シャープ呉CEO「開源節流を徹底し、難局を打開」–事業推進体制の見直し実施

 シャープ 社長執行役員兼CEOの呉柏勲(Robert Wu)氏は10月11日、社内イントラネットを通じて、CEOメッセージを発信した。タイトルは、「開源節流を徹底し、難局を打開していきましょう」とした。

「開源節流」は、健全な財政を、川の流れに例えた言葉で、「開源」は水源の開発を意味することになぞらえ、新たな事業を創出し売上げを伸ばすことを指し、「節流」は水の流れる量をしっかりと調節する意味から、無駄を撲滅することを指している。前CEOの戴正呉氏が良く使っていた言葉である。

呉社長兼CEOはメッセージの冒頭に、10月から2022年度下期がスタートしたことを示しながら、「円安のさらなる進行、エネルギー価格の上昇、インフレや景気の後退など、非常に厳しい事業環境が継続する見通しだが、全社一丸となって『開源節流』に取り組み、この難局を打開していきたい」と述べた。

最初に触れたのが、10月1日付で実施した事業推進体制の見直しの狙いである。それを開源節流の観点から説明した。

開源では、新規事業推進本部の設置をあげた。シャープでは、「ESGに重点を置いた経営」を新たな経営方針に掲げ、その具現化に向けて、4月にDigital Healthcare事業推進室を設置。7月にはESG推進室およびスマートホームプロジェクトチームを新設していた。新規事業推進本部は、この3つの組織を統合し、新経営方針への取り組みを加速するとともに、さらなる新規事業の創出を狙うことになる。

組織図

組織図

また、研究開発事業本部を研究開発本部に改称。「シャープが、事業を大きく変革し、新たな分野で次々と特長ある商品やサービスを創出していくためには、中長期視点での革新的な研究開発の強化がますます重要になる。研究開発部門は3年先、5年先、10年先の技術開発により重点を置く一方で、事業化については各事業部門がスピード感をもって推進する役割を明確にした」と説明した。

さらに、CFOを新たに任命。陳信旭(Branden)氏が就任した。陳氏は、金融業界やハイテク業界において、20年以上のグローバル経験を持ち、企業の財務戦略や管理システム、IR活動などに精通しているという。今後は、グローバル視点でのM&Aや財務を中心に担当し、グローバル事業拡大の牽引役も担う。

節流については、調達本部を新設したことに触れた。本部長には副社長の沖津雅浩氏が兼務で就いた。呉社長兼CEOは、「挑戦的な節流目標を掲げ、この達成に取り組んでいる。One SHARPでの集中購買をより強力に推進する」と述べた。

また、テレビ事業では、本部を国内外で分けた管理体制を維持しながら、連携強化や効率化を図ることを狙いに、海外ブランド商品事業推進本部をスマートディスプレイシステム事業本部に統合した。

一方、「リーダーの世代交代」にも取り組んだことを報告。4月に、Smart Appliances & Solutions事業本部と、スマートビジネスソリューション事業本部の事業本部長を交代したのに続き、10月には、シャープエネルギーソリューションおよびスマートディスプレイシステム事業本部においても新たなリーダーを登用。「次の世代にバトンをつなぐことが狙いである。このほかにも、各事業本部や関係会社において、積極的に優秀若手社員の幹部登用を進めている。新たに就任したリーダーには、強い決心とスピードをもって、自らの事業を力強く牽引してほしい」と要望した。

呉社長兼CEOが打ち出す「人(HITO)を活かす経営」とは

2022年度下期の重点施策についても触れた。「先行きが不透明になっていることから、下期の経営計画の蓋然性を一段と高めるべく、開源節流の具体的施策について、各事業本部長と議論を重ねている」とし、開源では、販売計画の必達を掲げ、「とくに海外で前年比20%以上の売上成長をなんとしても実現すべく、営業組織を最適化し、販売力のさらなる強化を図る。また、新製品の市場投入時期を前倒しし、販売機会の拡大に取り組む」と宣言した。

