日本マイクロソフト、「Copilot」の社内活用を披露–広まる“BYOAI”

 日本マイクロソフトは6月6日、「Microsoft Copilot for Microsoft 365」(Copilot for Microsoft 365)に関する記者向けセミナーを開催した。併せて国内外のAI活用動向も披露している。

同社 業務執行役員 モダンワークビジネス本部 本部長の山田恭平氏はAIについて「AIの筋トレがとても重要。AIは意識せずに使えるインフラではなく、既にスキルに分類されている。仕事に役に立つプロンプトもほかの人が同様に役立つとは限らない。だからこそAIスキルを磨くため、(Copilot for Microsoft 365を)使えば使うほど、組織の変化を感じられる」と述べた。

Copilot for Microsoft 365は改めて述べるまでもなく、「Microsoft 365」や「Bing Chat」のCopilot機能を使用する有償サービスである。2023年11月から開始したアーリーアクセスプログラムには、国内企業も約40社が参加。2024年1月には「Business Standard」「Business Premium」をはじめとするライセンス要件の拡張や、1ライセンスから契約可能にするなど、着々と存在感を高めている。

Microsoftが開催した開発者向けカンファレンスの「Build 2024」でも、「Microsoft Teams」でAIを活用する「Teams Copilot」の拡張を発表したばかりだ。現時点では2024年中のプレビュープログラムの開始を予定している。

Copilot for Microsoft 365の概要

Copilot for Microsoft 365の概要

当然ながら日本マイクロソフトにおけるCopilot for Microsoft 365の社内活用は進んでいる。

1つ目は、顧客からの問い合わせ内容を「事象」「原因」「解決策」と三分割し、同種の問い合わせに対する回答を5~10分から5秒に短縮した。2つ目は米国本社を交えた顧客との会議議事録作成。Copilot for Microsoft 365でMicrosoft Teamsのトランススクリプト(文字起こし)を要約して、初稿の議事録として顧客に届けている。

日本マイクロソフト社内事例その1

日本マイクロソフト社内事例その1日本マイクロソフト社内事例その2

日本マイクロソフト社内事例その2

3つ目は英語を交えた定例会議。英語に不慣れな担当者は「準備した内容を話すが、相手から聞き返されると何も返せなくなる」(山田氏)という。しかし、Copilot for Microsoft 365で発言内容を確認していくと、会議に参加できる比率が高まったそうだ。日本マイクロソフト社内事例その3

日本マイクロソフト社内事例その3

今回の説明会では、MicrosoftおよびLinkedInが2024年2月15日から3月28日の間、31カ国・地域の正規雇用従業員各1000人(計3万1000人)を対象にAI活用状況を調査した「Work Trend Index 2024」の概要も公表した。

回答者の46%が、最近6カ月で「生成AIを仕事で使用し始めた」と回答しており、世界的にこの半年で生成AIの利用が倍増している。利用率は北米で66%、アジア太平洋地域で83%、欧州で65%、日本では32%と、日本での利用は低い傾向にある。この背景には、言語の壁や生成AIサービスの成熟度などの複合的な要素が影響しているとMicrosoftは見ている。

経営層の79%(日本は67%)は、ビジネスの競争力維持にAIが欠かせないと考えながらも、60%(同49%)は組織への具体的な導入計画が足りないという。

調査結果で注目すべきは、職場でAIを利用する従業員のうち、78%(同78%)が私用のAIライセンスを業務に用いている点。Microsoftは、BYOD(Bring Your Own Device)ならぬ「BYOAI(Bring Your Own AI)」と呼称している。日本マイクロソフトは、一定のセキュリティリスクに懸念を払いつつ、「『Microsoft Entra ID』で管理すれば保護できる」と企業運用の安全性を強調した。

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