KPMG、シェアードサービスセンターの業務効率をデジタル技術で改革するサービスを開始

KPMGコンサルティングは2021年5月31日、ユーザー企業のシェアードサービスセンター(SSC)をあるべき姿に改革する支援サービスを開始した。BPRとデジタル技術によって受託業務を効率化するとともに、オペレーションやガバナンスを統制して品質と効率を高く維持する。さらに、こうした活動を自主的に遂行する業務コンサルタントを育成して自走できるようにする。

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KPMGコンサルティングは、ユーザー企業のシェアードサービスセンター(SSC)をあるべき姿に改革する支援サービスを開始した(図1)。BPR(仕事のやり方の再構築)とデジタル技術によって、グループ会社から受託する業務を効率化する。さらに、仕事のオペレーションやガバナンス(内部統制)を統制することによって、共通業務の品質と効率を高く維持する。さらに、これらの活動をユーザー企業みずから自主的に遂行していけるように、ユーザー企業内に業務コンサルタントを育成する。KPMGコンサルティングでは、SSCのこうした姿を「戦略的デジタルSSC」(DX-SSC)と呼んでいる。図1:KPMGコンサルティングが描く、SSCのあるべき姿(DX-SSC)の概要(出典:KPMGコンサルティング)
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 前提となるシェアードサービスセンター(SSC)とは、企業グループ内に複数の企業を抱えるユーザー企業が、個々の企業に共通する業務を一手に引き受ける組織として用意する機能のことである。各企業に共通する業務を集約することにより、業務の効率を上げる。主に、スタッフ部門などの間接部門の業務をシェアードサービスセンター(SSC)に集約する。社外のBPOサービス事業者にアウトソーシングするのではなく、企業グループ内で集約する。効率化した業務をBPO会社に委託し、新たな業務を受託することもある。

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 KPMGコンサルティングが支援する「戦略的デジタルSSC」(DX-SSC)は、3つのフェーズで進める(図2)。フェーズ1(DX-SSC移行)では、組織内で早期に効率化の成功事例を作ることで、自走体制構築に向けて推進意識を醸成する。フェーズ2(DX-SSX本格稼働)では、DX-SSCを本稼働させ、業務効率化のサイクルを繰り返しながらDX-SSCの自走体制を確立する。フェーズ3(DX-SSC高度化)では、最終的に組織の専門性を高度化する。図2:DX-SSC実現のロードマップ(出典:KPMGコンサルティング)
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 これら3つのフェーズは、4段階のアプローチで進める(表1)。KPMGコンサルティングは、計画の策定から高度化まで、DX-SSCを実現するために必要なフレームワーク(ツール)があるとしている。

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 フェーズ1ではまず、既存のSSCをDX-SSC化するにあたって、目標と計画を策定する。SSCの現状分析と合わせ、SSCのあるべき姿を見直し、KPMGコンサルティングの方法論「Target Operating Model」(TOM)を活用してDX-SSCのオペレーション方法を設計する。KPIの定義、監視・評価方法を検討し、DX-SSCへの移行計画をまとめる。計画には、DX-SSCに必要な人材像や育成ロードマップが含まれる。

 フェーズ1ではさらに、本番稼働前のパイロット運用を実施する。PoC(概念検証)の対象業務を選定し、新しい業務の要件を定義する。活用するデジタル技術を選定し、デジタル技術を設計・開発し、パイロット運用を開始し、評価を進める。さらに、本格稼働に向けて、新しい業務運用ルールを構築し、ノウハウを蓄積・集約する方法を検討し、人材トレーニングを準備する。

 フェーズ2では、パイロット運用の評価結果を基に、DX-SSCを本格稼働させる。KPIを監視する仕組みや、ノウハウを蓄積・集約する仕組みを構築する。人材トレーニングを実施し、デジタル技術を自ら取り込んで活用できる体制を構築する。DX-SSC内で業務コンサルタントを育成し、自走化を進める。

 フェーズ3では、戦略やミッションの見直し、業務のさらなる効率化、ガバナンス強化、などを推進する。最新デジタル技術のトレンドや情報の収集、グループ内の受託対象業務の拡大、活用するデジタル技術の拡大、などを実現する。目指す方向によっては、グループ内のすべてのバックオフィス機能の集約や、外部企業からの業務受託も検討できる。