IBM、Red HatがプロセスマイニングのCelonisと提携 「DX」支援の狙いとは

IBMと同社傘下のRed Hatは、プロセスマイニングツールを手掛けるCelonisと戦略的パートナーシップを締結した。プロセスマイニングとは、業務の流れを分析して改善する手法だ。  

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Celonisのプロセスマイニングツール「Celonis Execution Management System」(以下、Celonis EMS)は、ERP(統合業務システム)やCRM(顧客管理システム)などからリアルタイムにデータを取得する。その上で、業務プロセスを分析する「プロセスインテリジェンス」機能と自動化機能を適用し、組織全体のビジネスプロセスの改善点を洗い出す。デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むユーザー企業を主なターゲットにしている。

プロセスマイニングをコンサルティング事業に統合

 財務からサプライチェーン管理、購買管理までさまざまな業務プロセスをCelonis EMSによって見える化できる。「非効率性をなくすための改善点を具体的に示し、業務プロセスの的確な見直しにつなげられる」と、Celonisのチーフ・エコシステム・オフィサー、マルハー・カムダール氏は語る。

 IBMはCelonisのプロセスマイニングツールを、サプライチェーンや財務、調達、人事、アプリケーション刷新など、複数の分野でのコンサルティング業務に統合する。さまざまなツールやノウハウを組み合わせ、DXを支援するサービス「IBM Garage」にも取り込む計画だ。生産やカスタマーサービス、製造、物流といった分野でのワークフローの効率化を支援する。

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 IBM、Red Hat、Celonisの提携によってメリットを享受するのは、クラウドサービス群「IBM Cloud」やコンテナ管理製品製品群「Red Hat OpenShift Container Platform」のユーザー企業だけではない。その他のITベンダーのハードウェアやソフトウェアを利用して組織横断的な業務プロセスを構築しているユーザー企業も利益を得られるだろう。

既存システムから利益を生み出す力を高める

 Celonis EMSは、SAP、Salesforce.com、Workday、ServiceNowなどのツールとすぐに接続できるようになっている。「大規模な組織にはさまざまなシステムがある。業務プロセスとデータはシステム間を移動する。Celonis EMSを使用することで、迅速に業務プロセスを確認し、組織全体の非効率性を特定できる」。IBMのコンサルティング事業を手掛けるIBM iXのグローバルマネージングパートナー、マシュー・キャンディー氏はそう説明する。

 ユーザー企業はデータ分析に基づいて非効率性をなくすことで、ROI(費用対効果)を高められるという。「ERPなど既存のシステムから、より多くの価値を引き出せるようになる。過去に投資したシステムから利益を生み出す能力を向上させる点に、今回の提携の大きなメリットがある」(キャンディー氏)