SalesforceとAWSがパートナーシップの拡大を発表、さらなる双方向の統合を実現

Salesforce (セールスフォース)と AWS は、それぞれのカテゴリーで最も成功しているクラウド企業だ。ここ数年、2つの巨大なクラウド企業は発展的なパートナーシップを築いてきた。両社は米国時間6月23日、データの共有と2つのプラットフォームを横断するアプリケーションの構築を容易にするための、新たな統合機能の計画を発表した。

Salesforceのプラットフォーム担当EVP兼GMであるPatrick Stokes(パトリック・ストーク)氏は「両社はこれまでにも、2つのサービス間での安全な共有などの機能を提供するために協力してきましたが、 顧客からはさらに踏み込んだサービスを望む声が寄せられていました。本日の発表はその実現に向けた第一歩です」と話した。

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「(パートナーシップの初期段階は)本当に大成功でした。Salesforceの製品群とAmazon(アマゾン)の製品群の両方で、2つのソリューションがお互いにうまく補完し合うようにするため、顧客がどのようなことを実現したいのか、お互いから、そして共通の顧客から多くのことを学んでいます。そして、顧客からはさらなる要望が寄せられており、パートナーシップの次の段階に進めることをうれしく思っています」とストークス氏は説明した。

さらに「目標は、両社のプラットフォームを統合し、AmazonのサービスとSalesforceのプラットフォームのすべての力を融合させることです」と述べた。今回の機能は、それを実現するための次のステップになるかもしれない。

この機能には、プラットフォーム側とアプリケーション側の両方の開発者を支援するために両社が取り組んでいるいくつかの新機能が含まれている。まず、開発者は、AmazonのデータをSalesforce内で仮想化することができ、そのためのコーディングを手作業で行う必要がない。

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「具体的には、Salesforceプラットフォーム内でAmazonのデータを仮想化します。S3バケットやAmazon RDSなど、何を扱っていても、データを仮想化して、Salesforceプラットフォーム上のネイティブデータと同じように表示させることができます」とストークス氏はいう。

同様に、Amazon上でアプリケーションを構築する開発者は、Salesforceのデータにアクセスし、それをAmazon上でネイティブに表示できるようになる。このために、2つのシステム間のコネクターを提供して、データがスムーズに流れるようにする必要があり、そのためには多くのコーディングが必要になる。

また、両社はイベント共有機能も発表しており、AmazonとSalesforceの両方の顧客が、両プラットフォームを横断するマイクロサービスベースのアプリケーションを簡単に構築できるようになる。

「SalesforceとAmazonのプラットフォームのサービスを横断するマイクロサービス指向のアーキテクチャーを、やはりコードを書くことなく開発することができます。そのために、すぐに使えるコネクターを開発しており、必要なイベントをクリック&ドラッグすることができます」。

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また、アイデンティティおよびアクセス管理の観点から、ガイド付きのセットアップでプラットフォームにアクセスできるようにする計画も発表した。さらに両社は、Amazon ChimeコミュニケーションツールをService Cloudやその他のSalesforceサービスに組み込み、AWSの機械学習技術を利用してバーチャルコールセンターなどを構築するアプリケーションに取り組んでいる。

Amazonのグローバルマーケティング担当副社長であるRachel Thorton(レイチェル・ソートン)氏は、2つの巨大なクラウドがこのように連携することで、開発者は2つのプラットフォームにまたがるソリューションを簡単に作成できるようになると話す。「開発者がより速く、より革新的になれば、企業にとってもチャンスが広がり、より良い顧客体験を生み出すことができると思います」とソートン氏は述べた。

Salesforceが、Microsoft AzureGoogle Cloud Platformなど、他のクラウドプロバイダーとも広範なパートナーシップを結んでいることは注目に値する。

Salesforceの発表ではよくあることだが、これらの機能はすべて本日発表されたもので、まだ開発段階であり、ベータテストの開始は2021年後半、GA (General Availability)は2022年中を見込んでいる。両社は、2021年後半に開催されるカスタマーカンファレンス「Dreamforce」および「re:Invent」で、このパートナーシップに関する詳細を発表する予定だ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:SalesforceAWS

画像クレジット:sefa ozel / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi