未来志向型インフラ技術のハイプサイクル、メタバース/デジタルツイン/IoTエッジ分析などが過度な期待のピーク期に─ガートナー

ガートナー ジャパンは2022年9月1日、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」を発表した。インフラ技術のうち、未来志向型と捉えられるものや、トレンドとなっている注目すべきキーワードを取り上げている。2022年版では新たに、メタバース、自律分散型組織(DAO)、都市型エアモビリティ、デジタルヒューマン、ソフトウェア定義型自動車の5項目を追加した。「過度な期待のピーク期」には、メタバースやデジタルツイン、IoTエッジ分析、量子コンピューティング、分析NFT(非代替性トークン)、Web3などがある。

 米ガートナー(Gartner)のハイプサイクル(Hype Cycle)は、テクノロジーやサービス、関連する概念、手法などの認知度や成熟度などを視覚的に示したグラフである(関連記事Original Post>

 今回ガートナー ジャパンが発表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」は、インフラ技術のうち、特に未来志向型と捉えられるものや、トレンドとなっている注目すべき重要なキーワードを、日本に特化したかたちで取り上げている(関連記事日本における未来志向型インフラ技術のハイプサイクル、AIは幻滅期を過ぎて本格普及へ─ガートナー)。

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 2022年版では新たに、メタバース、自律分散型組織、都市型エア・モビリティ、デジタル・ヒューマン、ソフトウェア定義型自動車の5項目を追加した。「過度な期待」のピーク期には、メタバースのほか、NFT(非代替性トークン)やWeb3などを位置づけている(図1)。

 メタバースは2022年8月発表のグローバル版「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」においては、黎明期に位置付けられていた(関連記事ガートナーの先進テクノロジーハイプサイクル2022年版、メタバース/NFT/Web3を“次に来る顧客体験”にプロット)。一方、今回のハイプ・サイクルではメタバースを「過度な期待」のピーク期に位置づけている。「日本ではグローバルよりも早い段階で過度な期待が寄せられていることが分かる」(同社)としている。

 同社はメタバースを「仮想的に拡張された物理的現実とデジタル化された現実の融合によって創り出される集合的な仮想共有空間で、継続的なイマーシブ・エクスペリエンス(没入感)を提供するもの」と定義。メタバースの大きな推進要因として「デジタルや物理的現実の中で自分たちの生活を向上させ、拡張することを望む人々の存在」を挙げている。

 メタバースとともに過度な期待のピークに位置するWeb3について同社は「メタバースの中で価値や権利のやりとりを可能とする点において中核的な位置付けで、NFTの活用機会などをもたらす新たなプラットフォーム」と説明。「Web3によって、インターネット規模で非中央集権型の取引/やりとりを自由に進められる仕組みが広がれば、中央集権型を取る現在の社会が大きく変わる可能性がある」(同社)。

 自律分散型組織(DAO)は、今回新たに追加した技術の1つであり、黎明期に位置している。同社はDAOについて「Web3プロジェクトの重要なガバナンスの仕組みで、人、マシン、企業、他のDAOとビジネス上のやりとりを行う、ブロックチェーン上で自律的に動作するデジタルの集合体」と説明。「既存の組織の運営法に影響を及ぼす可能性があるため極めて重要であり、日本でも期待が高まっている」としている。

 ソフトウェア定義型自動車(SDV)も、今回新たに追加した技術の1つであり、黎明期に位置している。同社はSDVについて「次世代のE/E(電気/電子)アーキテクチャで、コンセプトだけでなく具体的なテクノロジーをともなったアーキテクチャや実装、オペレーションの総合的な議論と実践を支える重要なキーワード」と説明。「ハードウェア中心だった自動車は、ソフトウェアで定義されたサービスデリバリのためのシステムへと変わる」(同社)としている。