スマートウォッチの定番機能「血中酸素測定」の有用性を考える

 最近のスマートウォッチは、心拍数から睡眠の質まで、健康に関するさまざまなデータを測定できる。なかでも、この2年間に注目されるようになった指標が「血中酸素飽和度」だ。スマートウォッチメーカーの二大巨頭、Appleとサムスンはどちらも2020年に血中酸素のモニタリング機能を自社のウェアラブル端末に搭載した。新型コロナウイルス感染症の世界的流行が始まると、自宅で体温や呼吸、脈拍、血圧といったバイタルサインを測定するニーズはさらに高まった。

血中酸素測定アプリを起動したApple Watch

提供:Apple

しかし、スマートウォッチで血中酸素を測定できるようになると、医療の専門家でもないユーザーが、この情報を本当に活用できるのかという疑問が出てきた。例えば、血中酸素濃度が一晩で92%まで下がった時、それが問題なのかを判断できない人も一定数いるだろう。ほとんどのスマートウォッチは血中酸素の測定に関して米食品医薬品局(FDA)の認可を得ていないため、医療目的では使用できない。このことも指標の解釈を分かりにくいものとしている。

この2年間で、測定結果は活用しやすくなったかというと、話はそう単純ではない。医療の専門家は、スマートウォッチのセンサーは1日を通じて多様な条件下で血中酸素を測定できるため、従来のパルスオキシメーターでは得られない知見が得られる可能性があると指摘する。また一般論として、自宅で入手できるヘルスデータが増えるのは悪いことではない。

しかし、スマートウォッチのセンサーには今なお測定結果の有効活用を阻んでいる欠点がある。また、メーカー各社は、測定結果を他の機能と組み合わせ、健康状態を総合的に把握するための最適解を依然として見いだせていない。

米国肺協会(ALA)の主席医務官、Albert Rizzo氏は「スマートウォッチによる血中酸素濃度測定の精度は依然として、病院レベルには達していない」と指摘している。「それでも、患者や、明確な病気ではないが不調があるだけでなく、健康な人にとっても、追跡できるバイタルサインが増えるのはいいことだ」

血中酸素測定への注目の高まり

スマートウォッチの血中酸素測定機能の有用性を考えるためには、まずこの指標が何を意味し、ウェアラブル製品にどのように実装されているかを知る必要がある。血中酸素飽和度は「SpO2」とも呼ばれ、赤血球がどれだけ酸素を含んでいるかを表す数値だ。身体が取り入れることができている酸素の割合を示しているため、呼吸器の状態を知る上で重要な指標だとされている。

血中酸素飽和度を表示したApple Watch

提供: Sarah Mitroff/CNET

血中酸素飽和度は通常、パルスオキシメーターをクリップで指に留めることで測定するが、「Apple Watch」のようなスマートウォッチのセンサーは、手首の血管に光を照射して、その反射光を測定することで血液中の酸素を測定する。

現在所有しているスマートウォッチやフィットネストラッカーが血中酸素濃度を測定できないとしても、次に買い換える時にはできるだろう。これは、現在市販されているウェアラブル製品の間では定番の機能で、Apple、サムスン、Fitbit、Garmin、Withingsなどのスマートウォッチには搭載されているからだ。

Apple Watchの「Series 6」と「Series 7」も、サムスンの「Galaxy Watch3」や「Watch4」と同様に血中酸素濃度を測定できる。Fitbitの製品、例えばスマートウォッチの「Sense」や「Ionic」、「Versa」、フィットネスバンドの「Charge 4」、「Charge 5」、「Luxe」も睡眠中の血中酸素濃度をモニタリング可能だ。

2020年以前のスマートウォッチでも血中酸素は測定できたが、この技術が注目されるようになったのは2年前だ。新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって病院や医療機関がパンク状態に陥り、ウェアラブル端末を使って自宅で体調の変化をモニタリングする方法がにわかに関心を集めるようになった。

ウェアラブル端末を使って心拍数や体温などの身体シグナルの変化を測定し、病気を早期に予測できるかという研究が、AppleFitbitGarminOuraのデバイスを使って行われた。例えば、サンパウロ大学とセントロ大学FMABCの研究者が2021年に「Scientific Reports」誌に発表した論文では、Apple Watch Series 6は制御環境下での肺疾患患者のSpO2と心拍データの収集において信頼性が高いことを明らかにしている。

ノースウェスタン・メディスン・セントラル・デュページ病院とデルナー病院の循環器科医長Nauman Mushtaq氏は、「患者の急増で医療体制が逼迫したことで、臨床用ではない酸素センサーを試してみようという気持ちが現場に生まれた」と指摘する。

https://japan.cnet.com/article/35189186/

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