東急百貨店と日立製作所、無人店舗を活用した新たな購買体験を実証実験

 東急百貨店と日立製作所は、小型の無人店舗による新たな購買体験を提供し、店舗間の送客・誘導につなげる実証実験を開始する。

日立製作所が提供する小型無人店舗サービス「CO-URIBA」を活用する。期間は9月15〜21日および10月27日〜11月9日。東急百貨店本店、渋谷ヒカリエ ShinQs、+Q(プラスク)ビューティーで実施する。

商品棚と天井に設置した高精度なセンサーから、利用者の行動ログなどのデータを収集、アンケート結果などと組み合わせて分析し、LINEによる販促やサイネージ広告による誘導といったさまざまなマーケティング施策を展開して、店舗間の送客、相互利用を促進していく。

対象売場の化粧品を購入、もしくは対象のビューティー・リラクゼーション店舗を利用した顧客を対象に、各店舗のフロア内に設置した無人店舗において、他店舗で取り扱う化粧品ブランドのサンプルや店舗で使えるサービスチケットなどを配布し、顧客の属性・行動データなどに基づき、各店舗への送客・誘導につなげる。

「CO-URIBA」の利用イメージ

「CO-URIBA」の利用イメージ

CO-URIBAはセンサーを活用した行動ログの取得、データに基づくデジタルサイネージによる誘導、生体認証などによる本人確認や自動決済まで行う日立製作所の小型無人店舗サービス。

今回の実証では、各店舗フロア内に設置したCO-URIBAに、他店舗で取り扱う人気ブランドのサンプルやサービスチケットを常設し、化粧品やビューティー・リラクゼーション店舗での施術を4000円以上購入もしくは利用した顧客を対象に、好きなものを2〜3点自由に選んでもらう。また今回は生体認証ではなくLINEアカウントとの連携により本人確認を行うため、入店時に、東急百貨店が運営する公式LINEアカウント「TOKYU BEAUTY LINE公式アカウント」への友達登録が必要となる。

CO-URIBAに入店する際、LINEアカウントに表示されたQRコードをかざすことで、東急百貨店で保有する利用者の属性情報などとひも付ける。またCO-URIBAで取得した行動データと掛け合わせ、興味・関心のあるブランド情報や個別のおすすめ情報をLINEでダイレクトに発信する。

さらにサンプル品に手を伸ばす・取るといった行動や、入店時に回答するアンケートの結果に応じて、おすすめ商品・商品を取り扱う売り場などの関連情報を、CO-URIBA上部にあるサイネージにリアルタイムで表示する。これによりサンプルやサービスチケットの選択を支援し、無人店舗においても満足度の高い顧客体験を提供する。

CO-URIBAでは、商品棚と天井に設置した高精度なセンサーにより、「何を手に取ったか」「何を棚に戻したのか」「最終的に何を選んだか」「どれだけ悩んだのか」といった従来は取得できなかった詳細な行動データを収集できる。これと顧客の属性情報やアンケート結果と組み合わせて複合的に分析することで、より新しく高度なマーケティングにつなげることができる。

今後、1回目の実証結果を基にした 2回目の実証実験では、さらに質の高い顧客体験の提供を目指すほか、収集データを活用したより緻密なマーケティング施策の企画や展開、効果検証も行う予定だ。

また両社は、さまざまな施設にCO-URIBAの展開を検討するとともに、日立製作所独自の「生体認証統合基盤サービス」を活用した生体認証による手ぶらでの入店や、IoT決済プラットフォームサービスを活用したセンサー情報による自動決済機能などの提供に向け、実証を進めていく。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

Original Post>