企業幹部も感じる“仕事と生活の衝突”–約7割が転職を検討

 ワークライフコンフリクト(仕事と生活の衝突)が従業員だけでなく、経営幹部にも重大な影響を及ぼしている。コンサルタント企業のDeloitteの調査によると、企業幹部の70%近くが仕事を辞めて、自分の幸福をもっとサポートしてくれる職種に転職することを真剣に考えているという。

DeloitteとWorkplace Intelligenceが2100人の従業員とCレベル幹部を対象に実施した調査によると、パンデミックが世界を一変させてからの2年間、従業員もビジネスリーダーも自分の幸福を優先するのに苦労しているという。

調査に回答したCレベル幹部の4分の3(76%)は、パンデミックが自分の幸福に悪影響を及ぼしていると述べ、労働者と経営幹部の3人に1人は疲労やストレス、圧倒された気持ち、孤独、憂鬱な気分を常に、または頻繁に感じていると答えた。

あらゆるレベルの従業員がより大きな幸福を達成する上で、仕事が大きな障害になっているようだ。調査によると、従業員の63%と経営幹部レベルのリーダーの73%は、自分の職務では、仕事を休んだり、仕事から離れたりすることができないと感じている。

さらに、調査によると、従業員の68%とCレベル幹部の81%にとって、自分の幸福は出世よりも重要であり、従業員の57%とCレベル幹部の69%近くは仕事を辞めることを真剣に検討しているという。

Workplace IntelligenceのマネージングパートナーであるDan Schawbel氏によると、今回の調査結果は、組織に対する警告であり、日々の業務が従業員の幸福に悪影響を及ぼしている問題への対処を促しているという。

「大量自主退職は、従業員が燃え尽き症候群や疲労に耐えず悩まされるような仕事をもはや容認しなくなったことを示している。Deloitteとの調査では、経営幹部も現在の状況にうんざりしていることが浮き彫りになった」(Schawbel氏)

心配なことに、そして、自分自身も幸福を達成するのに苦労しているにもかかわらず、ビジネスリーダーは自社の従業員の健康状態を過大評価している可能性がある。レポートによると、経営幹部の89%は従業員が身体的に健康であると感じているが、自分の健康状態について「非常に素晴らしい」または「良好」と評価した従業員はわずか65%だった。また、経営幹部は自分のペースで新しい機会を探すことに関して、従業員よりも経済的に有利な立場にいる。経営幹部の方が退職に前向きなのは、そのためかもしれない。

幸福が上層部と末端の従業員の両者にとって懸念事項であることは明白である。しかし、経営幹部レベルの回答者の95%は従業員の幸福に責任を持つべきだと考えているが、68%はこの点に関して、自分たちの対応が十分ではないことを認めた。DeloitteでUS Executive AcceleratorsのリーダーとUS Technology Sectorのバイスチェアを務めるPaul Silverglate氏によると、従業員とリーダーの双方が、ワークライフバランスやワークロードなどへの対処に必要な組織的サポートを見つけるのに苦労しているという。

Cレベル幹部は健康関連の問題にもっと大きな責任を持って、行動を起こさなければならない、とSilverglate氏は述べた。基本的なことから取り組んでいこう。今回の調査で、休暇をすべて使っている、勤務中に複数回休憩を取っている、十分な睡眠を取っている、友達や家族と過ごす時間がある、と答えたのは、従業員の約半数とCレベル幹部の3分の2に過ぎなかった。

レポートによると、これらすべての分野で小さな改善を積み重ねていけば、職場の幸福やエンゲージメント、生産性が徐々に向上していくという。また、それによって、組織が長期的に成功し、従業員の離職率が下がる可能性もあるという。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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