AIで古い写真の顔が話し出す–「ホグワーツの肖像画」のようなサービスが公開

 家系図サービスを手がけるMyHeritageは、「Deep Nostalgia」と呼ばれるサービスを2021年に開始した。大切な故人や昔の人々の写真を動画化することで、まるで頷いたり笑ったりしているように見える。そして、その技術を発展させたのが、このほど発表した「LiveStory」だ。肖像の表情や口元を動かし、人工知能(AI)を利用して生成した音声を組み合わせることで、自身の人生を語っているように見せるというものだ。たとえば、肖像写真の祖母が、生まれ育った場所、伴侶との出会い、結婚式、家庭、子供などについて、写真を示しながら語ってくれる。

提供:MyHeritage

サービスを利用するにはまず、MyHeritageのウェブサイトかアプリにアカウントを作成する。それから人物写真をアップロードし、テキストを入力すると、AIが人物の表情を動かし、テキストを読み上げる。声の選択肢には、31言語、数十の方言、数百の合成音声が用意されている。あるいは、故人が生前に残した声の録音データをアップロードすることもできる。

すでにMyHeritageのサービスで家系図を作成済みのユーザーなら、前に提供した写真からLiveStoryを作成することもできる。その場合は、LiveStoryが家系図の情報を利用して、合成音声によるナレーションを伴う動画を自動的に作成する。ユーザーはオプションとして、写真の追加やテキストの編集により、動画をカスタマイズできる。

LiveStoryを利用して作った動画は、自分で視聴したりダウンロードしたりするほか、友人や家族と共有したり、ソーシャルメディアに投稿することもできる。

MyHeritageは、サービスの誤用や悪用を防ぐため、同社が「倫理的ガードレール」と呼ぶ同意条項を添えている。ユーザーが最初にLiveStoryを作成する際、次のようなポップアップが表示される。「1. 私は、LiveStoryがAIに基づき口を動かす技術を利用し、亡くなった個人についてのみ使用されるよう意図したものであることを理解しています」「2. 私が作成したLiveStoryには、わいせつ、侮辱、中傷、偽情報、他者のプライバシーを侵害するおそれのあるコンテンツのいずれも含みません」

LiveStoryは、新興企業D-IDとの提携を通じて開発された。同社はAIとディープラーニングを利用し、写真の人物の表情を動かして動画化する技術に注力している。

やや不気味でもあるが、D-IDの最高経営責任者(CEO)で共同創業者のGil Perry氏は、反発を受けることをそれほど懸念していないという。

「多くの人はこれを試したいと感じ、とても素敵なので何度も使いたくなるだろう」と同氏は述べた。さらに、小説「ハリー・ポッター」シリーズに登場する「ホグワーツ魔法魔術学校」の会話する肖像画をふまえ、「これは現実をハリー・ポッター化するものだ」とした。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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