決済データで事業運営を最適化–グローバル企業のCXを支えるAdyen

 L’Oréal、LVMH、Uber――。こうしたグローバル企業の決済を担っているのは、オランダに本社を置く企業Adyen(アディエン)だ。同社は2006年に設立し、現在は26拠点で事業を展開している。

Adyenは2020年に日本支社を開設。国内顧客には、アマゾンジャパン、ユニクロ、ドミノピザ・ジャパンなどが名を連ねる。2022年2月に日本カントリーマネージャーに就任したJonathan Epstein(ジョナサン・エプスタイン)氏に、決済データのマーケティング活用や日本市場への見解などについて聞いた。

Adyen 日本カントリーマネージャーのJonathan Epstein氏(写真提供:Adyen)

Adyenの最大の特徴として、一つのソリューションでクレジットカード決済のシステムを構築できることがある。キャッシュレス決済では、「Visa」や「MasterCard」などの国際ブランドに対し、イシュアーがクレジットカードの発行、アクワイアラーが加盟店の開拓・審査・管理を行う。加盟店に対しては、アクワイアラーが消費者からの支払いを立て替える。

アクワイアラーと加盟店の間には通常、カード支払いを可能にするテクノロジー「ペイメントゲートウェイ」や、不正利用などを防止する「リスクマネジメント業務」が存在するが、Adyenはアクワイアリング業務のほか、これらの役割も一括して担っている(図1)。これにより加盟店である企業は、中間コストの削減やリスクの低減が期待されるという。

Epstein氏は「支払プロセスに複数の企業が存在すると、企業間で送金する際にリスクが生じる。当社は送金ポイントを集約し、一つのソリューションとして運営することで、リスクを低減できる。特に詐欺に関しては、送金ポイントが多いと付け入る隙が増えてしまう。われわれは取引全体のデータを一元的に監視することで、異常な振る舞いを検知できる」と語る。

Adyenは2022年12月、実店舗でのアクワイアリングサービスの国内提供を開始した。これにより企業は、一つのプラットフォームでカード決済サービスを提供し、EC/実店舗の購買データを一元管理することが可能となる。その結果、ECで注文して実店舗で受け取る「クリック&コレクト」や、実店舗で欠品の商品をすぐにECで購入できる「エンドレスアイル」といったOMO(オンラインとオフラインの融合)施策の展開につながるという。

加えて、顧客の購買行動を把握して事業運営に生かすことも期待される。「例えば、各店舗の購入データを基に在庫量を調整したり、併せ買いのデータを基に商品配置を改善したりできる。複数店舗を展開する企業では、次の出店地域を決める際の参考になる。企業はさまざまなインサイト(洞察)を獲得し、販売を最適化することが可能となる」とEpstein氏は説明する。

日本は中国などと比べて現金文化が残っている一方、政府は2025年6月までにキャッシュレス決済の比率を4割にすることを目指している。日本市場について同氏は「キャッシュレス決済はものすごい速さで進んでおり、その一因にはコロナ禍もあるだろう。中国市場などと比べるとこれからだが、さまざまな方法で発展しており、今後も加速するはずだ」と見解を述べる。

「電子化を進める要素として、政府によるインフラ整備、店舗側の受入体制、消費者の行動がある。これらの要素は進展している一方、いまだに現金のみに対応という店舗も数多く存在する。だからこそ、われわれは技術や機能を提供していきたい」(Epstein氏)

日本支社のビジョンについてEpstein氏は「世界の複数の地域で起こしてきたイノベーションを日本にもたらしたい。オンラインとリアルのデータを統合することに関して、日本は遅れを取っている。店舗オペレーションの改善にデータを活用することも得意ではない印象だ」と話す。

決済の利便性向上についても言及し、「私は約25年間日本に住んでおり、ホテルでのサービスなどを通して、“おもてなし”を体感してきた。サービスの提供者である当社も、おもてなし精神のもと裏方として決済プロセスを簡素化させていく。購入体験にはまだ多くの手間が存在するが、それらを取り除いていきたい」と締めくくった。

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