Googleがカリフォルニア州マウンテンビューで猛威を振るい、AI分野における多数の進歩や、同社の製品およびサービスに加えられるさまざまな変更を発表した。もちろん、「Android 15」についての詳細も明かされた。世界で最も使用されているモバイルOSの最新バージョンであるAndroid 15は、2024年中に登場する予定である。年次開発者会議「Google I/O」で、われわれはAndroid 15の機能をより深く理解することができた。
簡単に言うと、新機能はたくさんあるが、「Android」を認識できないほど変化させるような機能は1つもない。Googleは、「Material You」と成熟したAndroidプラットフォームをさらに発展させつつ、折りたたみデバイスなどの新しいフォームファクターへの適応も強化している。また、プライバシーに重点を置いたアプローチも一貫して続けており、Appleの「iOS」の豊富なプライバシー機能と互角に渡り合える可能性もある。
Googleは、「Google Gemini」を活用した多数の新しいAI機能、そして、システムの初期ベータ版ですでに発見されていた機能に加えて、8つの新機能がAndroid 15に搭載予定であることを認めた。本記事では、それらの新機能を紹介する。
1. 「Private Space」(プライベートスペース)
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Androidスマートフォンには、指紋やパスコードで特定のアプリをロックできる機能がしばらく前から搭載されているが、Googleは今回、Private Spaceを通して、その機能をAndroidに直接組み込もうとしている。
Private Spaceを使用すると、銀行アプリや健康アプリなど、詮索好きな他人に見られたり、使われたりしたくないアプリをロックできる。その後、Private Spaceはそれらのアプリのデータと通知を隔離して、完全に非表示にする。ユーザーはPrivate Spaceの存在自体を隠すこともできる。この機能はユーザーの指紋を使ってセキュリティを確保するが、セキュリティの突破をさらに困難にしたい場合は、いつでもカスタムロックを設定することが可能だ。
サードパーティー企業がさまざまな方法でPrivate Spaceを統合するであろうことは明白だが、この機能の基礎はAndroid 15に根ざしている。
2. 大画面での体験を改善
Android 15では、開発者は、新しい「Compose」AIアダプティブレイアウトライブラリーのおかげで、アプリをタブレットや折りたたみデバイスの大型ディスプレイに簡単に適応させられるようになるはずだ。
Composeを使用することで、開発者はアプリのUIをさまざまなウィンドウサイズや画面、向きなどに簡単に適応させられるようになる、とGoogleは述べている。このAPIは、UI要素が画面の大きさに応じて単純に伸縮するのではなく、ディスプレイに簡単に適応できるようにするコンポーザブルを提供する。Composeを利用すれば、特定の要素を非表示にしたり、さまざまなものの向きを変更したり、アプリの特定の部分を表示/非表示するペイン拡張機能を使用したりすることなどが容易になる。
Googleは、サードパーティーアプリでの遅延を抑える新しい開発者向けツールを使用して、Android 15のスタイラス体験も改善している。スタイラスで文字を書きながら、もう一方の手で画面を操作するときのユーザー体験も改善されるはずだ。
さらに、同社は、開発者がサードパーティーアプリでキーボードとマウスの使いやすさを高めるのに必要なツールを確実に利用できるようにしている。また、ゲームがどのようなサイズの画面にもうまく適応できるようにしている。これは、折りたたみスマートフォンのユーザーにとって、大きな頭痛の種となっている。アプリがコンテンツの表示を拡大する方法を把握するのは難しいからだ。これらの内部的な変更によって、状況が改善されることを願っている。
3. 「Googleウォレット」にさらに多くの「もの」を追加可能に
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物理的な財布には、会員カードやチケットなど、多くの「もの」が詰め込まれている。それらすべてをデジタル化して、Googleウォレットに追加することが可能になる。同社は、文字を含むあらゆる会員カードやチケットのデジタル版を追加できるオプションを搭載する予定なので、ユーザーはジムの会員カードや図書館カード、お気に入りのバンドのコンサートチケットなどをスマートフォンに直接読み込めるようになる。
