Hondaが現場から養う「データドリブン」文化、Qlik活用で日本企業初となるアワード受賞

 変革期にある自動車業界において、本田技研工業(以下、Honda)は、DXの一環としてデータ分析の文化醸成に取り組んでいる。標準ツールとして「Qlik」を採用し、ユーザーの裾野を広げているところだ。その取り組みが評価され、2023年4月にQlikが米ラスベガスで開催した年次イベントでは、日本企業としては初めて「2023 Qlik Global Transformation Award」を受賞するという快挙を成し遂げた。今回、受賞直後の同社 執行職 コーポレート管理本部 デジタル統括部長を務める河合泰郎氏、コーポレート管理本部 デジタル総括部 プロセス改革部 部長を務める田中秀幸氏に話を伺った。

データ分析を原動力に、Hondaの事業変革へ

──最初にHONDAがDXを進める背景や目指す姿、Qlikの位置付けについて教えてください。

河合泰郎氏(以下、河合氏):HONDAは、お客様にとってナンバーワンの会社になることを目指しており、事業変革を背景としてDXを進めています。たとえば、従来のクルマづくりから、カーボンニュートラル時代に適応していくために、会社自身が変わらなければなりません。そのためには、企業運営を効率化することで、新しいクルマづくりへの原資を生み出していくという経営の狙いがあります。

もちろん、X=トランスフォーメーションなので、データだけでなくモノづくり、従業員の生産性、お客様との接点……と多面的に変革していく必要があります。

田中秀幸氏(以下、田中氏):2021年より経営重要課題として、本格的にデータ活用の取り組みを開始しました。DXを強化するにあたっていくつかのテーマを掲げており、データプラットフォーム構築はその一つです。また、現場のデータリテラシーを高める必要があり、「DX教育」も開始しました。教育の一環として、“BIツールをしっかり使えるように”ということでQlikを標準のBIツールとして定め、利用を促進する活動を続けてきました。

実は、Qlikそのものは標準ツールとして採用する以前からビックデータの分析において、一部社員が使用していました。当時はまだ利用者が少しずつ増えているという状況で、Qlikを中心に使うのではなく、あくまでも他のツールを併用していたのです。バラバラのBIツールによってデータ分析環境を構築するのではなく、しっかりと統一していこうという今の方針が定まっていきました。

──多くのBIツールがある中で、Qlikを標準とした理由はどこにあるのでしょうか。

河合氏:Qlikが「簡単にデータを統合できる」「セルフサービスで分析できる」という、2つの特徴を持っていたところが大きいです。

HondaにおけるBIツールは、単にデータをビジュアル化するのではなく、“分析をするためのツール”という位置付けです。そうした意味でQlikは、データを自分で取り込み、分析パターンを仕込んでいくという点で優れたツールだと評価しています。

──現在Qlikを使う社員は約7,000人とのことですが、どの部署がどういう形で使っているのでしょうか。

田中氏:Qlikを一番利用しているのは研究所です。以前から研究開発で使用していましたが、コネクテッドカーが普及するにつれて、ユーザーの使用状況などのデータが得られるようになりました。そこで、そうしたデータを分析してフィードバックすることで、現行車の課題を発見するなど開発に役立てています。

河合氏:製造工場でもIoT機器を整えているため、品質管理での利用も増えています。

自動車の製造工程はとても複雑です。シャーシやエンジン、ボディ、サスペンション……と組み合わせていき、各工程はIoT機器などでコントロールされています。そこから取得できるデータを時系列で分析するだけでもパターンが見えてきます。部品の位置や力のかけ方など、様々なデータをリアルタイムで収集してパターン分析することで、製造過程での品質管理に活用しています。これにより、アセンブリライン(組み立てライン)を止めるような状況になる前に、何らかのアクションを起こすことができます。

何かが起こってから状況を分析できても、事前に予測するまでには至っていませんでした。Qlikを利用したことで、根本的な原因が分かるようになったことは大きなメリットです。リアルタイムで情報を見ることができ、新たな価値を生んでいます。

実践して分かったデータ分析と人材育成の課題──鍵は“中間管理職の意識”

──データリテラシーの高い「DX人材」の育成は、どのように進めていますか。

田中氏:DXリテラシーの向上を目的とした委員会を立ち上げました。各部門から代表を出してもらい、各部門における事例やベストプラクティスを毎月共有しています。たとえば、Qlikなど“DXツール”の新機能がリリースされれば、その情報を各部門に展開してもらったり、セミナーや教育プログラムの告知なども委員会を通じて行ってもらったりとPDCAを回しながら進めています。

さらに、委員会とは別にコミュニティも設けています。ユーザー同士が助け合い、情報を交換しながら運営していくもので、Qlikのコミュニティもあれば、他ソリューションのコミュニティもあります。委員会がフォーマルだとすれば、コミュニティはインフォーマルな取り組みと言えるでしょう。ユーザー目線で考えると、一方通行に「分析をやりましょう」と言われても進めづらく、委員会とコミュニティという“2つのアプローチ”が、データ分析の文化醸成における重要な鍵と言えます。

また、DX専用のポータルサイトも用意しています。問題があればなんでも受け付けるというスタンスなので、Qlikに関わらずありとあらゆる困りごとが寄せられます。もちろん、対応は大変なのですが、一つひとつ答えていくことで信頼関係が生まれます。そして、それがユーザー数の増加につながるのです。

既にQlikの使い方を学ぶセッションを数回開催しています。我々がQlikに関する情報を発信し、分からないことを聞いてもらうというもので、実際にQlikにも触ってもらいました。

河合氏:Hondaには、個人がやりたいことを互いに尊重し合いながら、共有しながらやるという文化があります。コミュニティについても経営陣が“作ろう”と言わなくとも自然にできており、自身の知見を積極的に伝える文化が醸成されています。デジタルを活用し、時間と場所を超えたコミュニティ活動が効果的に機能していると感じますね。

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──取り組みを通じて得られた学び、見えてきた課題はありますか。

田中氏:DX教育は、会長や社長をはじめ、全社員を対象に展開しました。特に力を入れているのが、課長や部長といった中間管理職への教育です。なぜなら、実際に各社員がデータで“あれこれやってみる”という時間を許容するかどうかは、彼・彼女らにかかっているからです。そのため、中間管理職の社員に対しては継続的にDX教育を実施しています。

加えて、ツールをどのぐらい使っているのか、実際に効果が出ているのかなどは、部門ごとにデータを取っています。既にデータ活用がうまくいっている部門とそうでない部門との差が出始めており、お互いに刺激を受けて高め合えればと思っています。

データを使うという点では、各部門の責任者にデータを使う習慣を根付かせることが課題だと感じています。報告やプレゼンのデータを見て判断する状態から、自分で生データを見て判断するようになるという世界を目指しています。そのためには、データが完全につながっていないという技術的な課題も残っているため、技術面と文化面の両面から推進しているところです。

加えて、“トップガン”として育成しているエキスパート人材の“継続性”という課題も感じています。約3ヵ月にわたり教育を受けてもらい、所属部門で展開してもらう役割をエキスパート人材は担っていますが、せっかく育成したエキスパート人材が異動してしまうことがあります。その場合、どのようにエキスパート人材として活躍してもらうのかという課題が残っています。

河合氏:これまで取り組んで感じていることは、“分厚い策”が重要だということ。委員会というフォーマルな組織、エキスパート人材の育成、コミュニティ活動などをいかにして共鳴させていくのか──ここがポイントだと考えています。

──「Qlik Global Transformation Award」を受賞されました。日本企業では初とのことですが、どの部分が評価されたと感じますか。

河合氏:10年程前からQlikを使っており、社員の専門性の深さが、だんだんと広がってきている点が評価されたポイントだと考えています。

今回は会社としてアワードをいただきましたが、それ以前にも個人の活躍を讃える「Qlik Luminary」にHondaの社員が選ばれています。彼らが深い知見をもってQlikを利用していることが、会社全体の取り組みにつながっていると感じています。

──最後にデータ活用・分析、DXについて、今後の展望をお聞かせください。

田中氏:現場でより“DXの風土”を養っていくという点では、まだ道半ばです。これをまずやり切りたい。それが企業全体のイノベーションにつながっていくと信じています。

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河合氏:自動車業界は激動の時代を迎えており、我々もさまざまな試みを重ねて新しい顧客体験を作っていくことを目指しており、ここでもデータ分析は重要になるでしょう。

Hondaがいかにデータドリブンを活用していくのかという点で、可能性は“無限”です。グローバル展開しているスケールをどう生かしていくのか。データとデータをつなげ、分析者と分析者がつながると、分析結果もよりつながっていきます。そのため、まずはデータ分析をグローバルに広げていくことに取り組んでいきたい。

Hondaは熱い会社で、潜在能力もある。これをフルに活かすというところで、デジタルの力を使うことができればと考えています。

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