UiPath、 “全社的自動化”とデジタル人材育成を訴え、三菱マテリアル、ジオテクノロジーズの先行事例を紹介

米UiPathの日本法人は2022年4月19日、2023年度の事業戦略発表会を開催した。顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援の柱として、企業経営全般の業務効率化・自動化にかかわる「Fully Automated Enterprise(完全に自動化したエンタープライズ環境)」、RPAの高度活用を担う「デジタル人材育成」など5つの事業方針を説明した。合わせて、人材育成を含めRPAの活用を深化させているユーザー事例(三菱マテリアル、ジオテクノロジーズ)を紹介。以下、発表会で強調されたトピックをお伝えする。

RPAにとどまらず“全社的自動化”を支援する

UiPathは、同社2023年度(2022年2月1日~2023年1月31日)の事業方針として、「Fully Automated Enterpriseの推進」「デジタル人材育成の推進」「業種別取り組みの強化」「顧客満足度の向上」「パートナーエコシステムの強化」を挙げた。

「自動化製品市場は、2025年までに3000億円規模に達するだろう」。UiPathは、国内でも業務の効率化・自動化に取り組む企業が増え、製品市場が拡大を続けていることを、自社が予測する数字をもってアピールした。

拡大するユーザー需要に応えるべく、同社は以前より「Fully Automated Enterprise(完全に自動化したエンタープライズ環境)」というビジョンを掲げている。そこでは、RPAにとどまらず、ソフトウェアテストの「UiPath Test Suite」、業務プロセスを可視化するプロセスマイニングの「UiPath Process Mining」、RPAとAIを組み合わせる「UiPath AI Center」といった技術を自動化の要素と位置づけて製品群を展開。このビジョンをもって“全社的自動化”を推進していくとしている(図1)。


図1:Fully Automated Enterpriseの推進(出典:UIPath)
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UiPathの取締役で最高収益責任者の鈴木正敏氏(写真1)は、「RPAが今後あらゆる業務やシステム、人と調和し、企業全体の経営基盤となる“全社的自動化”が企業や組織に浸透し、自動化を進めていく人や文化がDXの柱となっていく」と説明した。


写真1:UiPath 取締役 最高収益責任者 鈴木正敏氏

全社的自動化とDXの関係についても、数字をもって裏付けようとしている。UiPathの調査によれば、「自動化の活用が進んでいる企業は、RPAを経営アジェンダへ取り込み、全社的な人材育成やDX推進に取り組んでいる傾向にある」という。ここで言う人材育成はRPAを活用できる人材の育成を指すが、同社は、製品・サービスの提供にとどまらず、図1のFully Automated Enterpriseに示された一連の自動化スキルを身に着けたデジタル人材の育成まで支援していくという。

日本企業2社が実際に取り組んだ“全社的自動化”

発表会では、全社的自動化の先行事例として、UIPathの国内顧客企業2社の取り組みが紹介された。

グローバルの非金属メーカーである三菱マテリアルは、データとデジタル技術の活用、ビジネス付加価値向上とオペレーション競争力向上、経営スピード向上を目指し、デジタル化戦略を推進している。DXを経営改革の中長期的な重要施策と位置づけ、システム部門、事業部門、コーポレート部門、外部パートナーからなるDX推進本部を設立。6年間で400億円を投資し、デジタル専門人材を100人規模で育成している。

同社は自動化推進のステップを設定し、UiPathの製品・サービスの導入で取り組みを推進。「組織的な技術サポートや教育・意識改革の体制は不可欠」(同社 最高デジタル責任者 亀山満氏)と判断。現在はUiPath支援の下、導入したRPAを高度に使いこなすための技術サポート体制の導入と、従業員教育・意識改革を並行して進めているという(図2)。

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