地方銀行向け情報サービス「exaBase企業検索 for 地銀」、地域企業情報をAIで分析─エクサウィザーズ

AIベンチャーのエクサウィザーズは2022年9月7日、地方銀行向け企業情報検索サービス「exaBase 企業検索 for 地銀」を発表した。事業機会のある取引先企業を見出すなど、AIを活用して地域企業を検索できるサービスである。2022年10月1日から随時提供する。SIサービスであり、ビジネス要件の定義からAIモデルの開発、現場への導入までサブスクリプション形式で提供する。SaaSでの提供だけでなくオンプレミス型での提供や、必要な部分を切り出して提供することも可能である。

 エクサウィザーズの「exaBase 企業検索 for 地銀」は、地方銀行に向けた、地域の企業情報を検索できる情報基盤サービスである。インプットした企業情報をAIで分析し、事業性の評価などをアウトプットする。各行が保有する取引先の会社要綱などの企業データと地域企業の事業承継とのマッチングや、事業機会のある取引先企業の検索などが行える(図1)。

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 SIサービスとして提供する。各行が実現したいビジネスのアウトラインやターゲットを踏まえ、エクサウィザーズのAIコンサルタントがビジネス要件の定義やPoCの設計などを支援する。同社のエンジニアが各行の保有するデータの形式や内容を理解し、AIモデルを開発し、現場に導入する。営業管理システムなど各行で利用中のシステムとのデータ連携も可能である。

 同システムでは、企業情報に特化した検索エンジン「exaBase企業検索」を活用する。経産省のgBizINFOに収録してある約450万社の法人番号に、各企業がWebサイトで公開している情報をひも付けてデータベース化している。これに加えて、分析のためのAIモデル、各種の知見やリソースを、各行の状況やニーズに合わせて提供する。

M&A相手の提案、事業性評価、受注可能企業の抽出などに活用

 用途の1つが、事業承継ニーズの把握と、M&Aによってシナジーの見込める相手先の提案である。各行が保有する地域企業の特徴(業種、事業内容、財務情報など)と、exaBase企業検索に格納した日本全国の企業情報、業界のトレンドなどの情報を組み合わせる。これにより、事業承継のニーズを予測し、M&Aによってシナジーの創出が見込める企業ペアを抽出する。買い手企業(出資側)を指定すると売り手候補企業(被出資側)を抽出し、売り手企業を指定すると買い手候補企業を抽出する。

 地域企業に対する事業性評価やコンサルティングにも活用可能である。地域企業にとっての新たな事業機会となり得る成長産業について、Webで取得可能な行政文書、業界ニュース、各金融機関が保有している情報(テキスト情報)などから、産業構造の理解に必要な情報を抽出して整理する。地域企業の製品/技術との関係性や、事業展開の可能性などを可視化する。

 域内外の企業からの工業製品の受注に対して、受注に対応可能な地域企業を抽出する使い方も可能である。例えば、リース会社との協業によって、IoTデバイスを埋め込んだ製造設備をリースし、設備の稼働状況まで加味したマッチングビジネスを行う、といったシナリオも検討可能である。