また、節流では、費目ごとに挑戦的な削減目標を掲げていることを強調。「目標の達成に向けて、これまでのやり方を抜本的に見直すとともに、人員の適正化を図り、海外事業や新規事業などの分野に、より大胆にリソースをシフトしていく考えだ」と述べたほか、「非常に厳しい経営環境下にあることから、各BUや部門に対して、大変高い節流目標の達成を要求している。私自身も、経営幹部の減俸を節流施策の検討項目に入れるなど、強い決心を持ってこれに取り組んでいる。社員にも、より一層の奮起を期待する」と、経営層の減俸を検討していることを明らかにした。

呉社長兼CEOが打ち出している「人(HITO)を活かす経営」についても触れた。HITOは「複数の専門性を持つHybrid人材の育成」「Innovationが生まれる環境や風土づくり」「社員の才能(Talent)を十分に活かす適材適所の人材配置」「優秀人材への成長機会(Opportunity)の提供」の4つの意味を持ち、12のテーマで構成される。

人(HITO)を活かす経営

人(HITO)を活かす経営

今回は、HITOの推進に向けて、4点の方向づけを行ったことを報告した。1つ目は、「研修プログラムの拡充」だ。シャープは2021年度から、次期経営幹部候補の育成を狙いとした研修を実施しており、この下期からは、35~45歳の若手マネージャーを対象とした次世代リーダー育成研修を開始する。

また、7月から開催しているスタートアップコンテスト(新規事業提案会)は、現在、1次審査を終え、309チーム中65チームが2次審査に進んだという。2次審査を通過したチームは、約2カ月間、事業化スキルの向上や、提案のさらなるブラッシュアップを目的とした研修を受講することになる。

さらに、シャープでは、2023年から英語を社内公用語にする計画を打ち出しており、これを受けて、社員の英語力を強化。学習支援プログラムの導入や定期的なTOEICテストの開催など、内容を順次拡充しているという。

2つ目の「海外出向制度の見直し」では、「シャープが真のグローバル企業に成長していくためには、経営の現地化が不可欠であり、今後もこの方針に変わりはない」とし、「真のグローバル人材を育成していくためには、日本および海外の両方で責任あるポジションの経験を十分に積むことが重要である。これまではコロナ禍の影響もあり海外との人事異動は極力控えていたが、今後は適正な期間でローテーションを実施し、より多くの人に海外勤務機会を提供していく」と新たな方針を示した。

3つ目は、「社内公募制度の導入」だ。複数の専門性を持つ「hybrid人材」の育成に向け、社内の人材流動性を高める考えを明らかにしながら、「社員自身が、自らの意思で新たな分野の仕事に挑戦することができる社内公募制度を導入する」と、新たな人事施策を発表した。

4つ目が、「等級制度の見直し」である。「優秀な若手社員を早期に責任あるポジションに登用していく考えであり、職責に応じて、等級もスピーディーに昇級できるように、現行のマネージャーの等級を階層ごとに統合する」とした。

呉社長兼CEOは、「これからも“若くて活気あふれる企業風土”の醸成を目指した人事制度改革に全力をあげて取り組む。主役は社員である。より高いモチベーションをもって、日々の業務や自身の能力開発に励んでほしい」と述べた。

最後に、10月18日から、幕張メッセ会場で開催されるCEATEC 2022に出展することを紹介。「Toward Tomorrow with SDGs」をテーマに、デジタルヘルスケアやカーボンニュートラルを中心に、さまざまな商品やサービスを出展するという。
「これらを着実に具体的なビジネスにつなげ、事業を拡大することに期待している」と述べ、「下期のテーマは『開源節流の徹底』である。全社一丸となって、目標達成に邁進しよう」と締めくくった。

CEATECのシャープブースイメージ

https://japan.cnet.com/article/35194452/

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