現在、AIツールの主流として連想されるのは、OpenAI、Anthropic、Googleといったマーケットリーダーのチャットボットだろう。しかし、新たに公開されたレポートは、市場のトップ争いに加わりつつある、注目すべきダークホースの存在を浮き彫りにしている。
ComscoreのAI利用動向に関する初レポートは、AIツールの利用者層、利用方法、および利用目的について詳細に検証している。このレポートを分析したところ、特に際立っていた指標は、特定のツールが他と比較して驚異的な成長率を示している点だった。
GeminiとGrokがチャットボットの成長をけん引
「ChatGPT」は、デスクトップからの訪問者数が5400万人に達し、前年比で86%の成長を記録して依然として市場を支配しているものの、「Gemini」のデスクトップからの訪問者数は1900万人で、前年比の成長率は971%に達した。また、「Grok」も高い成長を見せ、モバイルからの訪問者数は400万人で前年比472%増、デスクトップからは100万人で同286%増となった。
ツールの普及率は、市場が進化し続ける中で、人々のニーズにいかに対応できているかを示す優れた指標となる。GeminiとGrokは、いずれもモデルに大幅なアップグレードを実施しており、これが訪問者数の増加に寄与している可能性がある。例えば、Comscoreのコンシューマーソリューション担当シニアバイスプレジデント(SVP)を務めるSmriti Sharma氏は、Googleの成長の一部は、同社が最近発表したAI画像生成ツールの人気によるものだと分析している。
Googleは最近、「Gemini 3」ファミリーモデルをリリースし、このモデルはLMArenaのリーダーボードで急速にトップに浮上した。この動きは、OpenAIの最高経営責任者(CEO)であるSam Altman氏に「コードレッド(非常事態)」を宣言させるほどの影響を与えた。一方、xAIは「Think Mode」やより高いコンテキストウィンドウを導入することで、Grokの機能拡張を支援した。
Copilotは利用者が減少、AIオーディオツールは大幅成長
しかし、「Copilot」は、Microsoftの生産性向上ツール群やWindows製品全体に組み込まれていることが主な要因となり、3000万人の訪問者数を維持し、依然としてもっとも利用されているツールの1つであるにもかかわらず、ブラウザー経由の訪問者数は前年比で15%減少している。この事実は、Copilotが新たなユーザー獲得のために十分な対策を講じていないことを示唆している。この要因として、自社モデルよりもOpenAIのツールやモデルに過度に依存していることが考えられる。
Sharma氏は「最大の注目点は、さまざまなAIアシスタントがそれぞれ異なる利用シーンにどのように対応しているかという点だ」と述べた。具体的には、ChatGPTが広くあらゆる場所で使われているのに対し、Copilotはデスクトップでの業務用途に特化している。これに対してGeminiは、外出先でのモバイルタスク向けという位置付けから、より広範な用途にシフトしつつあるようだ。
また、ユーザーベースが大幅に増加したAIツールは、AIチャットボットの領域を超えて拡大しており、特にAIオーディオツールが著しい成長を遂げている。ElevenLabsはモバイルで前年比147%増、デスクトップで142%増の成長を記録した。Sunoもモバイルで同73%増、デスクトップで同13%増となっている。
これらのAIオーディオツールは、クリエーターと企業の双方にとって有益であり、オーディオブック、テキスト読み上げ機能、マーケティング資料、ソーシャルコンテンツ、ナレーションなどのコンテンツ制作を可能にする。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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