ハピネスプラネットと日立、職場のメンタルリスク低減に向け、縦・横・斜めのコミュニケーションの改善を実証

日立製作所のグループ会社であるハピネスプラネットと日立製作所は2022年8月9日、ハピネスプラネットが提供する組織支援アプリ「Happiness Planet Gym」の効果を実証したと発表した。リモートワークが多く、顔を合わせる機会が少ない職場においても、メンタルリスクに関わるコミュニケーションを改善できたとしている。

 日立製作所のグループ会社であるハピネスプラネットと日立製作所は、ハピネスプラネットが提供する組織支援アプリ「Happiness Planet Gym」の効果を実証した。リモートワークが多く、顔を合わせる機会が少ない職場においても、メンタルリスクに関わるコミュニケーションを改善できたとしている。

 ハピネスプラネットによると、メンタルリスクの高い組織では、上司と部下の縦のコミュニケーションだけでなく、チームや階層をまたいだ横や斜めのコミュニケーションが不足する。これを受けて同社は、縦・横・斜めのコミュニケーションの「三角形のつながり」を意図的に作り出す「応援団自動生成機能」を開発し、Happiness Planet Gymの機能として提供している。

メッセージを送り合う3人~4人のチームを自動で形成

 「応援団自動生成機能」は、横や斜めのつながりを含む3人~4人のチームを、自動で形成する機能である。各メンバーは、アプリ(ハピアドバイザー)に促されて日々の前向きな取り組みを表明し、さらに互いに応援団としてメッセージを送り合う(図1)。

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 今回、ハピネスプラネットと日立製作所は、約250人の組織を2つのグループに分け、「応援団自動生成機能」の適用有無により、その効果を検証した。まず、2グループとも自由に応援相手を選んで1カ月間メッセージを送り、コミュニケーションのつながりを確認した。その後、一方は同様の応援を、他方は「応援団自動生成機能」を適用した応援を1カ月間行い、コミュニケーションのつながりの変化を分析した。

 実験の結果、同様の応援を行ったグループにはコミュニケーションの構造に大きな変化がなかった一方、「応援団自動生成機能」を適用したグループでは、周囲の人同士のつながりが希薄だった33%の従業員に、新たに「三角形のつながり」が生じた(図2)。同機能によって職場のコミュニケーションが改善することで、従業員のメンタルリスクを低減可能だとしている。

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質問紙調査で「三角形のつながり」の効果を発見

 背景には、リモートワークが普及した一方で、職場のコミュニケーションが課題になっている事情がある。「メールやWeb会議によるコミュニケーションだけでは、横や斜めのつながりのない孤立した従業員が生まれやすい。エンゲージメントやメンタルヘルスの低下、離職率の増加などが懸念となる」(同社)。

 「応援団自動生成機能」の開発にあたってハピネスプラネットと日立製作所は、東京工業大学の三宅美博教授の研究グループと共同で、業種や職種が異なる10個の組織で働く449人に対して、コミュニケーションや身体運動、さらに、落ち込みやうつの兆候に関する質問紙調査(CES-D)を実施。落ち込んだり、うつの兆候を見せる従業員の、周囲のつながりの構造を分析した。

 調査の結果、従業員がコミュニケーションをとっている相手の数や頻度は、うつの兆候とは相関が見られないことが分かった。この一方で、その人がよく話をする相手2人が互いに話さない関係にあると、その従業員は落ち込んだり、うつの兆候が出やすくなることを発見した。逆に、相手2人がよく話し、コミュニケーションの「三角形のつながり」がある場合は、メンタル的に良好である傾向が明らかになった。

 なお、この成果は、2022年6月に英国科学誌『Nature / Scientific Reports』にも掲載されたという。