従業員エンゲージメント低下の一因は上司にあり–Gallup調査

 経営コンサルティングおよびアドバイザリー企業Gallupのデータから、欧州の従業員で仕事にやりがいを感じている人は、10人中2人に満たないことが明らかになった。この数値は、世界のどの地域よりも低いという。

同社の「2022 State of the Global Workplace Report」によると、欧州の従業員のエンゲージメントはわずか14%で、北米の33%や世界の21%を下回っている。

また、世界のプロフェッショナルが経験しているストレスは、「過去最高に達している」ことが明らかになり、2020年よりも高いという。

同社は、従業員の無気力を招いている最大の原因として、職場での不当な扱いを挙げている。そして、手に負えない仕事量、上司からの不明瞭なコミュニケーション、上司のサポート不足、理不尽な時間のプレッシャーなどが続く。

同社は、こうした無気力感の根源はリーダーにあると指摘し、「部下にとって、仕事をよりやりがいのある、有意義なものにする」ために、従業員の健康とエンゲージメントを優先すべきだと述べている。

上司が職場に与える影響は非常に大きく、Gallupはチームのマネジメントに関する指標を、上司の面接をするだけで70%予測できるとしている。そのため企業は、自社のマネジメント、企業文化、リーダーシップスタイルを評価する価値が十分にあるだろう。

「上司は、部下の話をよく聞き、よいコーチ、協力者になる必要がある。優れた上司は、同僚が学び、成長するのを助け、素晴らしい仕事をした同僚を評価して、大切にされていると実感できるようにする。そうした職場の従業員は、生き生きと力を発揮できる」と、Gallupは説明する。

2022年3月に、メンタルウェルビーングプラットフォームのYerboが、3万6200人以上のIT専門家を対象に実施した調査によると、42%の従業員が燃え尽き症候群の高いリスクを抱えていた。

どのような仕事にもストレスや不安はつきものだが、無気力な従業員の方が、その傾向がより顕著だという。無気力な従業員の場合、ストレスを経験している人は59%、不安を感じている人は56%だった。

さらに、職場で頻繁に怒りを感じる人は31%、身体的苦痛を感じている人は33%だった。こうした数値は、無気力な従業員の方が、やる気のある従業員よりも46%〜83%高かった。

また、無気力な従業員は、ストレス、心労、怒り、苦痛が、私生活にも影響を与えることが多いと回答した。Gallupがドイツで実施した調査では、職場で惨めな想いをしている無気力な従業員の51%が、仕事のストレスが原因で、家族や友人などに八つ当たりしたことがあると回答した。

また、無気力な従業員が与える影響は、職場だけにとどまらない。やりがいを感じている従業員が働く企業は、無気力な従業員を抱える企業と比べて、利益が23%高かった。さらに、やりがいを感じている従業員の場合、欠勤や離職、仕事中の事故が少なかった。また、そのような従業員は顧客ロイヤリティーも高かった。

その一方で、従業員のエンゲージメントと満足度は、必ずしも相関関係にないことが分かった。欧州では、従業員のエンゲージメントが低いものの、今後12カ月間に転職するだろうという回答は14%、自国の企業では汚職がまん延しているという回答は60%で、いずれも地域別では2番目に低い数値となった。

また欧州では、評価されていると感じる従業員が、その他の地域よりも多かった。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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