デル・テクノロジーズの新サービス 「ゼロタッチPC for SMB」ひとり情シス座談会

中堅中小企業の大部分が情シス一人以下

デル・テクノロジーズの新サービス「ゼロタッチPC for SMB」がにわかに注目を集めています。PCの調達・初期セットアップ・運用・故障対応・廃棄といったPCライフサイクル全体をカバーするトータルサービスです。そして、このサービス名に込められたSMBは、Small and Medium Businessの略で、「中堅中小企業」の意味です。「PC運用管理」サービスは大手企業向けであることが多いですが、このサービスでは中堅中小企業のIT管理者がリソースを割いている「PC運用管理」の大幅な負荷軽減にフォーカスしています。

中堅中小企業は、ひとり情シスに代表されるように少人数の情シスメンバーで運営していることがほとんどです。特に、ひとり情シスと他部門の仕事を兼務していて、情シスを主務とする社員が存在しないゼロ情シスを含む、情シスが一人未満の企業が、従業員100名から499名までの中堅企業では37.6%も存在します。また20名までの小規模事業者を除く100名未満の中小企業では、情シスが一人未満の企業が85.6%に達することが判明しています。(一般社団法人ひとり情シス協会「ひとり情シス実態調査」2022年1月)

ひとり情シスは、限られた時間の中で幅広い業務をこなす必要があります。また業務の効率化や自動化も貪欲に検討しますが、失敗や手戻りは絶対に避けなければならないので、慎重の上にも慎重を重ね、抜け漏れなく導入前の検討をしなければなりません。実際のところ、日常の業務をこなしながら業務改善を行うことは容易ではなく、なかなかうまく進められないと悩むひとり情シスは少なくないでしょう。

今回は、ひとり情シスの質問を代弁するため、4人のひとり情シス経験者が集まりました。同人誌『ひとり情シス列伝』に登場しているメンバーで、「カイゼン型ひとり情シス」の増山 大輔氏、「伝説のひとり情シス」の黒田 光洋氏、「クラウドCIO型ひとり情シス」の林田 悠基氏、「内製型ひとり情シス」の二宮 友和氏が、「ゼロタッチPC for SMB」の推進者であるデル・テクノロジーズ 広域営業統括本部 フィールドセールス本部の木村 佳博氏と、実際に運用するイメージや解決すべき課題などについて対談しました。

購買プロセスに小回りは利くのか?

増山氏ひとり情シスをサポートしてくれるこのサービスはとても興味があります。しかし、手続きを自動化している半面、ユーザーの選択に制限があるようにも感じられました。「ゼロタッチPC for SMB」では、ゼロタッチPC即納対象モデルが用意されていますが、これはこの構成で決まっているのですか?

「カイゼン型ひとり情シス」の増山 大輔氏

木村氏御社のニーズに対応するように構成変更することは可能です。事前に御社向けの構成と金額を決定して、購入用のサイトに掲載することができます。それにより、ユーザーが想定と異なる機種や構成、金額がオーバーするものを購入できないように制約をつけることができます。御社内の用途に合わせて、よく使う構成を数機種事前に決めておくことで、社内で管理する機種を減らせるというメリットもあります。

増山氏それなら細かいユーザーのニーズに対応できますね。開発者向けの高スペックな機種、一般的な事務用の機種などに分けて提示できるといいですね。

はい。例えば、部署毎にA、B、Cと分けるとします。Aの機種は、技術職や開発職の方々が使うもの、Bの機種は持ち歩きを前提とした営業用、Cの機種はそれ以外の普及モデルというように、用途に合った構成を提供することができます。

増山氏実際の現場では、情シスが忙しいタイミングでユーザーからPC購入要望が来るということもありました。ユーザーは一刻も早くPCが欲しいのですぐ処理したいのですが、このサービスを利用すれば購入までのロスタイムがゼロということですね。便利になることはうれしいのですが、PCの受発注についてはリアルタイムに把握しておきたいです。なぜなら、予算の関係で発注処理を止めるなどの可能性もあるからです。

木村氏例えば、購入予定数を超えた注文に関しては、ひとり情シスなどの管理者に承認をしてもらう確認メールを送ることが可能です。その後、承認をもらってから手配を進めることもできます。

