DevOpsが抱える課題と可能性–Platform Opsの活用

 あなたの組織はDevOpsで成功しているでしょうか。そして、真のDevOps文化を創造できているでしょうか。今回は、米Veeam Softwareで最高技術責任者(CTO)兼製品戦略部門シニアバイスプレジデントを務めるDanny Allanの視点を借りつつ、組織が抱えるDevOpsの課題とその可能性について紹介します。

 多くの組織がDevOpsに懸命に取り組んでいるものの、それが進展しないことに対して不満を抱えています。コロナ禍は業務全体のコラボレーションを促進するための機会を失わせました。一方で、DevOpsをより体系的に、より大規模に機能させるための新しいアプローチによって、組織の取り組みが促進され始めていることは良い傾向だといえるでしょう。また、多くの企業が2021年後半にオフィス勤務を再開しており、特定の業務についてのコラボレーションを実施する機会が増えています。

 Allanによると、DevOps文化の構築は、どの企業にとっても主要な目標であるはずで、それにより組織の運営方法が変わり、ソフトウェア開発の方法を大幅に向上させることにつながるといいます。DevOps文化は、組織をより包括的に、より忍耐強く、より協力的にし、さらなる成功へと近づけます。

 しかし、それは斬新な目標ではあるものの、組織文化を変えることはやはり困難です。経営陣は、開発者やIT部門をはじめとする従業員に権限を与え、問題解決や企業の方向性について、より大きな発言力を与える必要があります。

 多くの組織がDevOpsの計画を推進する一方で、統合の課題も抱えています。オープンソースの構成管理ツールを手掛けるPuppetのコミュニティーが公開した「2021 State of DevOps Report」では、62%の組織が、高いレベルの自動化を推進しているにもかかわらず、DevOpsの実施については道半ばの状況だと回答しています。またDevOps Instituteのレポートでは、50%以上の組織がDevOpsトランスフォーメーションの実施について「非常に困難」と表現しています。

Subscribe to get access

Read more of this content when you subscribe today.

 開発者は、継続的なインテグレーションのシステム、ソースコントロールのプラットフォーム、統合テストの管理方法など、ワークフローの一部であるものを管理する必要があります。一方、プラットフォームの運用担当者は、インフラストラクチャーの自動化、アクセス制御、機密情報の管理など、柔軟性の余地が乏しいものをコントロールする必要があります。これはDevOpsがもたらす未来そのものであり、イノベーションとコラボレーションのための自由、規律を備えたものです。組織がPlatform Opsの要素をプロセスに組み込むことで、DevOpsをより生産的に運用できるようになります。

 組織の全体的なDevOps文化を向上させるべきもう1つの要因は、現場作業への回帰です。ハイブリッドワークがこれからの働き方の一部となることが予想されますが、組織は、同じスペースで働く人々がより定期的にコミュニケーションをとることで、良い影響を得ることができます。コロナ禍は、従業員の生産性を高め、新しいコミュニケーション方法を生み出すきっかけとなりました。オンライン会議を活用することで、コロナ禍で対面によるコミュニケーションが取りづらい状況でもビジネスを継続させることができました。しかし、会議以外でもアイデアを出し合い、その場で情報を共有するという要素が欠けていたのです。

 セキュリティが担保された方法で、必要な時に、広く職場復帰することで、DevOpsモデルの成功に必要な、自由なコラボレーションを促進することができます。人々は、同僚と一緒に仕事ができる環境に刺激され、創造性が大きく向上し、それに伴って生産性も向上すると予想されます。

 組織は、職場への復帰によってもたらされるエネルギーを糧にすべきです。そのエネルギーによって、より多くのプロジェクトを立ち上げてください。新製品の開発、既存製品の改善、プロセスの見直し、新しい試みなど、革新的な取り組みを奨励しましょう。Allanによると、DevOpsはより良いコラボレーション環境を整えるためのものです。それは、作業的に次のタスクに移るために終わらせるものではなく、忍耐と積極的な関与の両方を必要とする継続的な取り組みです。適切な量の規律と励ましを適用することが、関係者全員の成功につながります。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

Original Post>