Googleは11月、2025年の優秀なアプリ、書籍、ゲームの年間リストを発表した。この中でトップアプリの多くは、Hank Green氏の「Focus Friend」や「Wiser – 15 Minute Audio Books」のように、メンタルヘルスや自己成長に焦点を当てていた。リストの大半は、利用者の気持ちを落ち着かせ、集中力を高め、学習を支援するアプリで占められており、意外にもAI関連のアプリはほとんど見られなかった。
一方、Googleが今回発表した2025年の「Chrome」拡張機能のリストは、そのAIの不在を補う内容となっている。選出された10種類の拡張機能のうち4つがAIブラウザーコンパニオンであり、残りも全て何らかの形でAIを活用しているためだ。
AIブラウザーコンパニオン
Googleはリストの冒頭で、Chromeを「自律的なアシスタント」に変えるAIブラウザーコンパニオンを紹介している。
最初に取り上げられたのは「Monica」と「Sider」で、Googleはこれらを「オールインワンの強力なツール」と評価した。両拡張機能は、画面を離れることなくPDFファイルに関するチャット、コンテンツの草稿作成、ウェブページの要約などを容易に行える点が特徴である。
続いて紹介された「HARPA AI」は、ワークフローの自動化に特化したエージェント型AIであり、メールやツイート、SEO記事の作成を支援するほか、オンライン価格を追跡し、利用者が最良の取引を得られるようサポートする機能を備えている。
この部門の最後を飾るのは、ライター向けのAI拡張機能「Quillbot」である。同ツールは、文法ミスの修正、言い換え、文章の推敲(すいこう)に加え、AIによって生成されたコンテンツの検出や、人間らしい自然な文章への変換機能を持つ。
生産性向上ツール
Googleは、今回選出された拡張機能について「単なる時間管理にとどまらず、定型的なタスクを処理し、新しい学習を促すことで、利用者の時間を取り戻す役割を果たした」と説明している。
「Fireflies.ai」と「Bluedot」は、会議を自動で録音、文字起こし、要約する機能を備え、利用者が会話内容に集中できるよう支援する。両ツールは「Google Meet」「Zoom」「Microsoft Teams」など複数のプラットフォームに対応し、会議のハイライト機能も提供する。
複雑なトピックの理解に苦労する利用者には「QuestionAI」が有効だ。「ChatGPT」を搭載したこのツールは、スクリーンショットによるクエリーや学習プラットフォーム上での質問に回答し、関連する文章の推敲も支援する。
さらに「eJOY」を利用すれば、ブラウジングしながら学習できる。ワンクリックで単語やフレーズの検索、保存、復習が可能であり、動画内の語句の翻訳や、視聴中のコンテンツから特定の概念を深く学ぶこともできる。
クリエーティビティー
Googleは、リスト全体がAIに偏らないよう、人間の創造性の重要性を強調した。その一例として「Adobe Photoshop」のウェブ版編集ツールが選出されている。スタンドアロン版ほど高機能ではないものの、背景の削除、色調整、ソーシャルメディア向けのクロップなど、実用的な機能を備えている。
さらにGoogleは、ウェブ全体の商品価格をワンクリックで自動比較するパーソナルショッピングツール「Phia」も評価した。Phiaは数百の小売店や中古品市場の価格をチェックし、商品を保存して価格が下がった際に通知を受け取ることができる。
今回のリストは、Chromeにおける拡張機能の重要性が高まっていることを示している。Googleは、単なるブラウジングツールにとどまらず、Chromeをオンライン活動の中心に据えることを目指している。選出された拡張機能は、Chromeウェブストアの「Google’s Favorites of 2025」コレクションで確認できる。
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