データで成功するために「データアンバサダー」や多様性を–ドーモのCOO

 「データにもっと簡単にアクセスを」――かつてOmniture(現Adobe)を共同創業したJosh James氏が2010年に立ち上げた米Domoは、2022年に新しい最高経営責任者(CEO)を迎え、新たなスタートを切った。最新の戦略などについて、早期から同社に関わり、最高執行責任者(COO)兼エンジニアリング担当のエグゼクティブバイスプレジデントを務めるCatherine Wong氏に話を聞いた。

–2022年3月にCEOが交代しました。ここ数年の製品や戦略面について教えてください。

CEOの交代による戦略の変更はなく、データへのアクセスを容易にするという創業時からの課題に取り組んでいます。新CEOの下では、「企業の成長エンジンになる」という目標を打ち出し、市場戦略をより一貫性があるものにしました。

米Domo 最高執行責任者 エンジニアリング担当エグゼクティブバイスプレジデントのCatherine Wong氏

顧客数は2300社を超え、規模も業界もさまざまな企業がDomoを利用しています。Forrester Researchは、私たちを拡張BI(ビジネスインテリジェンス)プラットフォームのリーダーに位置付けています。日本でもSaaS型のBIツールでシェア1位(富士キメラ総研の調査)になりました。事業拠点の拡大も続けており、最近ではスペインにオフィスを開設しました。

CEOの交代前からの戦略としてDomoは、さまざまなデータソースと接続できるデータプラットフォームにフォーカスしてきましたが、数年前からは人材とツールに戦略を拡大しています。

その背景として、コロナ禍をはじめとして(社会の)変化のスピードが速くなり、予想をすることが難しくなる中で、企業には変化への素早い対応が求められています。人材とツールは、そのような時代において競争力を維持するために必要なものと考えています。

人材の面では、「データアンバサダー」の取り組みを進めています。ツールの面では、Domoは全ての人々がデータにアクセスできるという状態が必要だと信じています。これには接客をする人、工場で作業をする人など、フロントラインにいる人も含みます。そこで、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させることにつなげてもらうための「データアプリ」の構築が重要だと考えいるのです。誰もがデータアプリを開発できるローコードのツールを提供します。

–データアプリの戦略に合わせて、小売、消費財、金融の3つの業界向けにデータアプリを発表しました。データアプリ戦略を詳しく教えてください。

ユーザーは、ビジネスロジックやディストリビューションなどについて心配することなく、スマートフォンやタブレット端末から、簡単にデータを得られるアプリを構築できます。

今回は、3業界向けに4種類のデータアプリを発表しました。業務をする人の中には、迅速にデータが得られることを知らなかったり、そのようなことが可能であることを知らなかったりする人がいます。そこで用途を特化したものを構築したわけです。

ですが、私たちが提供するツールには柔軟性があり、ほかの業界にも適用できます。Domoとしては今後、顧客企業やパートナー企業がどんどんデータアプリを構築することを望んでいます。これが進むことで、データの民主化が進むと期待しています。

最近の例では、大手エネルギー企業がDomoのツールを使ってデータアプリを構築しています。他社のテクノロジーで2年間も試行錯誤してもができなかったことが、Domoを使って、わずか1カ月で概念実証(PoC)に至りました。

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