やはりヘルプデスクの業務削減が急務

「伝説のひとり情シス」の黒田 光洋氏

黒田氏私は、自分自身がヘルプデスクをしていた時にゼロタッチPC for SMBがあればどうなっていたか、という視点で調査をしてみました。ひとり情シスの負担になっている作業はキッティングだと思われがちですが、実はそうでもないです。キッティングは単なる作業なので、淡々と進行していれば意外とストレスはないものです。一方、ひとり情シスの現場で最も大変な仕事は、問い合わせ対応です。情シスの都合など関係なく、日常的にとにかく電話が掛かってくる状態です。電話対応だけでなく、割り込みの作業が発生することもあります。問い合わせ対応のためにその時進めている仕事を中断しなければならず、手戻りの大きなロスも発生します。

問い合わせのレベル感はバラバラで、「自分で調べてください」と思うような初歩的な内容から、大きなトラブルの可能性のある緊急の対応が必要な状況まで混ざっています。まず受けてくれる人がいて、それで簡単なものは対応しもらう。一旦、問い合わせ内容を切り分けして、対応が難しいものは半日から一日分をまとめてこちらに転送してもらうことができれば、一度にチェックして対応できるので効率もいいです。割り込みもかなり減らすことができます。1次受けの対応をしてくれるサービスは、私がヘルプデスク対応をしていたなら、どんなにうれしいだろうと思いました。

木村氏デル・テクノロジーズは、自社製品のみならず他社製品を含めたマルチベンダーサポートを既に提供していまして、お客様のヘルプデスク1次受けをしています。やはり4割の問い合わせが軽微な質問で、OSに関しての簡単な質問や、Officeのアプリの使い方などです。さらに、この会社特有の問題を整理してゼロタッチPCのヘルプデスクに渡すことにより、1次切り分けできる範囲も広くなってきます。

PCライフサイクルの部分最適化は難しい

デル・テクノロジーズ

広域営業統括本部 フィールドセールス本部の木村 佳博氏

黒田氏PCに関する情シスの仕事はキッティングがメインのように思われますが、その前後の作業もたくさんあります。例えば、キッティングをした後の配布作業や、リプレース作業のサポート、古いPCを回収してデータ消去して廃棄するなど、です。これらのPCに関する一連の業務を考えると、キッティングは苦にならないというひとり情シスが多いのも頷けます。また、キッティングだけのアウトソースや部分的なヘルプデスクを依頼しても、ひとり情シスの仕事をどこまで減らせるのか疑問が残ります。部分的にサポートしてもらってもあんまり役に立たないのが現実だからです。しかし、ゆりかごから墓場までという「ゼロタッチPC for SMB」のコンセプト通り、調達から廃棄まで全てやってくれるなら、十分活用できると思います。僕はそこに着目し、導入したいと感じました。

木村氏そうですね。パッチワークのように情シス業務のほんの一部分のみのアウトソースを提供しているITベンダーはとても多いと思いますが、ひとり情シスの方々が楽になっていることはあまりないようです。ひとり情シスの方々は「誰かに個別に依頼するなら自分でやってしまおう!」と考える傾向があり、コミュニケーションにかける時間以上のリターンがないと依頼されないと思います。とくにここ数年は、情シスの業務負荷が高まっており、その傾向は強くなっていると考えています。そのため、トータルサービスにこだわり提供内容を設計しました。

サブスク移行への抵抗感の乗り切り方

「内製型ひとり情シス」の二宮 友和氏

二宮氏やはり中堅中小企業では、社内でOfficeのライセンスなどの買い取り文化がまだ根強く残っています。それをサブスクリプションに載せ替える稟議を通すことは簡単ではないと思います。経営層が「購入したライセンスは、いつまでも使えるはずなのでは?何で毎年お金がかかるのですか?」と指摘することは必至です。ここできちんと説明できないと、導入までのハードルは大きくなるでしょう。サブスク移行のメリットをうまく説明する方法をアドバイスしていただきたいです。

