2023年は企業の社会的責任が試される – オンライン

サマリー:景気後退の可能性が高まり、すべての企業リーダーは難しい局面を迎えている。企業の社会的責任(CSR)へのコミットメントや、環境、社会、ガバナンス(ESG)への取り組みが軌道に乗り始めたところに、今回の不況の波もっと見るはやってくる。このような状況下、経費削減は常識的な対応であり、CSRやESGに関連する投資の凍結は歴史的に繰り返されてきた。本稿の筆者らは、これは間違いだと警鐘を鳴らす。企業も従業員も社会の構成員であるため、CSR、ESGに関連する投資を継続することこそ、企業が長期的な成功を収めるために極めて重要だという。ではなぜ重要なのか。本稿ではその理由を4つ提示する。 

企業が長期の成功を収めるためにはコーポレートシチズンシップへの投資が必要である

2023年は、米国の企業にとって試練の年になるだろう。企業の社会的責任(CSR)へのコミットメントや、環境、社会、ガバナンス(ESG)の理念が、その会社に深く根ざした価値観なのか、それとも、経済が好調な時にたしなむ趣味に過ぎないのかが問われることになる。

筆者ら3人の所属する組織はみな、業界や地域を問わず、企業の社会的インパクトに携わる多くのリーダーと仕事をしてきた。そして筆者らが、企業エグゼクティブの方々に強く求めたいのは、たとえ不況が近づいてきても、地域と世界への投資や、従業員エンゲージメントにより成し遂げてきたことから手を引かないでほしい、ということだ。皆さんのリーダーシップにより目に見える恩恵が企業にもたらされるまでには、多くのコミットメントと、何年にもわたる献身、そして投資が必要だったはずだ。

景気後退の可能性が日に日に増す中、企業リーダーにはこの難しい時期を乗り切るというタスクが課されている。そのためには、経費節減が常識的な戦略といえるだろう。そして残念なことに、歴史を振り返ると、このような時、真っ先に凍結したり資金不足に陥ったりするのは、CSRやESG、パーパスイニシアティブだった。次の不況は、いまCEOたちが取り組んでいる、ESGを利益に結びつけるための前進を遂げた後にやってくる。KPMGの調査では、ESGにより業績が改善すると認めている米国のCEOが2021年は37%だったが最新の調査では70%に達した。その一方で59%が、ESGへの取り組みを一時的なもの、または見直す方針だと答えた。

これは間違いだ。企業も従業員も社会の一員であり、地域社会やコミュニティの発展に貢献するコーポレートシチズンシップへの投資に重点を置くことが、高収益企業として長期的な成功を収めるためには、決定的に重要になる。その理由を4つ紹介しよう。

1. 従業員は、会社のパーパスコミットメントとアクションに基づき働く決定を下す

経済全体が弱体化しても、人材の採用と維持は、あらゆるセクターの課題であり続ける。不況時には、雇用の安定と公正な賃金が最大の関心事になるだろうが、従業員エンゲージメントと、主にCSRチームが率いる企業の社会的インパクトに対するコミットメントは、依然として極めて重要だ。米PR会社エデルマンの信頼度調査「エデルマン・トラストバロメーター」によると、従業員10人中7人が、自分の仕事が社会的インパクトを持つことを希望している。新たな仕事を探す時には社会的インパクトのある仕事を期待しているため、それがなければ、検討対象外になる。あなたの会社がパーパス主導の会社でなければ、従業員はそのような会社を探し、あなたの会社を辞めてしまうだろう。

2. 顧客は、企業のパーパスコミットメントとアクションに基づき購入決定を下す

不透明性が高まっている時は、消費者の目はいちだんと厳しくなるため、評判と透明性を確保することが重要になる。消費者は物価の上昇に敏感になっているとはいえ、景気のよい時も悪い時も社会へのコミットメントを守るブランドであることが、差別化要因となるだろう。実際、2021年の米PR会社ポーターノベリのパーパス・プレミアム・インデックス(PPI)によると、「73%の消費者が、企業は支持を得るために、地域社会や環境をどう支援しているかを示す必要がある」と答えている。

3. 投資家は、企業のパーパスとアクションを見て決定を下す

ESG投資の中核的戦略の一つは、リスクの軽減だ。ESGに関連する問題は深刻であり、企業の財務や評判にダメージを与えるおそれがある。とりわけ市場が不安定な時は、企業の経営層がこのような社会的リスクをきちんと追跡・管理しているのか、投資家は知りたがる。メリルリンチ(バンク・オブ・アメリカ)は2022年3月、ESGのうち「S」(社会)の重要性にフォーカスを当てた投資家向けリポートで、社会的要因が経済成長の主なインプットを支えるため、社会指標の管理と監視がこれまでになく重要になっていると指摘した。

4. あなたの会社の評判は、パーパスや行動と本質的に結びついている

エデルマン・トラストバロメーターによると、企業に対する信頼度は低下している。たった1回の不適切な選択で、その企業に対する認識は嫌悪感に変わってしまう。景気後退期には、地域社会のニーズ(住居や食べ物や教育といった基本的なニーズを含む)が、これまで以上に大きくなる。金銭的な投資や、従業員のボランティア活動、商品の寄付、非営利団体への役員派遣などを通じて、非営利団体を継続的に支援すること(つまりESGのSにあたる部分)は、企業が自社の主要なステークホルダーと強力な関係を維持する時も非常に重要になる。企業責任を担うチームは、その企業の評判を強固なものにするための、攻めと守りの両方の役割を果たさねばならない。

物事が快適でなくなった時、それが「なぜそうなったのか」と考えることは、これまで通り必要であり、そしてこれまで以上に重要になる。では、どこから始めればよいのか。

それは、ゴールから始めることだ。つまり自社の社会的インパクトへのコミットメントをあらためて強調し、貫くことである。

リーダーとしてコミットメントを守り、自社の評判を維持し、そのインパクトについて透明性を持ってフォローアップするには何が必要かを理解しよう。そのうえで、長期的な社会的投資を通じて、自社の社会的責任担当部門とリーダーをサポートしよう。リーディングカンパニーは、税引き前利益の1%を社会に投資する。最上位4分の1の企業になると2.3%だ。あなたの会社は何%だろうか。

https://dhbr.diamond.jp/articles/-/9191

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