「AIの民主化」が進むほど、データから洞察を導き出す人と組織の力が問われる – Special Report

学習済みのAIを組み込んだクラウドサービスやアプリが増えるなど、かつてはひと握りの企業だけの武器であったAIの“民主化”が進んでいる。AIによって精度の高い予測データを手に入れられるようになったことで、それをいかに分析し、鋭い洞察を得るかが企業競争力を決定付ける要因となりつつある。その力を得るヒントについて、NTTデータに聞いた。 

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AIとBIを使い分けて
洞察の精度を上げる

 AIなどを使った企業のデータ活用はここ数年、急速に進んできた。

「コロナ禍が始まった2020年上期には、企業によるデータ活用のための投資がやや停滞しましたが、下期に入ってから一気に盛り返し、むしろ以前より活発化しています。市場環境やニーズの急変によってビジネスの不確実性が増し、より迅速で、精度の高い将来予測が求められるようになったからだと考えられます」と語るのは、NTTデータData & Intelligence事業部長の谷中一勝氏だ。

 売れ筋の急変に対応し、製品をタイムリーに供給するため、とくにマーケティングやサプライチェーンマネジメントなどの業務でデータ活用を強化する動きが見られるという。

 一方で、これまであまり活用が進んでいなかった業務領域におけるデータ活用の動きも顕著になっている。

「紙のノートや表計算ソフトに研究内容を記録してきたR&D(研究・開発)部門や、リモートワークによってデジタル化された就労履歴を取りやすくなった人事部門などが、データ活用を本格化するケースも増えています」。同社ソリューションコンサルティング統括部長の新田龍氏はそう語る。

 最近では学習済みのAIが組み込まれたクラウドサービスやアプリが増えるなど、データ活用のための環境も整ってきた。こうしたAIの“民主化”が、活用を促進している側面もあろう。左│NTTデータ コンサルティング&ソリューション事業本部
Data & Intelligence事業部長 谷中 一勝 氏 

右│NTTデータ コンサルティング&ソリューション事業本部
コンサルティング事業部ソリューションコンサルティング統括部長 新田 龍 氏

 だが、企業によっては、AIを導入しようとしたものの、結局PoC(概念実証)止まりとなり、業務での実運用に結び付かないこともある。新田氏は、「何のためにAIを導入し、データ活用によってどんな成果を得たいのかという目的やゴールがあらかじめ定まっていないと、失敗しやすいといえます」と指摘する。

 そして、「そもそも活用するためのデータがそろっていない、ツールの種類が多すぎてどれを選んだらいいのかわからない、新しいツールを使おうとするモチベーションが人や組織に根付いていない、といったケースもあります。AIをはじめとするツールの導入や、データ活用の強化を推進するには、人材教育も含めてさまざまな課題をクリアしていく必要があります」と続ける。

AIの民主化が進んだことで、企業のデータ活用は新たなフェーズに入ろうとしている。データの整備や的確なツール導入が進めば、どの企業も同じように精度の高い予測データを手に入れられるようになる。そうなったとき、データをいかに多面的に分析し、独自の洞察を導き出させるかが、企業の競争優位を左右することになる。

 新田氏は、洞察力を高めるためのポイントとして、AIとBI*1(ビジネスインテリジェンス)を目的に応じて使い分けることを提案する。*1 企業内に蓄積されている大量のデータを整理・統合、可視化し、経営やビジネスの意思決定に活用する仕組み、またはそのためのツール。

「AIは、過去のデータを学習して、未来に何が起こるのかを予測することに長けています。そのため、季節性要因などパターン化されたトレンドの分析・予測には効果を発揮しますが、コロナ禍のように突発的な変化は予測できません。そこで、後者についてはBIを駆使して、さまざまな切り口でデータを可視化し、人間の判断で洞察を導き出し、意思決定に役立てるのが望ましいといえます」(新田氏)

成果を出すことに主眼を置く
「デジタルサクセス」

 谷中氏は、BIを意思決定に活用する際のポイントとして、「なるべく多くの人が関わり、さまざまな知見をもとに分析したほうが、精度が上がります」と語る。

「簡単な操作で社内外のさまざまなデータを収集・可視化できるBIツールは、専門知識がなくても使えるので、経営層から現場の最前線にいる人たちまであらゆるビジネスユーザーが活用することができます。たとえば、過去のトレンドに基づく中長期分析はAIに任せて、足元のトレンド変化は人がBIを用いて分析するという使い分けも効果的です」

 NTTデータでは、データへの接続から分析、コラボレーションまでを一貫してスムーズに行えるビジュアル分析プラットフォーム「Tableau」(タブロー)や、高精度の予測と自動化を実現する機械学習プラットフォーム「DataRobot」(データロボット)など、世界のベストプラクティスが組み込まれた各種のソリューションを企業の目的に応じて組み合わせ、データ活用基盤の構築を支援している

さらに、これらのソリューションを実装するだけでなく、企業のデータ活用をあらゆる角度から支援する「デジタルサクセス」*2プログラムを提供しているのが大きな特徴だ。デジタルサクセスとは、先ほど新田氏が挙げた「データ活用が進まない原因」を解消し、ビジネス成果を生み出すまでをトータルでサポートするプログラムである。*2 「デジタルサクセス」はNTTデータの登録商標 

 谷中氏は、その特徴について「DX(デジタルトランスフォーメーション)ではテクノロジーを導入することが目的化しがちですが、本来の目的である売り上げや利益の改善、製造業であれば歩留まりの向上といったビジネス成果を出すことに主眼を置いています。導入プロジェクトのスタート地点からお客さまと伴走し、ゴール(成果)にたどり着くまで継続的にサポートします」と説明する。

■AI・データ活用の民主化に向けて必要な4つの要素

 企業ごとの課題に応じて、データ活用に向けた戦略やビジネスモデルの策定、データの整備と維持、IT・ツールの整備、教育やデータ活用意識の定着を含む人材・組織変革など、さまざまなメニューを用意している。

「データ活用意識を根付かせるには、デジタルCoE(Center of Excellence)のように社内横断的なDX推進部門を設けることも有効ですが、そうした組織づくりも支援しています」と谷中氏は付け加える。

 デジタルサクセスプログラムを採用して、デジタルCoEを設置したある公共事業会社は、AIで顧客ごとの特性を把握し、その行動結果をBIで洞察するというデータドリブンなマーケティングを実現した。こうしたAIとBIの使い分けについても、数多くの企業に導入支援を行ってきた経験をもとに、それぞれの企業に合った提案ができる。

 新田氏は、「データ活用は、何を目指し、どんな成果を得るのかを明確に描いてから始めるべきです。NTTデータは、その第一歩からお客さまのサクセスを全面支援します」と語った。

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