人流や気象データを活用、店舗を支援する「サキミル」–ソフトバンク×日本気象協会

ソフトバンクと日本気象協会は1月31日、小売り・飲食業界向けに、人流や気象のデータを活用したAI(人工知能)による需要予測サービス「サキミル」を共同開発したと発表した。同日よりソフトバンクが提供を開始する。

「サキミル」の特長「サキミル」の特長

サキミルは、ソフトバンクの携帯電話基地局から得られる端末の位置情報データを基にした人流統計データや、日本気象協会が保有する気象データ、導入企業が保有する店舗ごとの売り上げや来店客数などの各種データを、ソフトバンクと日本気象協会が共同で開発したAIアルゴリズムで分析し、高精度な需要予測を行うサービスだ。

ソフトバンクの人流統計データソフトバンクの人流統計データ

まずは店舗ごとに来店客数を予測する「来店客数予測」から提供を開始し、将来的には、在庫の発注やシフト作成、クーポンなどの販促、保険など重要の可視化からリスクの軽減化まで目指す方針だ。

活用する気象データ活用する気象データ

来店客数予測は、1店舗当たり月額5390円(税込)で提供する。ほか、初期費用として3300円(税込)が店舗ごとにかかる。100店舗を利用した場合、初期費用は33万円、月額費用は53.9万円になる。

サキミルは、中部地方を中心にスーパーやドラッグストアなどを展開するバローホールディングスのグループ企業が、それぞれ運営する合計約1200の店舗を対象に順次導入する予定。また、ゴディバ ジャパンが約300店舗を対象にサキミルの導入に向けた検討を進めているという。

サステナブルなフードチェーンの実現を目指すサステナブルなフードチェーンの実現を目指す

サービスの提供開始に先立ち、バローホールディングスのグループ会社で、中部地方を中心にドラッグストアを展開する中部薬品が運営する店舗で事前検証を行ったところ、来店客数の平均予測精度は93%となり、高い有効性を示す結果が得られたという。

ソフトバンク 法人事業統括 デジタルトランスフォーメーション本部の福元貴浩氏は、「10店舗でA/Bテストをし、使った場合と使わない場合でどのぐらい差があるのかを検証したところ、食品ロスは約3%、機会ロスは15.5%削減した。経済効果はしっかりあると思う」とコメントした。

今後は「来店客数予測」に加えて商品の需要予測機能の開発を目指すほか、在庫発注やシフト作成などの機能を順次追加する予定だ。

日本では年間570万トンの食品が廃棄されている。また、特に小売り・飲食業界においては、高い離職率や新型コロナウイルス感染症の影響による消費行動の変化、外国人労働者の来日が難しい状況の中で、人材確保も課題のひとつだ。

ソフトバンクと日本気象協会のアセットを生かし共創ソフトバンクと日本気象協会のアセットを生かし共創

ソフトバンクと日本気象協会は、サキミルを通してデータやAIなどのテクノロジーの活用により、業務効率化や販促などさまざまな側面から小売り・飲食業界を支援してDXを推進する。また、フードロスの削減や生産性の向上に貢献することで、SDGs(持続可能な開発目標)の達成を支援するとしている。

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