「ChatGPT」の人気には凄まじいものがあるが、その可能性を最大限に引き出すのは難しい。しかし、OpenAIが3月に有料版である「ChatGPT Plus」に各種サービスのプラグインを追加したことで、これまでよりも「GPT-4」から有益な情報を引き出しやすくなった。
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ChatGPTのプラグインは、AIチャットボットの機能を強化し、できることを増やす。例えば、「KAYAK」や「Expedia」のプラグインを利用すれば、旅行に関する質問に、リアルタイムの情報に基づいた回答を得られるようになる。これらのプラグインは、ChatGPTのPlugin storeで入手できる。
そのいくつかはOpenAIが作ったものだが、大部分はサードパーティが開発したものだ。ChatGPTのプラグインはすべてGPT-4で動作するように設計されており、無料のChatGPT-3.5では動作しない。本記事を執筆している時点では422種類のプラグインが提供されており、日々新しいものが追加されている。
これらのプラグインはさまざまなサービスを提供しており、例えば、ChatGPTのプロンプトを改善するものや、レストランを予約するためのもの、金融関係のアドバイスを提供するもの、AIを使用した星占いを提供するものなどもある。今のところ、これらのプラグインはすべて無料で使えるが、将来的には変わるとみられる 。
ちなみにChatGPTのプラグインと、ChatGPTを使用するための拡張機能は別物であることに注意して欲しい。ChatGPTを使用する「Chrome」の拡張機能には「WebChatGPT」や「Compose AI」などがあるが、これらは(バージョンを問わず)ChatGPTをChromeで利用しやすくするためのものだ。
一方でプラグインは、ChatGPTに検索機能を追加したり、サードパーティーのサービスを連携させたりできる。ChatGPTを使用する拡張機能は、他のChrome拡張機能と同じで「Chromeウェブストア」で追加できるが、プラグインを利用するための手順はほんの少し複雑だ。まずは、プラグインを探してインストールする方法を説明しよう。
ChatGPTプラグインのインストール
必要なもの:ChatGPT Plusのアカウント、コンピューター、インターネット接続環境。
1. 「ChatGPT Plus」に登録する
この新機能を利用するには、ChatGPT Plusに登録する必要がある。これには、まずChatGPTのアカウントにログインし、左下の「Upgrade to Plus」ボタンをクリックする。次に、支払い情報を入力し、月額20ドル(約2800円)の定期料金を支払う。最初の支払いが終了すると、すぐに新機能にアクセスできるようになる。
2. 設定を開く
ベータ版の機能はデフォルトでは無効になっている。これら有効にするために、まず左下のユーザー名の横にある3点のアイコンをクリックし、「Settings」を選択する。
3. ベータ版の機能をオンにする
次に、「Settings」メニューの「Beta features」タブをクリックする。「Browse with Bing」と「Plugins」の右側にあるスライドボタンをクリックして有効にすれば、ChatGPTのBrowse with Bingの機能とプラグインの機能を利用できるようになる。
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「Settings」メニューを終了すれば、ChatGPTの新機能を使うための準備は完了だ。
Browse with Bing機能の使い方
ChatGPTのBrowse with Bingの機能とプラグインの機能は別の機能だ。しかし、Browse with Bingも非常に便利であるため、この機会にこちらについても説明しておくべきだろう。
Browse with Bingはその名の通りの機能を持っている。通常のChatGPTでは2021年9月までのデータしか利用できないが、この機能を使えば最新の情報にアクセスできる。この違いは非常に大きい。Browse with Bing機能を利用するには、次の手順が必要になる。
1. AIのモデルと機能を選択する
まず、ChatGPTで新しいチャットを開始する。すると画面中央の上部に、「GPT-3.5」と、より高度なGPT-4のどちらかを選択するオプションが表示されるはずだ。GPT-4のボタンにカーソルを合わせると、その下にベータ版の機能を選ぶオプションが表示されるので、それをクリックして選択する。

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2. プロンプトを書く
あとは普段通りにChatGPTを使用すればいい。Browse with Bing機能は、最新の情報やデータを調べる必要がある質問を尋ねたいときに使うといいだろう。例えば、ある企業の株価のパフォーマンスや、最近行われたスポーツの試合のスコアなど、特定のトピックに関する最新ニュースについて尋ねる場合に適している。
3. 結果を見る
裏側では、ChatGPTがユーザーの代わりにウェブページを閲覧、読解し、最新の情報を出典付きで提供してくれる。
引用番号をクリックすると、ChatGPTがその情報を取得したウェブページに移動できる。
ChatGPTプラグインの使い方
次に、サードパーティプラグインを使うための手順を説明しよう。
1. AIのモデルと機能を選択する
新しいチャットを開始し、画面上部のGPT-4を選ぶボタンにカーソルを合わせ、「Plugins」のオプションをクリックする。
2. プラグインストアに移動する
「GPT-4」のボタンの下に表示される「No plugins enabled」をクリックすると、プラグインストアにアクセスするためのボタンが表示される。ストアでは、利用できるプラグインの一覧を見ることができる。
その中に試してみたいものがあれば、その横にある緑色の「Install」をクリックすればいい。一度インストールしておけば、好きな時にそのプラグインにアクセスできる。

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3. プラグインを試してみる
そのあとは、プラグインを探し出して実際に試し、どれが一番自分のニーズに合っているかを調べていくことになる。もし使ってみたプラグインが気に入らなければ、簡単にアンインストールできる。新しいプラグインが毎日のように追加されているので、定期的にプラグインストアをチェックするといいだろう。
以下の例は、KAYAKのプラグインを使って、バンクーバーのウォーターフロントにあるホテルについて尋ねてみたところだ。

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プラグインをインストールしたあとは、それらを起動した状態でモデルを選択すれば、それだけでプラグインを利用できる。内部ではChatGPTのAPIが呼び出されているのだが、技術的な詳細について気にする必要はない。ただプロンプトを書けばいいだけだ。
プラグインを使う際の注意点
- これらはすべてベータ版であり、時々問題が生じる。時には、とんでもなく間違った答えが返ってくることもあるし、プラグインが正常に動作しない場合もある。
- 現時点では、同時に有効にできるプラグインの数には厳しい制限がある。プラグインを切り替えることはできるが、同時に使用できるのは3つまでだ。
- 今のところ、ウェブをブラウズする機能とプラグインの利用は二者択一で、両方を同時に使用することはできない。ただ、プラグインの中には、機能の一部としてウェブにアクセスできるものがあるので、実際にはこれが大きな問題になることはないだろう。
- プラグインを使用する際には、今でもGPT-4には3時間あたり25回しかクエリーを実行できないという制限があることに注意が必要だ。この上限に達すると、GPT 3.5に引き戻されることになる。そのため、セッションを始めるときには、事前に自分が何をしたいのかを明確にしておいた方がいいだろう。
- これはまったく新たな種類のソフトウェアであり、OpenAIは、プラグインをマルウェアや、詐欺行為、偽情報の拡散に使用することを禁じている。また、プラグインを使ってOpenAIの安全システムを迂回したり妨害したりすることも禁じているが、これはそうしたことが絶対に起こらないことを意味するわけではない。利用する際には注意が必要だ。
まとめ
このガイドで説明した手順に従えば、ChatGPT Plusの可能性を最大限に引き出せる。ただし、どのツールにも言えることだが、提供された情報の正しさを確認する責任はユーザー自身にある。最先端のツールであるGPT-4やそのプラグインにも、間違いを犯す可能性は十分にあることに注意すべきだ。それを念頭に置いて、存分に試してみて欲しい。
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