木村氏そうですね。まず、ゼロタッチPC for SMB にはOfficeだけじゃなくて、本サービスの中心的な存在であるAutopilot、Intune、また3月1日から新しくMicrosoft365に入ったDefender For Businessのエンドポイント セキュリティソリューションが含まれています。Defender for Business に関しては、ユーザー数 300 以下の中堅中小規模企業の環境の要件を満たすよう最適化されています。コロナ禍でリモートワークやBCPが進んだことにより、企業のセキュリティリスクは増大しており、昨今では国内の中堅中小企業にもマルウェアの被害が広がってきています。これらはテレビや新聞のニュースでも取り上げられているので、経営層の耳にも届いていると思います。既に十分対策を取られている会社は問題ありませんが、実際はまだまだ準備不足の会社を散見します。買い取りのライセンスで対応できない部分をサブスク移行のメリットとして感じていただけるように社内に上申していくことがポイントだと思います。

黒田氏予算を計画する立場で考えると、何年かに1度大きな投資の必要がある予算は、その時の景気状況や自社の業績などに左右されるので稟議が通りづらいですし、業績が芳しくない時期には稟議を上げづらいです。よほど理論だった説明が必要です。とはいえ、今更PCを使わない訳にはいきませんから、サブスク移行をきっかけにして1人当たりのパソコンの平均月額経費を明確にし、予算を平準化していくことも考えるべきだと感じ出ています。結果的にはひとり情シスも経理部門も楽になると思います。

在庫は本当に大丈夫なのか?

増山氏やはり在庫に関しては不安があります。在庫は共有在庫として抱えていて、必要な時に必要な会社に出荷する仕組みになっていると思います。基本的には起きないと思いますが、半導体不足など予期せぬ事態の発生で、各社のニーズが集中してしまい在庫がなくなることは、このサービスであり得るのでしょうか?

木村氏在庫管理をコントロールはすることに「絶対」はないですが、通常抱えている販売用在庫と保守用在庫は全く同じものを持っているので、最悪のケースとして想定以上に在庫が減少してきた時には、販売用在庫から保守用在庫に在庫をシフトすることが可能です。基本的に1営業日あれば補充できます。

増山氏ユーザーからすると、最短翌営業日出荷を守れるように作られていることはとても安心です。

経営層へのアピールはPoCを実践すること

林田氏ゼロタッチPC for SMBは、時代のニーズに応えたソリューションだと思います。私もこのサービスを部門の適材適所を選ぶことを検討していますが、実際に導入を考える際には、経営層目線からすると「導入効果を具体的に示す」という点を明確に説明することが重要だと思います。

「クラウドCIO型ひとり情シス」の林田 悠基氏

木村氏経営層の関心へのアピールは重要だと思いますが、実証実験に勝るものはありません。我々は短期間でもPoCをすることをおすすめしています。PoCは管理者様向けのトレーニングで実施できます。期間は約2週間で、限定した環境の範囲でご確認いただけます。さらに各社個別のアプリケーションへの対応が必要な場合は、この期間に加えて各会社でスケジュールの追加が必要です。

林田氏PoCは、IntuneやAutopilotからヘルプデスクで大体どのような運用になるかということまでを2週間あれば試せるのですか?

木村氏はい、対応できます。2週間のPoCできちっと導入への骨格の計画を作って、翌月には従来の環境をリプレースするというケースもあります。やはりコロナ禍でリモートワーク環境の構築やBCPの強化を一刻も早く進めたい会社もあります。しかし、一方では、とりあえず環境を構築し、半年の期間をかけいろいろ学びながら習熟度をゆっくり上げていく会社も多いです。会社の状況やニーズに合わせて、期間設定はさまざまです。

林田氏このようなサービスでPoCできるのは、ゼロタッチPC for SMBの特徴だと言えると思います。良いソリューションだと思っても、実際に導入を検討し始めると「それでは、スモールスタートで始めましょう」みたいな営業的な提案が結構あるので、PoCをすすめてくれる点は大きなセールスポイントだと思います。

木村氏例えばお客様によりますけど、Intuneのライセンスお持ちでデル・テクノロジーズのパソコンを何台か保有されているけれど、Autopilotの環境はまだ作られていない会社の場合、立ち上げサービスの中身だけでPoCができてしまいます。そして次のリプレースのタイミングで本格運用したい場合に「業務利用アプリの追加、Windows update制御、シングルサインオン連携、AD連携など、さまざまな追加のオプション作業をお願いします」と極力費用を抑えて導入できるので、その方法で行いたいという会社もあります。

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