なデータを見つけて活用することが難しくなる。だからこそデータ活用には戦略が必要だ。中編「 自動化技術が期待外れだった企業こそ『プロセスマイニング』を試すべき理由 」に続く本稿は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を支えるデータ活用戦略に組み込むべき4つの要素のうち、3つ目と4つ目を解説する。 

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クラウドサービスの力を活用する

 クラウドサービスを利用し、大量のデータの照合、処理、分析を任せる。膨大な量のデータの分析を可能にするクラウドサービスは、DXを支える力になる。クラウドサービスの活用を戦略に組み込むことで、社内データに加え、社外のデータやサードパーティーのデータを収集して分析することが容易になる。

 こうなると企業のデータ活用の幅は飛躍的に広がる。クラウドサービスを活用すれば、データと分析をバックグラウンドで最適化し、質の高い顧客体験を提供しやすくなる。例えばNetflix、Amazon.com、Spotifyなどが導入しているレコメンド(推薦)技術のように、顧客の好みに基づいてアルゴリズムを常に調整することも可能だ。

 クラウドサービスは、さまざまな難題の解決に役立つ。例えばあるヘルスケア企業は、レポート作成時間の短縮、業績評価指標の標準化、意思決定の改善のために、財務データとサプライチェーンデータの監視を効率化する必要があった。そこで、さまざまなシステムのデータを連携させるクラウドサービス形式のデータエンゲージメントシステムを活用した。その結果、この企業の従業員は、財務とサプライチェーンに関する標準化された予測分析情報を1つのダッシュボードで確認できるようになった。

4.データ活用“以外”の課題に対処する

 金融サービスなど規制の厳しい業界では、効率的かつ倫理的なデータ管理の重要性が高まっている。これらの企業はセキュリティ、コンプライアンス(法令順守)、データの潜在的バイアスといった課題に対処しなければならない。そのためには、ビジネス機能が互いに連携し、データの倫理的な使用と規制順守を確保する明確なデータ管理戦略を立てる必要がある。

 例えばある金融サービス会社はコンプライアンスのためにデータ管理の自動化技術を導入し、データ管理とレポートシステムの改善を検討した。こうした技術を利用することで、データ分類の標準化を効率化したり、潜在的なエラーを特定したり、レポートの品質を向上させたりするとともに、リスクと諸経費の削減も実現した。


 以上4種のデータ活用戦略を組み合わせることが、技術と人材と業務プロセスを連携させることにつながる。データを活用してビジネスを変革するには、まさにこうした連携が必要だ。