4. スマートフォンを盗むのがより困難に
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Googleの強力なAIを使用した最もクールな機能の1つが「Theft Detection Lock」(盗難検知ロック)だ。何者かが本体を盗んで、徒歩や自転車、自動車で逃げようとしていることを検知すると、Androidスマートフォンはその動きを感知して、すぐに画面をロックするはずだ。また、スマートフォンの接続を切断しようと何度も試みる、さまざまなログイン試行の失敗が繰り返される、といった不審なアクティビティーを検出した場合も、自動的に画面をロックする。
Theft Detection Lockは「Android 10」以降のスマートフォンで利用可能になるが、工場出荷時状態へのリセットを阻止する機能を利用できるのは、Android 15だけだ。泥棒が盗んだスマートフォンをリセットしようとしても、Theft Detection Lockは、Googleアカウント認証情報を持っていない人間による再セットアップを阻止する。これは基本的に、リセット時にiPhoneをロックするAppleの「iPhoneを探す」機能と同じだ。泥棒がAndroidスマートフォンを盗んでも、所有者のGoogleアカウントのログイン情報が分からなければ、そのスマートフォンは使い物にならない。この機能には、窃盗を抑止する効果もあるかもしれない。
5. より安全な通話
Android 15は、セルラーネットワーク接続が暗号化されていない場合に通知を追加することで、セルサイトシミュレーターや詐欺テキストメッセージを使用してユーザーをだますスパマーを阻止する機能も備えている。携帯電波を傍受しようと試みる犯罪者の標的になっているユーザーは、この機能の恩恵を享受できるだろう。
Googleは「Identifier Disclosure Transparency」(識別子開示透明性)も追加している。リスクにさらされているユーザー(例えば、ジャーナリスト)が偽の携帯基地局や監視ツールを通してスマートフォンを盗聴されている場合に、この機能が役に立つかもしれない。これらの機能はいずれもOEMによるサポートを必要とするが、多くのスマートフォンメーカーがサポートを提供することを望むと思う、とGoogleは述べている。
6. パフォーマンスがわずかに向上
開発者向けの機能に目を向けると、Android 15はより大きな16KBページを使用するデバイスをサポートするため、パフォーマンスがある程度向上するだろう。これにより、アプリの起動時間が短縮され、電力効率が向上するはずだ。ユーザーは、カメラアプリをより素早く開いたり、スマートフォンをより迅速に起動したりできるようになるだろう。もちろん、これらはすべてスマートフォンの機種とそのスペック次第だが、それでも、Googleが速度の向上を重視してくれているのは喜ばしいことだ。
7. 「Googleマップ」のAR
まもなく、ARコンテンツをスマートフォンに表示できる機能がGoogleマップに追加される。ユーザーは自分が訪れる場所について、より詳細な情報を得られるようになるだろう。まだ初期段階だが、Googleによれば、まずはシンガポールとパリのさまざまな場所向けに構築されたAR体験が提供される予定だという。
この機能は、GoogleがAndroidエコシステム向けにQualcommと構築しているXR(クロスリアリティー)プラットフォームの拡張機能であるため、GoogleマップのARは今後も強化されていく可能性が高い。
8. 「デバイスを探す」でサードパーティートラッカーもサポート
Googleは「デバイスを探す」をアップグレードして、ChipoloやPebblebeeといった企業のトラッカータグも監視できる機能を追加する予定だ。つまり、ユーザーはスマートフォンやイヤホン、荷物、バックパックなどを単一の場所から見つけられるようになる。これは、Appleのプラットフォームの「探す」ネットワークとよく似ている。
EufyやJio、Motorolaのタグも2024年中にサポートされる予定だ。
![提供:Kerry Wan/ZDNET](https://japan.zdnet.com/storage/2024/05/17/ca16a8d9af57dc87a197e9d6dc7a1d26/dsc00498.jpg)
提供:Kerry Wan/ZDNET
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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