会社が事業を縮小する中でもキャリアアップを図る方法

サマリー:会社が事業を縮小する中、多くのリーダーやプロフェッショナルは落胆して、どのようにキャリアアップを図ればよいのかわからずにいる。しかしこうした状況は、キャリアの見通しを絶望的なものにするとは限らない。む.しろそれは、成長の足がかりになることもある。そこで本稿では、コスト削減に伴う混乱を乗り切り、より強く成長する方法を紹介しよう。

不況でキャリアの岐路に立たされるリーダーたち

マーロウは、あるメーカーのオペレーション責任者として頭角を現した。彼女のチームは1年で2倍の規模になった。それは激しい変化の時期も彼女が見事なリーダーシップを指揮して、重要なサプライチェーンイニシアティブを推し進めた手腕による部分が大きい。

その実績と献身により、マーロウに素晴らしいチャンスが与えられた。新設されるプロセス最適化担当バイスプレジデントの座だ。昇進は彼女が目標としてきたことであり、会社の将来により大きなインパクトを与えるチャンスでもあった。

ところが、マーロウが重要な一歩を踏み出そうとする矢先に、市場が低迷期に入り、会社の業績も急速に悪化した。景況感の悪化で、会社は難しい決断を迫られた。マーロウのチームは半分の規模に縮小され、さらに悪いことに、彼女が熱望していたバイスプレジデントのポジションもなくなった。マーロウは岐路に立たされた。自分の夢が頓挫したかのように見える時、どのように前進すべきかを自問した。

多くのリーダーやプロフェッショナルが、マーロウと同じような立場に立たされている。会社が事業を縮小する中、彼らは落胆して、どのようにキャリアアップを図ればいいのかわからずにいる。2023年に入ってから、米国企業のレイオフが5倍近くに増え、不安定な経済に終わりが見えないのだから、無理もない。

組織は常に業績を意識して、コスト削減の方法を探している。これは、支出の凍結や人員削減のような壊滅的な変化を意味する場合もあるが、あなたのキャリアの見通しを絶望的なものにするとは限らない。むしろそれは、成長の足がかりになることもある。そこで本稿では、コスト削減に伴う混乱を乗り切り、より強く成長する方法を紹介しよう。

考え方を変える

組織が混乱している時に、さまざまな感情(悲しみ、怒り、自分に対する疑念など)を抱くのは自然なことだ。だが、心を閉ざしたり、状況を避けたり、自分を哀れんだりしても、何も変わらないし、行き詰まりを感じるだけである。それより、変化や先行きが見えない状態も、仕事の一部として受け入れよう。

理由がテクノロジーの進歩であれ、市場ダイナミクスの変化であれ、顧客の期待の進化であれ、企業は急ペースで再編を進めている。どのような時も大小の変化に対応できるようにしておく必要がある。困難な時こそ、あなたの本質が明らかになり、あなたのリーダーシップが最も必要とされる領域が明らかになる。激変する状況において、価値を提供し、レジリエントで、影響力があり、ポジティブな変化をもたらすリーダーとして、頭角を現すチャンスを得る選択ができるのだ。

空白を埋める

これまで以上に努力して、移り変わる状況により生まれた空白を埋めよう。変化は動揺をもたらす可能性がある。だからこそ安定性が重要なのだ。自分の努力を、会社の新たな重点事項(一般に中核商品への集中、経費節減、業務効率化、従業員と顧客の維持など)と一致させよう。

挫折を経験しても、マーロウは不況時のコスト削減と、主要事業分野に集中することの重要性に気づいた。マーロウは、チームの努力を、必須業務だけに集中させた。いくつかのイノベーションプロジェクトを中止しなければならないのは苦渋の決断だったが、マーロウの抜け目のない行動は経営幹部の目にとまり、彼女の戦略的な優先順位付けは高く評価された。

迅速に勝てるチャンスを探せ

波乱の時期には、誰もが救世主を探している。新人から経営幹部まで、職場の士気や自信が揺らいでいる可能性が高い。改善すべき領域を見極め、素早く行動することで、あなたは会社の最善の利益を踏まえつつ、結果を出す貴重な人材だと自分を位置づけることができる。

わずかな時間で形あるインパクトを与える方法を探そう。

・サプライヤーと契約の再交渉をする。
・より安い資材の調達源を探す。
・他部門と協力してリソースを節約する。
・自動化を導入してプロセスの合理化を図る。
・未開拓の顧客層に製品を投入する。
・リピート買いを促進するキャンペーンを展開する。

将来のために交渉する

バイスプレジデントのポジションそのものがなくなった後、マーロウは上司に、会社の経営面での制約があることや、プロセス最適化のポジションがなくなった理由は理解していると伝えた。そのうえで、自分の長期的な目標と組織のニーズとのバランスの取れた提案を示した。

「いますぐ大きな変革を起こすのが難しいことはわかりますが、将来的に私の担当範囲を見直す可能性について、お話を伺えればと思います」と彼女は言った。「いまはXを担当しますが、将来、市場が上向いた時、私がプロセス最適化を担当する可能性を探るとお約束いただけますか」

マーロウのように、あなたも「その場の空気を読む」ことが大切だ。いまはポジションや仕事内容や報酬について、大幅な変更を求める時期ではないのかもしれないが、のちのちの約束を取りつけることはできる。たとえば、「いまはXを喜んで担当しますが、将来的に担当領域を見直すとお約束いただければ」とか、「お手伝いしたいと思いますが、私の最終目標はYの領域です。それはいつ頃可能になりそうですか」という聞き方もできるだろう。

横に動く

会社が人員削減を進めている時期は、昇進が制限されるかもしれないが、横の異動でも新しいスキルや経験を積むチャンスになる。自分のスキルの幅を広げて、より多才になれば、組織にとってより価値の高い人材になれる。現在営業職に就いている人が、商品開発チームに異動になれば、商品開発のプロセスや市場調査、顧客ニーズ分析の理解を深めることができる。また、営業面からのインサイトを提供すれば、会社は市場の需要により合致したプロダクトを提供できるようになる。

横への異動は、新しい同僚と知り合って、プロフェッショナルとしてのネットワークを広げることにもなる。それは将来のプロジェクトでコラボレーションをしたり、メンターを得たり、社内政治について幅広い知識を得たりする機会への扉を開く。新たなステークホルダーや意思決定者、上級管理職との出会いもあるだろう。知り合いが増えるほど、すなわち、あなたを知る人が増えるほど、チャンスも増える。

会社のリストラ中にキャリアアップを図るためには、考え方と行動の両方を変える必要がある。本稿で示した戦略を取り入れれば、逆境を成長の足がかりに変えられるだろう。

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